平昌から東京へ!河瀬直美が「東京2020オリンピック」への意気込みを語る

第31回東京国際映画祭の開催最終日を迎えた3日、東京国際フォーラムホールCにて今年の映画祭の締めくくりとなる特別招待作品の『平昌2018冬季オリンピック公式映画:クロッシング・ビヨンド』が上映。上映前に行われたトークショーに豪華ゲストが登壇した。

最初に登壇したのは、ソチオリンピックの銅メダリストで、平昌オリンピックにも出場したスキーフリースタイルの小野塚彩那選手、アイスホッケー日本代表でソチと平昌と2大会連続で出場した久保英恵選手と中村亜実選手の3名。彼女たちは自身がオリンピックに出場した時の心情を語っていく。久保選手は初出場だったソチオリンピックについて「やっとつかんだオリンピックだったので、本当に来たんだって気持ちが先行して、舞い上がっていた部分はあったと思います」と述懐。それにはチームメイトの中村選手も深く頷きながら「2回目だった平昌の時には、地に足をつけて、試合に向けて頑張っていけたかなと思います」と微笑んだ。

続いて2020年に開催される「東京2020オリンピック」の公式記録映画の監督に任命された河瀬直美監督と、本作『クロッシング・ビヨンド』を手掛けたイ・スンジュン監督が登壇。河瀬監督は3人のアスリートを見て「本物のオリンピック選手に会えるなんて」と顔をほころばせ、イ・スンジュン監督は韓国国外での初めての上映に緊張の面持ちを浮かべる。

そしてイ・スンジュン監督は作品に込めたテーマについて「韓国といえば“分断”という現状がある」と真剣な表情を浮かべ「その分断をいかにして乗り越えていくか。選手たちにも乗り越えるべき境界があるのではないかと思ってテーマを決めました」と力説。その言葉通り、韓国と北朝鮮の国境である共同警備区域の映像から始まる本編では、様々な選手たちの物語が描き出されていく。

中でも目を引くのは“コリア代表”として出場したアイスホッケーのパク・ユンジュン選手。アメリカで育ち、自身が韓国人であるということをなかなか受け入れようとしてこなかった彼女は、南北統一チームへの葛藤を抱きながらも競技を通して北朝鮮選手団と理解し合い、自身が韓国人であるというアイデンティティを得ていく。とりわけ平昌オリンピックを描く上で、南北統一チームは欠かすことができないトピックであった。

さらにイ・スンジュン監督は「選手たちが持つボーダー、それは文化的であったりアイデンティティとしてのボーダーであったり、宗教的やジェンダーとしてのボーダーなど様々なものがある。そういった物語を紡いでいける選手をリサーチして、フォーカスを当てる選手を選んでいきました」とつづけ、「これまでも有名な監督がオリンピックのドキュメンタリーを撮ってこられた。このオファーは僕にとって家門の栄光だったんです」と笑顔で述べた。ちなみに前回韓国で開催されたソウルオリンピックの際には3本の公式ドキュメンタリーが製作され、そのうち1作を韓国映画界の重鎮中の重鎮イム・グォンテク監督が手がけている。

そんなイ・スンジュン監督からオリンピック公式ドキュメンタリーのバトンを受け取った河瀬監督は「市川崑監督の時代から2回目のオリンピックを経て、日本がどのように世界にアピールされていくのか。その一端を担う作品作りになる。作ると同時に私も発見していく旅になると思う」と語り「オリンピックに対する期待や、いろんな意見がある中で、人類がどうしてスポーツに感動するのか。この先の人類にどのように影響していくのか見つめていきたい」と意気込む。そしてイ・スンジュン監督に「ぜひ手伝ってください」と囁くと、会場からは大きな笑いが起こった。

はたして河瀬監督は「東京2020オリンピック」の姿をどのような形でスクリーンに連れてきてくれるのか。2020年に行われるオリンピック競技大会を心待ちにしている人はもちろんのこと、映画ファンにとっても、2021年頃に公開が予定されている公式ドキュメンタリーは必見の作品となりそうだ。

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