博多どんたく「人出220万人」ウソ?ホント? 実は勘が頼り… 福岡

 ■「賑やかな方がよかろうもん」

 ゴールデンウイーク期間中、全国トップ級の人出を誇る「博多どんたく港まつり」(5月3、4日)。主催者は「今年は晴天に恵まれたこともあり2日間で延べ220万人が訪れた」と発表したが、これは福岡市民(150万人)が全員どんたくを見物した上でさらに70万人の観光客が訪れないと達成できない数字だ。ではホントは一体何人が訪れたのか。検証してみた。(田中一世)

 「われわれが広場や演舞台を訪ねて回り『前年より賑わっているからプラス何十万人』とか『ちょっと人が少ないから何万人引こう』-などと目分量で判断しています…」

 どんたくを主催する「福岡市民の祭り振興会」の事務局を兼ねる福岡商工会議所商工振興本部で、人出の算定根拠を尋ねたところ、担当者から驚きの答えが返ってきた。

 昨年の人出が210万人(1日目100万人、2日目110万人)だったので、今年の1日目は「前年より少し多い」と判断して10万人増やし、2日目は「まあ昨年並み」と判断して110万人-と勘を頼りに弾き出していたわけだ。

 では、算定基準となるベーシックな数字は、いつ、誰が、どのように弾き出したのか。担当者は「いろいろと確認しましたが、記録が残っていないのでわかりません。少なくとも私が担当している3年前からは前年比較ですから4年以上前であることは確かですが…」と口ごもった。

 そこで商工会議所や県庁などで関係者の証言をたどっていったところ、40年ほど前に一度来場者数をきちんと算出したことがあることがわかった。

 算出を担当した昭和40年代に振興会事務局次長を務めていた岡部定一郎さん(82)は、福岡県太宰府市でご健在だった。

 「県警が警備計画を立てるためにはある程度の根拠が必要だと言われたので私が来場者数を計算したんです。実はそれまではまったく当てずっぽうでした」

 やはり…。では、岡部さんはどうやって来場者数を弾き出したのか。

 まずパレードが行われる「明治通り」の歩道(約1400平方メートル)に、1平方メートル当たり6~9人の通行人がいると仮定。これが1日当たりで十数回人が入れ替わるとして積算した。

 同じように演舞台も1日に3回人が入れ替わるとして「客席総数×3」で来場者を算定。こうやって歩道と演舞台の人出を計30万人と弾きだした。

 さらに、かつてどんたくの目玉だった装飾した路面電車「花電車」を沿道から見た人を70万~80万人と算定。これに博多駅、博多港、バス、高速道路などの利用者数計120万人を合算し「二百数十万人」という数字が誕生したそうだ。岡部さんはこう結んだ。

 「これで県警の了承も得たと記憶してます。厳密な数字ではないし、かなりの人数がダブっているので甘いことは分かっていますが、まあ祭りですから人出も賑やかな方がよかでしょう?」

 とはいえ、1平方メートル6~9人は山手線のラッシュ時でもあまりない混雑ぶり。日本最大の集客施設といわれる東京ディズニーランドとディズニーシーの入園者が年間2750万人であることを考えると「2日間で200万人超」はあまりに多すぎる。

 では、実際にはどれほどの人出があったのか。

 どんたく期間中ではないが、福岡大学都市空間情報行動研究所が極めて厳密な調査を行っていた。

 平成23年6月下旬の土日に行った調査によると、2日間の来訪者は博多駅周辺が32万人、天神周辺が50万人の延べ82万人だった。

 どんたく演舞台は百道浜(早良区)、野芥(同)、大橋(南区)-など郊外にも設置されているとはいえ、どんたく当日は博多駅・天神界隈は普段の土日の2・5倍以上の人であふれかえったことになる。

 5月3、4日に福岡市内に出入りした交通量を調べると、出入りは普段の土日とほぼ同じか、むしろ出の方が多いくらいだった。九州自動車道も5月3日は福岡から熊本方面に向かう下り線が56・3キロの大渋滞となり、上り線はそれほどでもなかったことを考えると、福岡市民はむしろ市外に遊びに出かけた人の方が多かったように思える。

 こう考えるとどんたくの2日間の人出は多くとも100万人前後と考えるのが妥当ではないだろうか。

 ただ、祭りやイベントで人出を多めに発表することはどんたくに限ったことではない。まあ2倍の水増し程度ならば「博多っ子のご愛嬌」と言ってもよい。

 とはいえ、祭りやイベントである程度正確な人出を予想しなければ交通機関は混乱するし、商店主らも算盤を弾きようがない。

 そこで観光庁は平成21年、人出の実数の統一推計式を提案した。日帰り客の場合、複数の観光地で訪問者を数え、それをアンケート調査で推計した1人あたりの平均訪問地点数で割る-という方式だ。

 ただ、どんたくの最中の歩行者を見物客と買い物客に区別するのは至難の業だ。観光庁の担当者も「市街地全体が会場となるイベントでは計りようがないのが現状です。まあ今後の検討課題でしょうね」とさじを投げた。

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