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zoom RSS 電車も宅配も滞る 「混雑五輪」高まる懸念

<<   作成日時 : 2018/12/13 22:47   >>

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遅れる電車、届かぬ宅配便……。東京五輪で交通網がパンクする懸念が高まっている。平時から混雑する首都に、五輪関連の約1000万人もの移動が加わるとどうなるか。観光立国を目指すうえで避けて通れない課題だが、対策は遅れている。
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【関連画像】平日の混雑を避けられるかが課題に。東京五輪の開催スケジュール 注:2020年に限り、海の日(通常は7月第3月曜日)を7月23日に、体育の日(同10月第2月曜日)を7月24日に、山の日(同8月11日)を8月10日に移す特別措置法が18年6月に成立している。

 2020年8月某日の朝。自宅から東京・大手町にある会社に向かう僕は、思わずため息をついた。最寄り駅で乗り込んだ電車がいつまでたっても出発しないのだ。車内放送は「混雑のため車両間隔を調整しています」と繰り返すばかり。このままでは確実に遅刻だろう。

 すべてオリンピックのせいだ。ニュースでは「不要不急の外出は控えて」と連呼している。道路輸送が滞ってコンビニの棚は空っぽ。ネット通販も配送利用に制限がかかっている。平和の祭典を開催する意義は理解している。けれど日常生活にこれだけ我慢を強いられると、さすがに不満も募るよ……。

 デタラメな空想ではない。東京五輪・パラリンピックが近づくなか、大会期間中の混雑が大きな課題として浮上している。20年夏は、普段から混み合う過密都市に大会関係者や観戦客など約1000万人の往来が加わる。政府は通勤による混雑を避けるため、この年に限って体育の日など複数の祝日を大会前後に移す対策を決定した。だが、その場しのぎの弥縫策にすぎない。

 人口減少で国内消費が頭打ちとなるなか、訪日外国人需要の獲得はますます日本経済のカギを握ることになる。リピーターとして再訪し、日本にお金を落としてもらうためには、五輪を契機に東京を訪れた外国人客を失望させられない。東京五輪における混雑解消の成否は、今後本格的に観光立国を目指す日本にとって大きな意味を持つ。

駅構内、あふれ返る乗客
 「朝の通勤ラッシュと観戦客の移動が重なると、東京駅では普段の2.5倍、永田町駅では3.2倍の乗客が駅構内にあふれ返る」。中央大学理工学部の田口東教授は指摘する。田口教授は鉄道利用をめぐる国土交通省の実態調査や大会招致時の開催計画などを独自の数理モデルに当てはめ、駅構内に滞留する利用者が平時よりどれだけ増えるのかシミュレーションした。そこから浮かび上がったのが、競技会場近くの駅だけでなく、通勤客の多い東京駅や新宿駅でも普段の2倍を超える人々が構内にあふれる可能性だ。

 首都圏で通勤・通学に電車を使う人は約800万人。これに対し五輪の観戦客は多い日でも約65万人と、それほど多くないようにも思える。朝でなければ、東京の交通網にもまだ余裕がある。

 だが33競技339種目(オリンピック)を短期間に詰め込む大会の性格上、朝一番に始まる競技も多い。たとえば東京都心に位置する新国立競技場で実施される陸上の競技は、10日間のうち8日は午前9時までに開始予定だ。

 しかも通勤客と違い、不慣れな外国人客は駅構内で立ち止まることも多いだろう。観光庁が17年秋に実施した訪日外国人向けアンケートでも、「旅行中最も困ったこと」として公共交通を挙げたのは12.7%。施設別の回答としては飲食店や宿泊施設の情報入手(3.1%)や医療機関の受診や保険関連(1.7%)を上回った。

 地下鉄9路線を運営する東京メトロの岩本大史オリンピック・パラリンピック推進室課長は「五輪があっても通常の経済活動を止めるわけにはいかない」と話す。だが五輪に向けての施策は現時点でホームドアやバリアフリー設備の整備、情報提供の強化などにとどまり、通勤ラッシュ時の混雑緩和を主目的にうたうものは見当たらない。

