木造船漂着に自治体苦悩 既に昨年度の2倍

朝鮮半島からとみられる木造船が相次いで青森県の沿岸に流れ着く事態に、自治体などの関係機関が頭を悩ませている。30日もつがる市と鯵ケ沢町で計3件の漂着が確認され、2018年度は11市町村で32件と、17年度の14件の倍以上を数える。この中で、処理が完了したのは、わずか3件。1件の処理には数十万円から100万円前後が必要で、費用負担がネックとなっている。

県は毎年度、沿岸自治体に環境整備費用として国の補助金を配分している。本来の趣旨は空き缶やペットボトル、流木など漂着ごみの処分や海岸の美化への活用。17年度は県が各市町村の余剰分をかき集め、漂着のあった市町村に割り当てる対応をとったほか、3月の補正予算でも対応した。

 18年度は8855万円を19市町村に分けた。この補助金で処理を進める市町村がある一方、木造船の漂着を想定していないため、補助金が不足する自治体が続出している。

 11月に2件の漂着があった大間町では、既に約40万円かけて1件の処理を終了させた。もう1件は仮置きの状態で、処分に114万5千円かかる見込みという。見つかった遺体はDNA鑑定や火葬の後、無縁仏として供養される。担当者は「処理以前に、船を運び、引き揚げるのにもお金がかかる。漂着が多くなると苦しい」と話す。

 中泊町では漂着した4件のうち2件の処理を終えた。残る2件の処理には、1件当たり約100万円が必要とみられ、「今後船が来ないことを祈っている」と担当者の思いも切実だ。

 県内最多の7件の漂着があった深浦町は、まだ1件も処理できておらず、ロープでつなぎ止めるなどしている。町民課の担当者は18年度の木造船の特徴について、「船体にはエンジンやかじがついておらず、魚を取る網や食べ物も見つからないことが多い」と印象を語り、「船を意図的に投棄しているのではないか。ごみとして捨てた物を自分たちが一生懸命処理しているとしたら憤りを感じる」と怒りをあらわにした。

 漂流中の船を市町村に引き渡す青森海上保安部も対応に苦慮している。山本修警備救難課長は「市町村の担当者から『お金がないと動けないので、持ってこないでほしい』と言われてしまうこともあり、こちらも難しいところだ」と語る。

 市町村の苦しい状況を踏まえ、県環境政策課の澤田靖課長は、17年度同様に、船が流れ着いていない沿岸自治体に補助金の余剰分がないか照会する考えを示しつつ「それだけでは足りないだろう」と推測。「市町村の意向を大切にしながら、補助金の追加を国に求めることも含めて進めたい」とした。

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