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zoom RSS 警備員が足りない!「2019年度問題」とは何か

<<   作成日時 : 2018/12/19 05:50   >>

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東京オリンピック・パラリンピックが刻々と近づいている。オリンピックの規模は開催ごとに拡大しており、同時にセキュリティーにかかる費用もうなぎ登りだ。その理由は、言うまでもなく世界各地でテロが頻発しているからである。

 過去には1972年のミュンヘン大会で選手村襲撃テロが、1996年のアトランタで爆弾テロが発生したほか、1988年のソウル大会の前年には、大会の妨害を狙って大韓航空機爆破事件が発生した。

■2019年は年間を通して重要行事が多い

 物理的な攻撃ばかりではない。近年オリンピックへのサイバー攻撃が、かなりの頻度で行われている。

 2012年のロンドン大会では開会式当日、電力システムへのDDoS(分散型サービス拒否)攻撃が「40分間に1000万回」を数えるという異様な事態となった。2016年のリオデジャネイロ大会や2018年の平昌冬季大会でも、執拗かつ高度なサイバー攻撃が報告されている。いまやオリンピックは、テロリストにとって格好のターゲットになってしまったようだ。そこで気になるのが2020年に迫った東京大会である。

 そこで今回は、セキュリティー分野専門家に、東京オリンピックで起こりうる危機について話を聞いたところ、テロ問題(情勢・対策)や危機管理の研究機関「公益財団法人公共政策調査会」の研究センター長・板橋功氏は、警察官など警備に従事する人の不足が引き起こす「2019年度問題」を懸念材料に挙げた。

 同氏によると、「2019年度は国家的・国際的な行事が多い年。個々の行事は発表や報道がなされており秘密でも何でもないが、年間を通して行事が多いことが認識されていない」。

 たとえば、4月30日には、「退位礼正殿の儀」が開かれ、5月1日新天皇の即位し、今上天皇の退位と新天皇の即位の儀式の儀礼が執り行われるほか、6月下旬には「G20サミット」(大阪)、9月20日〜11月2日に「ラグビーワールドカップ」、10月22日には「即位礼正殿の儀」と「祝賀御列の儀」が開催される。警備警察にとってはまさに実践の連続だが、一息ついたと思ったら来年3月には聖火リレーが始まる。

 警備面に限っていえば、ゆっくりとオリンピックの準備をしたり、訓練をしたりしている時間はない。準備や訓練は、あらかた2018年度中に終えておかなければならない状況だ。

 しかも警備が必要なのは東京だけではない。G20は大阪開催だし、ラグビーW杯は全国12都市で行われる。またオリンピックのテスト大会も種目ごとに開催される。さらにオリンピックの事前キャンプ地や休養地は全国の自治体で誘致活動を行っている。警備はオリンピックのかなり前から始まるのが、これだけイベントが目白押しだと必然的に警備員不足になる。休む間もなく激務に追われることから、警備疲れによるセキュリティー低下が心配である。

 オリンピック期間中も警備員不足が懸念される。東京都が作成した大会開催計画文書によれば、オリンピック期間中必要な警備要員5万人(警察官2万1000人、民間警備員1万4000人、ボランティア警備員9000人)で、オリンピック会場などの直接的な警備には、1万4000人の警備員が必要となる。

 首都圏では足りないため、全国からかき集められることが予想される。しかし、オリンピックの期間中は観光客が増大するはず(政府は2020年の訪日外国人数4000万人を目標に掲げている)。彼らは東京だけでなく、全国各地の観光地にも足を運ぶだろう。このような観光地はソフトターゲットでもある。誰が警備するのだろうか?  補充しようにも警備員は東京に出払っている可能性がある。

■直接テロよりサイバーテロの懸念

 都内および近郊の大規模な集客施設や商業施設の警備にも不安が残る。首都圏の人出の多い場所は、オリンピックイヤーならではの混雑に見舞われる可能性が高い。しかし警備員を増員しようにも「いえ、人手が足りません。逆に半分にしてください」などと要請される可能性がある。

 余談だが、オリンピックには世界の富裕層が集まるという。彼らは自家用ジェットや自家用ヨットで観戦に来るが、これはサッカーのワールドカップではあまりないことだ。それを立証するかのように、観戦チケット代もホテル代もオリンピックのほうがW杯よりも高い。当然警備コストもハネ上がることになる。

 一方、拓殖大学国際学部教授で、安全保障や防衛産業が専門の佐藤丙午(へいご)教授は、「セキュリティー費用が増大してしまうのは致し方のないが、心配すべきトピックは多くない」と話す。

 防衛庁防衛研究所出身で、2010年には外務省参与を務めた経験も持つ佐藤教授によると、想定される危機があるとすれば、物理的テロとサイバーテロである。ただし、前者は考えづらく、東京大会で実行される可能性が大きいのは後者だろうという。理由は「日本国内から攻撃する必要がない」からである。

 さらに、「懸念があるとすれば、実施状況にかかる部分だろうか。たとえば不測の事態が起きたとき、避難所をどうするのか。ベッドの手配は?  外国人も含めた避難者が本当に段ボールで囲った場所にゴロ寝でいいのか?  そんなレベルの話が重要な点になるかもしれない」と話す。

 東京オリンピックでは、セキュリティー対策においては限られた条件の中で、既存のシステムに調整を加えていく形が想定されている。その際、不安を残すのは危険人物の把握だと佐藤教授は指摘する。具体的には、日本に入国するすべての人をデータベースと照合し、把握する「顔認証システム」の活用である。

 現在日本の主要空港では、日本人を対象に入国の際、パスポートの顔写真データとカメラ画像の照合によるリアルタイム判定が行われている(成田空港では、今年10月から出国の際の審査も始まっている)。今後は、この対象を外国人にも広げ、入管で入手した情報を個々のプライバシーを濫用しない範囲の中で、オリンピックの際の警備に生かしていくことが重要になるだろう。

■グランドデザインがないと心もとない

 ただし、顔認証システムの幅広い導入や活用に対しては、人権活動家から反発する声も出ている。「大規模なイベント運営で大切なことは、グランドデザイン。これがないまま技術的な問題解決のみを推し進めると、技術を悪用する人間が出てくる」と佐藤教授は話す。「人権派の方たちの懸念はもっともだが、顔認証システムがなかったときの不安のほうが大きいので、導入を見送ることはないだろう」。

導入や活用をめぐる世論の対立を招かないためにも、組織委員会が警備面において「ここまでやりたい」「できないことはこれだ」と線引きし、公にすることは必要不可欠だ。またその絵図を描いた人間が誰なのか、はっきりさせておく必要もある。主導するのは政府機関か民間企業か。政府機関であれば、データ収集の透明性と使用に関する説明責任が求められるし、民間企業であればプライバシーの遵守が求められる。

 さらに、佐藤教授は「危険なのはむしろオリンピック後」と警告する。過去のオリンピックでも、開催国にやってきてそのまま行方不明になる外国人が一定数いた。警察は海外からの情工作員が身分や戸籍を乗っ取って日本人になりすます、いわゆる「背乗り」の心配をしているという。背乗り要員が日本で経済活動を行い、たとえば皇居周辺や自衛隊基地周辺の土地を購入する。そんな部分に警察は注意を払っているようだ。

 オリンピックそのものの警備に向けた課題も少なくないが、その前後も気を抜くわけにはいかない。日本政府には長期的な視野に基づいて、警備やより幅広いセキュリティーについての対策を練ることが求められる。

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