「渋谷ハロウィーン騒動」が東京五輪とラグビーW杯に飛び火する危険性

 この国は大丈夫なのだろうか。そう思わずにはいられない。東京・渋谷区の交差点周辺でハロウィーン前の先週末、目を疑うようなトラブルが発生した。

渋谷の街が、今年も荒れに荒れた

 大勢の若者たちが、立ち往生した軽トラックの荷台や運転席上部の屋根に乗って大騒ぎし、その後に車体を持ち上げて横倒し。再び元に戻されたが、無残にも軽トラックは運転席のドアがへこんでしまうなどキズだらけの状態になってしまった。この時の詳細な映像は民放局のニュース番組でも流され、ネット上にも流出。日本中から浴びせられている非難の嵐は、今も沈静化していない。まっとうな考え方を持つ人たちの多くが激怒している。

 近年、渋谷の治安は悪化の一途をたどっている。「ハロウィーンの聖地=渋谷」という理解し難い触れ込みに感化され、嬉々としながらやって来てはバカ騒ぎを繰り返す暴徒たちが渋谷のイメージを地に落としているのは明白。この連中の多くは「大勢だから何をやっても許される」との集団心理が働き、周囲とともに一種のトランス状態になって完全に冷静さを失う。身勝手にも渋谷の街が治外法権だと思い込んでしまっているのだ。勘違いも甚だしく、強い憤りを覚える。

 他にも盗難や暴行、痴漢行為など数々のトラブルが報告され、その中からは逮捕者まで出た。だが、こうした蛮行は今年に限った出来事ではない。これまでも渋谷ではハロウィーンの騒ぎに乗じ、ドサクサに紛れて迷惑行為を働く輩が数多くいた。

彼らが騒ぐ理由はなんでもいい
 ハロウィーンだけではない。この渋谷のスクランブル交差点近辺はサッカー日本代表がワールドカップで勝利した際にも「フーリガン」たちが乱痴気騒ぎを繰り広げる危険スポットとしても有名だ。要は本当にハロウィーンやサッカー日本代表の勝利を喜んでいる人はほんの一握りで、渋谷に集まる残りの大半が「何でもいいから無礼講で騒ぎたい」という無責任極まりない思いにかられている。ハロウィーンやサッカーなんて別にどうだっていいのだ。

 この一連の騒動を受けて渋谷区長も怒りをあらわにしながら厳しい言葉を発している。当たり前だ。というよりも、苦言を呈するのが遅過ぎたぐらいで何をいまさらである。警察もハロウィーン当日の10月31日には人員を増やして警備に当たったとはいえ、バカ騒ぎ目的で次々とやって来る人たちの抑止力にはつながらず“カオス状態”は未明まで続いていた。

 メディアのインタビューに対し、堂々と「他の町のハロウィーンは家族連れが多いけれど、渋谷なら若い人たちが多くて騒げるから来た」と言い切る確信犯までいたほどだ。この分だと渋谷の治安回復は当面の間、そう簡単に望めそうもない。

 渋谷のハロウィーン騒動はスポーツ界とも無関係ではない。今後、日本で開催されるスポーツの国際イベントに飛び火しそうな気配が漂ってきているからである。2019年のラグビーW杯、そして20年の東京五輪だ。

 もしかすると「さすがにラグビーで騒ぐことはないよ」「ハロウィーンやサッカー日本代表と比較したラグビーの注目度は雲泥の差がある」などと感じられたかもしれないが、そういう楽観主義者の人たちは渋谷の騒ぎを余りにも甘く見過ぎている。もはや渋谷でバカ騒ぎするルール無用の連中には前例などという枠組みも当てはまらない。彼らが騒ぐ理由は別にどんなことでもいいからだ。

 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いるラグビー日本代表が快進撃を果たし、日本全土が盛り上がるのは大いに結構なことだと思う。だが、これまでのハロウィーンやサッカーW杯の日本代表戦によって「騒げる街、渋谷」の誤ったイメージが定着してしまったことにより、初の日本開催となる来年のラグビーW杯でまた同じような光景が繰り返されるかもしれないと不安を抱く大会関係者は少なくない。