 JR東日本も「混雑が予想されるので、これから臨時列車の運行などを検討する」(広報部)としている。だが競技会場周辺に向かう路線の一つ、京葉線・武蔵野線の時刻表をみると、東京駅を出発する千葉方面の列車は午前8時台だけで21本。すでに過密ダイヤが組まれており、大規模な増発は望み薄だ。

 鉄道以上に影響しそうなのが道路交通だ。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と東京都がまとめた「交通需要マネジメント推進に向けた基本方針案」によると、対策を講じなかった場合、首都高の渋滞は現況の2倍近くに悪化する見通し。そこで組織委は平日の交通量を通常より15%減らし、休日並みとする目標を掲げる。頼みの綱は「共助の輪の拡大」だ。

●頼みの綱は「共助の輪」

 共助の輪とは何か。あくまで「自主的な取り組みが基本になる」としつつも、組織委は物流会社などに輸送ルートや配送時間の変更、路上における荷さばきの抑制などを呼びかける。

 だがハードルは高い。例えば生鮮食品から日用品に至るまで、幅広い商品をそろえるコンビニ。店舗への配送は1日8回前後。数十年前と比べると10分の1まで効率化されており、減便は困難だ。それでも配送を減らそうものなら「商品の安定供給が危うくなる」(大手コンビニ幹部)。

 消費者に求める「共助」も負担は大きい。具体的には宅配便の受け取り時間の変更や、再配達の抑制といった内容だ。近年ライフラインの一つといえるまで浸透したネット通販の利便性が低下するのは確実。大手ネット通販幹部は「組織委の要請なら従わざるを得ないが、消費者に迷惑がかかる。落とし所が難しい」と嘆く。

 東京都オリンピック・パラリンピック準備局の片寄光彦・輸送担当部長は「大会の主催者側が『経済活動を止めて』と命じることはできない」と話す。「あくまで各企業・各個人に、それぞれできる範囲での協力をお願いするしかない」という姿勢だ。だが平昌冬季五輪をはじめ、最近の五輪では自動車のナンバープレートの偶数・奇数別に指定エリアへの乗り入れ規制をかけるのが定着している。「共助」にすがるだけでなく、主催者が主体的に抜本策を打ち出す必要があるだろう。

 本番まで残り2年を切った今、混雑解消に向けた有効策は見いだせるのか。組織委で大会運営の計画づくりに携わる一人は「組織委は東京都など行政からの出向者と、民間企業からの出向者で構成されている。出身母体ごとに仕事の進め方やスピードが違い、様々な施策が停滞している」と話す。人材の多様性は、本来なら組織の強みになるはず。今後は、多様な知恵をどれだけオープンに取り込めるかが問われる。

 組織委の外からは、具体的なアイデアを提示する動きが出ている。東京海洋大学の渡部大輔准教授が提唱するのは、競技会場の最寄り駅への人の集中を避ける案だ。開会式や陸上競技に使われ、最大8万人を収容する新国立競技場の最寄りは、徒歩数分のJR千駄ケ谷駅、都営大江戸線の国立競技場駅など。だが「これらの駅に利用が集中すると容量オーバーは確実」(渡部准教授)。

 代わりに渡部准教授が提案するのが徒歩20〜30分の新宿駅の活用だ。少し歩くことになるが、その間にある新宿御苑という公園を通過するルートを設定。歩道に密集することなく、園内をゆったり歩けるようにする。広大な土地があるのでセキュリティーチェックを実施してから競技場に誘導することも可能だ。試算したところ、混雑緩和の効果を確実に見込めるという。

混雑解消がビジネスに
 何事も、課題にはビジネスチャンスが潜むもの。五輪を機に市場拡大を狙う企業も出てきた。その一例が月間4800万人の利用者を誇る経路検索サービス大手、ナビタイムジャパンだ。

