トランプ大統領の了解で、現実化する金氏の年内訪韓

韓国統一部は受け入れ準備始める、ソウルタワーの民間予約受け付けず
 北朝鮮の核問題をめぐる米朝間の交渉が足踏み状態に陥っている中、「仲裁者」を自任する韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、金正恩(キム・ジョンウン) 朝鮮労働党委員長の年内訪韓のためにトランプ大統領と直談判した。今月中旬の訪韓の可能性がでてきた。

 11月30日、韓国有力紙の『朝鮮日報』は、大統領府が金正恩氏の年内訪韓を推進するため、米国側に了解を求めると報じた。北朝鮮消息筋として伝えた同紙の報道によると、当初、大統領府は北朝鮮側に12月13-14日の金正恩氏の訪韓を要請したが、北朝鮮側は警護などの問題を理由に、「今年は難しい」と伝えたという。

 しかし大統領府は米国の了解を得てから北側をもう一度説得するという案を検討し、G20(主要20カ国)首脳会議で文大統領がトランプ米大統領にこの問題を取り上げる予定だと伝えた。

 12月1日(現地時間では11月30日)、ブエノスアイレスで開かれたG20に出席した文在寅韓国大統領とトランプ米大統領との単独会談が行われた。会談前に形式と時期について両国間に雑音が多かっただけに、急に決まった会談だったと推測される。「プル・アサイド(pull aside=略式会談)」形式で進められた30分間の非公開会談で、文在寅氏はトランプ氏から「金正恩委員長の韓国訪問に同意する」という趣旨の答えを得ることに成功した。

 会談の成果について、韓国の大統領府は、「両首脳は金正恩委員長のソウル訪問が韓半島の平和定着に向けた共同の努力に追加的なモメンタムを提供するという点で意見が一致した」と発表し、トランプ氏が金正恩氏の韓国訪問を公に支持したと強調した。

 一方、米ホワイトハウスは、金正恩氏の韓国訪問については一切言及しなかった。ホワイトハウスは声明で「両首脳は北朝鮮の最終的かつ完全に検証された非核化を果たすための意思を再確認した。また両首脳は、非核化だけが朝鮮半島を経済的繁栄と持続的な平和へ導く唯一の道であることを北朝鮮に確実に理解してもらうため、現行の制裁を強力に履行していくことの重要性に同意した」と明らかにした。

 総合してみると、文在寅氏は対北制裁履行を約束する代わり、トランプ氏から金正恩氏の訪韓に「反対しない」という回答を得たと推測できる。

 12月2日(現地時間では1日)、ブエノスアイレスから国賓訪問国のニュージーランドへ向かう大統領専用機の中で、文在寅大統領はG20外交について韓国記者たちと懇談会の形式で記者会見を行った。韓国メディアによると、この席で文大統領は「朝米首脳会談や高官級会談が行われる前に(金氏の)訪韓が行われることが問題にならないかという懸念があった」と説明したうえで、「(韓米首脳会談で)トランプ大統領との会談により、そうした懸念は消えた」とし、12月中の金正恩氏の訪韓を再度推進する考えを示した。

 さらに「トランプ大統領から、金委員長が年内に訪韓する場合、自身のメッセージを伝えてほしいと言われた」「(メッセージは)金委員長の願いを自分(トランプ氏)が叶えてあげられるという内容だ」とし、金正恩氏の訪韓こそが米朝首脳会談に役立つと強くアピールした。

 主管部署の韓国統一部も、金正恩氏の年内訪韓は「可能で必要だ」という立場を堅持している。統一部は定例会見で「物理的に韓国政府が金氏の年内訪韓を準備できるか」という記者の質問に、「平壌共同宣言から近いうちに(金氏が)ソウルを訪問することで合意している。南北間の合意事項が支障なく履行されるよう関連準備と努力を着実にしていく」とし、金氏の年内訪韓に備えて準備していることを示唆した。

 金委員長の訪韓が実現した場合の訪問地とされる済州島は、金氏の同島にある漢拏山(標高1950メートル、韓国の最高峰)登山に備え、警護や警備、安全など諸分野の準備のためのTF(タスクフォース)を設けた。元喜龍(ウォン・ヒリョン)済州島知事は金正恩氏の漢拏山訪問に使われるヘリの離着陸地点に対する点検も行った。

 『韓国経済新聞』は、韓国政府が最近、13・14日の2日間、南山ソウルタワーの予約を受けないようにという要請を該当企業側に伝えたと報じた。これはソウルのシンボルの一つである南山ソウルタワーの展望台に文在寅大統領と金正恩委員長が一緒に登るためのものだと伝えた。

 同紙はまた,「文在寅政府は、金氏の年内訪韓に備えて警護が容易なソウル市内の特級ホテル2、3ヵ所を宿舎として検討しており、京畿道水原(キョンギド・スウォン)のサムスン電子工場、慶尚北道浦項(キョンサンブクト・ポハン)のPOSCO製鉄所など、韓国の代表的な産業施設への訪問も有力な日程として検討している」と伝えた。

 北朝鮮専門家の間では、金委員長が父の金正日総書記の7周忌の12月17日以前に韓国を訪問する可能性が高いと思われている。忌日の17日前に訪韓するためには、13日-15日間の2泊3日の日程が最も可能性が高いという見通しだ。

 一方、『中央日報』系列のケーブルチャンネルの『JTBC』 は、「北朝鮮内部の情報に詳しい政府関係者に確認した結果、北朝鮮が18日から20日間の日程を空けていることが分かった」とし、「金正恩委員長が年内訪韓するのなら、この時期が最も有力と見られる」と伝えた。

 金正恩委員長の韓国訪問が現実化するにつれ、韓国内の葛藤も高まりつつある。最近は光化門(クァンファムン)広場で金正恩ファンクラブを募集する団体が議論を呼んでいる。左派青年団体の『白頭称賛委員会』は「私は共産党が好きです」「金正恩委員長の熱烈なファンです」という文句を掲げて、ソウル市内の各所で公開的に金正恩氏を褒め称え、金氏のファンクラブ会員を募集している。

 彼らは、太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮大使館公使などの脱北者を「民族の反逆者」に挙げ、「公開手配」に乗り出し、物議をかもしている。文在寅政権が運営する教育専門メディアのEBSは、金正恩委員長を「韓半島平和時代を切り開く指導者」「世界最年少国家元首」という称賛の修飾語が付いたパズルを制作・販売し、右派勢力から批判を浴びた。

 親朴槿恵(パク・クネ)系のミニ政党の『大韓愛国党』は『金正恩逮捕特攻隊』を募集している。金氏が訪韓するなら国家保衛法違反で逮捕しなければならないというのが彼らの主張だ。彼らはアメリカの星条旗を裂く反米団体のデモのすぐそばで、北朝鮮の人共旗を破るパフォーマンスで対抗している。与党の『共に民主党』が金正恩氏の国会演説を実現しようとする一方で、第1野党の『自由韓国党』は、北朝鮮潜水艦の魚雷攻撃で46人の韓国海軍が死亡した「天安艦事件」に対する謝罪なしでは金氏を国会に入れないと固く拒否している。

 日増しに悪化している経済情勢とともに、相次ぐ与党関係者や大統領府内部のスキャンダルによって、文大統領の支持率は9週連続下落し、いつの間にか40%台に突入した。金正恩氏の訪韓が実現すれば、北朝鮮の非核化に対する具体的な成果がなかったとしても、文政権の支持率を急上昇させることができるだろう。国内問題で四面楚歌に立たれた文政権は、いかなる土産を用意して金委員長の12月訪韓を成功に導くのだろうか。

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