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zoom RSS 初の武器輸出?インドが「日本製の高性能飛行艇」US2購入を決定か

<<   作成日時 : 2018/08/26 11:00   >>

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あのキャスターも救助した機体
 日本政府がインド政府への売り込みを進めている海上自衛隊の救難飛行艇「US2」をめぐり、首相官邸の要請を受けて政府系金融機関「国際協力銀行」(JBIC)がインド政府に対し、購入資金をファイナンスとして提供する方針を固めたことがわかった。

 資金面での問題が解決することにより、安倍晋三政権下で武器輸出を解禁した「防衛装備移転三原則」による初めての大型商戦が、実現へ向けて大きく前進する。後述するが、実現すれば「武器には当たらない」(政府答弁)という飛行艇が「武器輸出の第一号」となりかねない複雑な話ともなりそうだ。

 US2は海洋における救難活動を行う専用機で、世界で唯一、波高3mの荒れた海でも離着水できる。最高速度は時速約580kmに達し、航続距離約460km。飛行艇として世界最高水準の性能を誇る。

 2013年6月には、宮城県金華山沖1200kmの波高3mを越える海上に着水、救命ボートで漂流していたニュースキャスターの辛坊治郎氏ら2人を救助した。

 海上自衛隊の飛行艇は、太平洋戦争で活躍した川西二式飛行艇の流れを組み、対潜哨戒飛行艇「PS1」として誕生した。しかし、墜落事故が続き、救難活動を専門に行う「US1」に改修、その後継機としてUS2が開発された。兵庫県の新明和工業が製造し、海上自衛隊は5機を保有する。

 海岸線が長く、多くの島々を持つインドがUS2に関心を示し、日印両政府は2013年5月、輸出へ向けた協議を開始した。インド側は海軍機として12機、沿岸警備隊機として数機の購入を表明、合わせて20機近い大型商戦となる見通しだったが、交渉開始から5年が経過した現在もまとまっていない。

 問題は、1機約150億円という高額な機体価格にある。インド側は同国内でのライセンス生産や技術移転を求めるなど、多額の支出に見合う交換条件を日本側に提示し、たびたび条件を変更した。

 ようやく交渉がまとまり、2016年11月、当時の黒江哲郎防衛事務次官がインドを訪問して、日印の防衛当局同士で合意する段取りだったが、当日になってインドの首相官邸から「待った」がかかり、協議を続行することになった。防衛省は、こうした事実を明らかにしておらず、「幻の合意」だったことになる。

 最近になってインド側は、「とりあえず6機」と調達機数を下方修正するとともに、新たな購入条件を提示した。その条件は、

 (1)US2の購入資金を日本側がファイナンスとして準備し、インド政府に貸し付けること

 (2)用途を洋上救難に限定せず、人員・物資の輸送など多目的に使える航空機に改修すること

 の2点である。

 防衛省からの報告を受けて「手応えあり」と歓迎したのは日本の首相官邸だ。

 安倍首相はアラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコなどを訪問し、原子力発電施設を直接売り込むトップセールスを続けている。だが、東電福島第一原発の事故を受けて、各国が安全基準を引き上げたことによるコスト高などがネックとなり、順調とはいえない。

 インドでUS2の売り込みに成功すれば、安倍政権が掲げる成長戦略の大きな実績になる。そこで、首相官邸から JBICにインド政府への融資を打診。JBICはこれまでインドに対し、インフラ整備、火力発電所建設などに出資しており、US2についても購入資金の貸し付けは可能と判断したもようだ。

防衛省が及び腰な理由
 一方、新明和工業は、機体改修の検討に入った。US2の売却をにらんで数年前からインドに事務所を構えており、今年4月にはインドの現地企業と機体の部品製造やメンテナンスなどで協力することで基本合意している。

 「資金繰りは万全」「企業もやる気十分」となれば、US2輸出の実現は間近なようにみえる。しかし、肝心の売買を担当する防衛省の外局「防衛装備庁」が消極的なのだ。

 理由のひとつは、2年前の、オーストラリアへの潜水艦商戦における敗北がトラウマになっていることがある。

 このとき、防衛装備庁と三菱重工業などの防衛産業は、連携して海上自衛隊が保有する通常動力型潜水艦の売り込みを図った。オーストラリア政府の要求に合致する提案だったため、受注は確実とみられたが、原子力潜水艦しか建造したことのないフランス企業による通常動力型潜水艦の新規建造案が採用され、日本は敗れた。