 ジェイミージャパンの戦いぶりが渋谷でワーワーと騒ぎ立てる暴徒たちの新たなターゲットとなる可能性も確かに否定できないのだ。実際に日本ラグビー協会の関係者は次のように神経を尖らせている。

“渋谷暴徒化”は阻止しなければいけない
 「自国開催の大舞台で世界を相手にジャパンが善戦すれば、間違いなく普段ラグビーに興味がない人たちもマスコミのあおりに乗って応援してくれるようになります。そうなればまさに最高の流れですが、やはり怖いのは渋谷で必要以上に騒ぐ人たちが出てくるかもしれないこと。そこでけが人でも出ようものなら、せっかくのラグビー人気も台なしになってしまいます。

 確かにまだラグビー日本代表には渋谷で多くの人たちが集まって勝利を喜んだりするような、そこまでの人気はありません。それでも来年のW杯はこれまで以上の注目度が見込める重要な大会だけに、ジャパンの戦いぶりとともに渋谷で騒ぎを起こしそうな人たちの動向にも運営サイドとしては注視しなければいけないでしょう」

 しかしながら、ただ「注視」するだけではないようだ。それなりの予防策も練りこんでいるという。前出の関係者は「(渋谷での暴徒化を)未然に防ぐ方法としては単に警察任せにするのではなく、ファンに節度ある応援を求めるようなキャッチコピーをつくって世に訴えるなど何らかのパブリッシングを展開することも選択肢の1つとして検討しています」とも続けている。

 そして東京五輪だ。サッカー競技では開催国として森保一監督率いるUー23日本代表が参加する。ぜひメダルを獲得してもらいたいものだが、やはりサッカー・森保ジャパンの戦いには若年層のメンバー構成とはいえラグビー以上に渋谷のカオス化が懸念されるのは言うまでもない。

 東京五輪では復活種目となる野球競技で金メダルを狙う稲葉篤紀監督率いる日本代表・侍ジャパンも注目を集める。過去4回のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の戦いではサッカー日本代表のように若者が渋谷の街に集まって乱痴気騒ぎするようなケースは幸いにして起こっていない。

 しかし復活種目となった自国開催の五輪で金メダルに輝くようなインパクトを残せば、ラグビー同様に盛り上がりが異様な方向へと転じてしまうことはなきにしもあらず。いずれにせよ他の競技も含め、東京五輪を成功させるためにも若者たちを中心とした“渋谷暴徒化”は何としてでも未然に阻止しなければいけない。

残されている時間は少ない
 補足として付け加えておくと、ラグビーW杯でも東京五輪でも多数の外国人が入国することにはある程度、目を光らせておく必要がありそうだ。ハロウィーンでごった返した今年の渋谷の街でも、実は一緒になって大騒ぎする外国人旅行者たちが数多くひしめき合っていたことを忘れてはいけない。

 これまで渋谷におけるハロウィーンやサッカー日本代表の騒ぎが海外メディアによって喧伝(けんでん)されているおかげで、多くの外国人旅行者たちには残念なことに「シブヤは騒いでOKの場所」という誤った認識もインプットされてしまっているようだ。このまま看過してしまうと、本来ならば何の関係もないはずの外国人たちによってラグビーW杯、東京五輪での“渋谷暴徒化”が助長されてしまうことにもなりかねない。

 ましてや、こんな雑多で混沌とした街ならばテロの発生リスクも高まる。来年、再来年とテロリストたちにとって格好のアピールの舞台とされそうなスポーツの国際イベントが日本で続くだけに、こうした不安が募るのは当然だ。

 今後はいかなる理由があっても路上で騒ぎ立てるような連中には断固たる処置を下す。個人的には見せしめの意味も込め警察にはたとえ強権発動と言われようとも、どんどん“渋谷の悪”たちを取り締まってほしいと思う。それで渋谷が一刻も早く「安全な街」に戻れるならば、それでいいじゃないか。ラグビーW杯まであと1年弱、東京五輪も残り2年を切った。もう残されている時間は少ない。

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