 同社がアピールするのはスマートフォンアプリの活用。17年に提供を始めた混雑回避を優先する検索モードを使えば、観戦客を分散できるという。国交省の鉄道利用調査に同社の実地調査、乗り換え検索エンジンをかけあわせ、混雑具合を予測。多少時間がかかっても車内が空いているルートを提示する。

 将来的には数時間後の混雑を見越して、アプリ利用者の属性によって最適な検索結果を出し分け、利用者の集団を誘導することも技術的に可能という。大西啓介社長は「組織委や東京都から話があれば、共同でアプリを開発するなど連携もできる」と秋波を送る。

 宿泊ではすでに具体的に動き出した計画もある。大型クルーズ船をチャーターして宿泊施設として利用する、JTBの「ホテルシップ」だ。スイートルームから窓なしのツインまで1000室超を備え、20年7月23日から8月9日までの18泊、横浜・山下ふ頭に停泊させる。船上にはエンターテインメント施設やショーの観覧ステージも備えており、泊まる体験そのものも含めた商品として売り出す。

 もともとは五輪開催時の一時的な宿泊需要の増大に対応する狙いのホテルシップ。だが、見据えているのは五輪の先だ。JTB法人事業本部の鈴木章敬・事業推進担当部長は「国際会議や展示会など大型イベントの誘致などで一時的・局所的に宿泊需要が高まる機会は五輪以外にもある。政府が観光立国を目指すなかで、新たな事業モデルとして確立させたい」と話す。

 政府は30年に訪日外国人旅行者数を、15年の約3倍に当たる6000万人へと引き上げる目標を掲げている。海外からの玄関口となる東京を、混雑によるストレスを感じない都市にできるか。その第一歩を踏み出す機会として東京五輪を生かすべきだ。

混雑突くテロ対策、人手不足との戦いに

 五輪のもう一つの重要課題がテロ対策だ。世界が注目する大イベントは、自らの存在を広く知らしめたいテロリストにとって絶好のアピールの場。警察や民間警備会社が対策を急ぐなか、元外交官で現在はキヤノングローバル戦略研究所で研究主幹を務める宮家邦彦氏は警鐘を鳴らす。「主催者が守りたいもの、テロリストが攻撃したいものにズレが生じるリスクがある」

 懸念を抱いたきっかけは、宮家氏が有志を募って2017年秋に実施したロールプレイングだ。参加したのは現役官僚や中東の専門家・学者など、テロ対策の実務に関わりうる立場の「プロ」たち約50人。ロールプレイングでは攻撃側として宗教過激派、テロ国家工作員、日本人愉快犯の3チーム、守備側として政府関係者チームを編成。各々の立場からどこを攻めるか、どこを守るかの作戦立案を競い合った。

 一昼夜に及ぶチームでの議論を経て、守備側が警備に多くのリソースを配分したのは競技場や国会議事堂、中央省庁、原子力発電所。いずれも攻撃されれば大会が中止に追い込まれる重要施設だった。

 攻撃側は対象が分かれた。テロ国家工作員チームが政府機関や金融機関に狙いを定めたのに対し、宗教過激派は五輪と直接は関係しない商業施設やマスコミ、愉快犯はIT企業などを攻撃対象とした。「重要施設は警備も厳重。テロリストは攻撃の費用対効果が悪いと考えた」(宮家氏)

 この結果が示唆するのは、一口にテロリストといっても動機や手段は多様化しており、守るべき対象が広がっている現実。警備員がいくらいても足りない状況だ。

 そこで警備大手のセコムは、自律走行する巡回監視ロボットを開発している。18年度をめどに実用化を目指す「セコムロボットX2」は複数のセンサーを搭載。警備員の代わりに空港や商業施設の夜間見回りをする。アームの先には金属探知機を備え、不審物に爆破装置が入っていないかも調べられる。警備業界でも人手不足は深刻。セコムは大会後も見据えながら、先端技術の導入を進める考えだ。

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