サラリーマンが週末限定レスラーに変身 二足のわらじで「仕事も頑張れる」

 プロレス好きのサラリーマンでつくる団体が大阪にある。所属するレスラーやレフェリーらの全員が食品会社やスポーツジムなどで働いている。メンバーは「プロレスがあるから日々の仕事を頑張れる」と話し、週末限定でレスラーやレフェリー、実況アナウンサーに変身。リングで熱いバトルを繰り広げている。

 「バックドロップが決まった! 脳天真っ逆さまにリングに落ちていった!」

 今月2日、大阪市天王寺区の商業施設「うえほんまちハイハイタウン」の特設リングに、実況アナの絶叫が響き渡った。レスラーが「ドロップキック」や「ムーンサルトプレス」など激しい技をかけ合い、集まった約200人のファンから歓声が上がった。

 「きょうも、ええ試合ができたなあ」と試合を振り返るのは、大阪を拠点に活動するプロレス団体「紫焔(しえん)」代表、佐原英司さん(39)だ。紫焔に所属する全レスラーやレフェリー、実況アナは会社員として二足のわらじを履いている。リングネームが「キアイリュウケンエッちゃん」の佐原さんも大阪市内の自動車用品販売会社で営業を担当している。

 佐原さんが、紫焔を立ち上げたきっかけは平成21年、プロレス仲間と大阪・ミナミのアメリカ村にある御津公園(通称・三角公園)にマットを敷いただけの即席リングをつくり、プロレスを企画したことだ。大学時代にプロレス同好会に入っていた。卒業後は警備会社に就職したが、働きがいが感じられず、転職を繰り返し、悶々(もんもん)としていた。久しぶりのマットの感触と周囲の歓声に「自分の生き方に初めて正直になれた」ように感じたという。

 翌22年3月に紫焔を発足。当初レスラーは6人だけだったが、現在は20人に増え、レフェリーや実況アナの担当者も加わった。試合の際はレスラー自らがチケットを売り歩き、飲食店などにポスター掲示を依頼する。平日は仕事、週末は練習や試合で休む間もないが、佐原さんは「レスラーという『第2の自分』が活力となり、仕事も頑張れる」と説明する。

 リングネーム「マロ栗山」を持つ食品会社社員、栗山和也さん(41)も「プロレスは仕事面でもプラス」と話す。会社からレスラー活動の許可をもらっており、営業先でもリングネームで呼ばれるほどだ。本名でリングに上がっているスポーツジム店長の大久保寛人さん(27)は「プロレス優先で職業を選んだ。紫焔には社会人が大勢いて、すごく居心地がよい」と笑顔をみせる。

 佐原さんは「社会人でプロレスを続けたい人の受け皿を作れた。今後もプロレスで大阪の人に勇気を与えたいし、いろんな人の生きがいになれば」と話している。

 紫焔の試合日程や問い合わせはホームページshi-en.comまで。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック