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zoom RSS 同性キスで拘束、女装には消防車で放水リンチ LGBT人権侵害続くインドネシア

<<   作成日時 : 2018/11/07 20:21   >>

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来春の大統領選を控え、法秩序よりもイスラムの規範が少数派を圧迫している
世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアで、性的少数者の「LGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」に対する当局などによる違法な人権侵害事件が続発し、人権団体や保護組織などが批判の声を強める事態となっている。

インドネシア軍・警察による処女検査

インドネシアは人口の大多数をイスラム教徒が占めるもののイスラム教を国教とはしておらず、他宗教も容認する「多様性」と「寛容」を国是としている。しかし現実にはイスラム教の規範が優先される傾向が強く、宗教的少数者とならんで性的少数者も人権侵害や迫害の対象となっている。

スマトラ島西スマトラ州パダン市で11月6日までに同性愛行為の疑いで女性10人が当局の身柄を拘束された。地元からの報道等によると、23歳から31歳の女性はお互いに抱擁したりキスしたりする写真をインターネット上の「Face Book」に投稿していた。

この写真をみつけた地元警備当局者が調査の結果、10人の身元を特定して東パダン、南パダンで身柄を拘束。パダン市当局に引き渡したという。

10人の女性のうち5人は一緒に生活していたほか、ネット上のグループには約30人が参加していたとして、残るメンバーについても身元特定を当局は急いでいるという。

当局は「女性同士の“抱擁やキス”が同性愛行為とみられる」と身柄拘束の理由を明らかにしている。拘束された10人の女性が実際に同性愛者かどうかについては伝えられていない。

■見せしめに消防車から放水して“お清め”

11月2日夜には、スマトラ島南部ランプン州西プシシール地方の観光地で、自警団組織が夜間パトロール中、女装した男性ら3人を発見した。3人は男性から性転換したトランスジェンダーで、インドネシアの伝統的な風紀、習慣にそぐわない、との理由で私的制裁を受ける事件が起きた。

3人は道路に立たされ、そこに消防車から放水が浴びせられたのだ。自警団関係者などによるとこれはイスラム教の「ジュヌッブ」という性行為などの後に身を清める「ワジブ」であると主張し、3人の「身を清めるための沐浴である」と放水を正当化していたという。

この放水の様子は見せしめとして自警団が撮影してインターネット上のソーシャルネットワークに投稿していた。

ゲイの男性に「男性復帰」の訓練
こうした自警団の行為に対しインドネシア法律援護協会(LBH)は、自警団が行った行為はいかなる法律にも基づいていない人権侵害行為であると非難。「インドネシアの法律は非人道的行為を認めていない。夜間に公の場所で人間に放水するなど自警団員の私的な正義感の解釈に基づくもので容認できない」としている。

インドネシアではイスラム法(シャリア)が適用されているスマトラ島北部のアチェ州以外では同性愛は違法ではなく、LGBTの基本的権利は守られていることになっている。しかしそれはあくまで建て前で、インドネシアではLGBTへの弾圧、迫害、人権侵害が往々にして行われ、警察当局や行政当局も救いの手を差し伸べることをほとんどしないのが現状である。

■「男性復帰」の訓練、再教育も

インドネシアではこれまでにも男性の同性愛者への人権侵害事件がたびたび発生、国際社会から手厳しい批判を受けている。

2017年10月には首都ジャカルタで警察によるサウナ施設の一斉手入れが行われ、客の同性愛者、従業員、オーナーなど58人が逮捕されている。近隣住民から「売春施設ではないか」との苦情を受けた警察が内偵捜査をした後、踏み込んだという。逮捕者の中には中国人、タイ人、オランダ人の外国人6人も含まれていた。

さらに2018年1月28日にはイスラム法が施行されているアチェ州でやはり同性愛者がよく仕事をしている理髪店が摘発され、男性同性愛者12人が拘束された。

この時拘束された同性愛者は拘留施設で男性の服装に着替えさせられ、長髪を坊主頭にされ、男性らしさを取り戻すための歩き方、発声練習などを強制されて「男性復帰の再教育」を受けさせられた。

■LGBTから「私たちも同じ人間」と訴え

ランプン州のLGBT団体では今回のトランスジェンダー3人の身柄拘束に関連して当局に訴追しないように要請するとともに「私たちも同じ人間であるという現実を見つめてほしい。警察・軍・自警団などの人に、性的な志向に関わらず私たちも他のインドネシア人と同じ権利があるということを理解してほしい」と訴えている。

地元からの情報によるとこれまでのところ、3人に対して放水をした自警団関係者に対しては、警察の取り調べなどは一切行われていないという。

インドネシアは2019年4月に大統領選、国会議員選を控え、大多数のイスラム教徒の意向に配慮することが得票獲得には不可欠なことから、イスラム教徒の行動に政治家、治安組織などが歯止めをかけることが難しくなっている。今後さらに「少数派」への人権侵害事案が増大することが懸念されている。

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