 防衛省幹部は「『よい武器だから売れる』とは限らないのが武器商戦の世界。政治的な力学、雇用機会の提供、技術移転など様々な要素が絡み合って初めて成功する。日本は一度も武器輸出したことがなく、ノウハウがまったくなかった」と振り返る。

 二つ目の問題は、「面倒な仕事は避けたい」という、いわゆる役人根性にあるようだ。前出の幹部は「インドへのUS2売却に成功した場合、用途廃止まで約30年にわたってフォローする必要がある。トラブルが発生すれば責任を問われかねず、最初から逃げ腰になっている」と解説する。

 防衛装備庁は、自衛隊の使う装備品の開発、生産基盤の強化のほか、国際協力の推進などを目的に2015年10月に設立された。武器類の輸出入を一手に担う役割があるにもかかわらず、やる気はいまひとつというのだ。

 官僚がダメなら政治家が主導権を握ればよさそうなものだが、小野寺五典防衛相がUS2売却でリーダーシップを取ろうとする様子はない。

 ここで誤解がないよう断っておくが、筆者はUS2を「武器」として売るべきだと主張しているわけではない。

 そもそも日本政府は、US1やUS2を武器とみなしていなかった。

 過去の国会答弁をみると、政府は「お話のもの(US1、C1輸送機)は(武器に)該当しない、こう判断しております」(1976年1月29日衆院外交防衛委員会、河本敏夫通産相)、「現状におけるUS2においては、過去の国会答弁から照らしてもこれは武器とは考えていないということはではないかと、このように思っております」(2007年12月25日参院外交防衛委員会、新藤義孝経産副大臣)と答え、「武器に該当しない」との見解を示している。

 ミサイルや機関銃といった武器を搭載せず、海難救助に特化した航空機なのだから、武器でないのは当然といえば当然だろう。「敵味方識別装置」を搭載していることを理由に「武器」とする見解もあるが、輸出する機体に搭載しなければよいだけの話である。

海難救助以外の使い道もある
 ただ、安倍政権は武器輸出を全面的に禁じた「武器輸出三原則」に代わり、武器輸出を条件付きで解禁する「防衛装備移転三原則」を採用した。

 これにより、US2は「防衛装備移転三原則」に照らして輸出の可否を検討する対象となり、武器でなかったはずのUS2が、「防衛装備」の名目で武器と同様に扱われることになる。「敵味方識別装置」を搭載したままの輸出が可能になったものの、売却時に同装置を搭載するか否かは明らかになっていない。

 仮にUS2の売却が決まったとしても「防衛装備移転の第一号」であることは間違いないが、「武器輸出の第一号」と言えるかどうかは分からない。

 US2に対しては、インドネシア、マレーシアなど島しょ部を多く持つ東南アジアの国々も関心を示しており、インドへの売却の成否を見守っている。US2が海外市場に進出できれば、量産化が可能になり、製造コストが下げられるという利点がある。

 また海や湖に着水できる特性から、新明和工業は、かつてPS1を改修して着水時に大量の水を吸い上げ、上空から散布する消防飛行艇に改造したことがある。

 森林火災の多いカナダや海に面した欧州各国のうちフランス、スペインなどへの売却を想定していたが、特有の短距離離着陸機(STOL機)であることから、民間機の証明書にあたる米連邦航空局の型式証明が取れず、消防飛行艇を断念した経緯がある。

 ただし、自衛隊や軍などの政府機関は独自判断で航空機を採用できるため、型式証明は不要だ。インド政府が採用すれば、これが実績となって各国の購入意欲を呼び込み、また消防飛行艇についても消防当局が購入する道が開ける。

 筆者は何度かUS1に乗ったことがある。離着水は極めて静かで、飛び上がる際は滑走らしい滑走もないまま、ふわりと上昇した。後継のUS2は機内を与圧化して天候に左右されにくい高高度の飛行を可能とし、航続距離を延ばすことにも成功している。

 輸出によって量産コストが下がれば、海難救助以外の用途も開ける。例えば空港がなく、貨客船で片道24時間もかかるため「東京なのに世界一遠い」といわれる東京都小笠原村の父島、母島へのUS2を使った運航が実現するかも知れない。滑走路が不要なので、世界自然遺産に指定された小笠原諸島の自然を破壊することもない。

 インド政府へのUS2売却は、世界市場の開拓と国内における離島間の航路開設につながる可能性を秘めている。日本政府のだれが主導権を握り、どのようなコンセプトでUS2を売り込んでいくのか、早急に戦略構想を固めることが求められている。

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