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zoom RSS 50代でも予備自衛官に…自衛隊、止まらぬ「高齢化」の実態

<<   作成日時 : 2018/11/01 22:48   >>

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防衛省は10月から、自衛官の採用年齢を28年ぶりに引き上げた。

 驚かされるのは、自衛隊を辞めた後などに予備役として登録する「予備自衛官」の採用年齢(退職時に士長以下)を37歳未満から55歳未満へ、また第一線部隊と同じ任務に就く、同じく予備役の「即応予備自衛官」の採用年齢(同)を32歳未満から50歳未満へと、ともに18歳も一気に引き上げたことだ。

 55歳や50歳は、厚労省の区分では、壮年期の上の中年期にあたる。ただでさえ「世界一高齢の軍隊(軍事組織)」といわれる自衛隊だが、今回の採用年齢引き上げにより、さらに高年齢化が進みそうだ。

 見方を変えれば、安倍晋三首相が企業の継続雇用年齢を65歳から70歳に引き上げる方針を示す中、政権の意向を先取りしたといえるかもしれない。

自衛隊そのものが「定員割れ」
 予備自衛官とは、ふだんは別の仕事に就き、いざという場面で自衛官の仕事を補う元自衛官などのこと。例えば、日本が他国から侵略され、自衛隊に防衛出動が下命された際、第一線部隊が出動して留守になった後の駐屯地の警備などを担うことになる。

 自衛隊に1年以上勤務した人のほか、自衛官未経験ながらも訓練を積んで教育課程を終了した「予備自衛隊補」が採用対象者。登録すれば月4100円の予備自衛官手当が支払われ、年に5日ある訓練の際にも、日に8100円の訓練招集手当が支払われる。

 一方、即応予備自衛官は、自衛隊に1年以上勤務し、退職後1年未満が採用条件。自衛隊を辞めたばかりの元自衛官が対象だ。日本の有事の際には、現役の自衛官とともに戦闘で正面に立つことになる。

 危険な任務を想定しているためか、月1万6000円の即応予備自衛官手当があり、訓練招集手当は1万400円から1万4200円と、すべてにおいて予備自衛官より高額な手当が支払われる。

 ただし、年間30日の訓練に参加する義務がある。また、即応予備自衛官を雇う企業には1人あたり月4万2500円が支払われ、年間に51万円にもなる。社員を借り受けることによる「迷惑料」といったところだろうか。

 問題は予備自衛官、即応予備自衛官とも「なり手」が少ないことにある。

 予備自衛官は2017年度末時点で、定員4万7900人のところ、実員は3万3850人で充足率70・7%だった。即応予備自衛官はさらに悲惨で、定員8075人のところ、実員4330人で充足率は53・6%。定員のほぼ半数しか集まっていない。

 実は、自衛隊自体も定員割れが続いている。

 自衛隊に定年まで勤務できる一般曹候補生の採用は、2017年度末で5044人と計画を56人下回った。深刻なのは任期がある自衛官候補生だ。同年度末の採用は、計画より2割少ない7513人にとどまった。

 防衛省は一般曹候補生、自衛官候補生についても、この10月から採用年齢を現行の26歳から32歳へと6歳引き上げた。

 定員割れを解消しようと毎年22億円ものカネを募集経費に充て、47都道府県に募集担当者を配置し、高校を回ってリクルート活動を展開。募集ビデオの電車内放映、新聞広告なども積極的に活用している。

 それでも慢性的な人員不足は解消できていない。採用年齢の引き上げは「対象者層を拡大すれば、応募者も増えるだろう」と見積もった上での「苦肉の策」といえる。

民間企業に太刀打ちできない
 なぜ慢性的な人員不足が起きるのか。

 自衛隊幹部への登竜門、防衛大学校で途中退学したり、任官後に早期退職したりする例が増える背景に「危険を伴うイラク派遣」や「実質的に『軍隊』としての活動を規定した安全保障関連法の制定」などの政策の影響があったことは、以前解き明かした(現代ビジネス2018年7月19日「防衛大学校で『自衛隊に就職したくない』学生が激増中…」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56590)。

 では、一般隊員の場合はどうだろうか。

 防衛省は、まず少子化の影響を挙げる。17年度の18歳から26歳までの人口は1100万人で、ピーク時の1994年度と比べて4割も少ない。以前よりもずっと小さなパイなのだから、人材の取り合いになるのは当然だろう。

 そこで「待遇で勝負」となるが、景気回復による求人増の影響があり、金銭面で自衛隊は民間企業に太刀打ちできない。

 例えば、高卒者の月給が全国平均で16万1300円のところ、自衛官候補生は13万800円にすぎない。一般曹候補生は16万6500円で、わずかに全国平均を上回るものの、自衛隊には「残業手当」の制度そのものがないから、結局、収入は民間企業を下回ることになる。

 自衛隊に入れば、制服や戦闘服が貸与され、駐屯地や基地で寝起きし、食事も提供される。つまり衣食住はタダだが、見返りにさまざまな規則で縛られる。また、個室で育った若者には10人から20人も詰め込まれる大部屋での共同生活は苦痛でしかない。

 職業としては「魅力に欠ける」と映るから、新しい一般隊員が集まらないのだ。では、普通に一般社会で暮らしている予備自衛官や即応予備自衛官の「なり手」が少ない理由は、どこにあるのだろうか。

 防衛省の中西礎之人材育成課長は「経営者に聞くと『今は景気がよいだけに、企業は社員が一人でも抜けると厳しい』というのです。予備自衛官や即応予備自衛官にとって本来の仕事は企業で働くことであり、訓練招集に応じて会社を休むのは難しい、となる」と話す。

 即応予備自衛官が課せられる年間30日の訓練招集は、雇用主から見れば「1カ月の欠員」となり、喜んで送り出せるはずもない。「なんであの人だけ?」という別の社員からの不満もある。年間51万円の雇用企業給付金をもらっても、割に合わないというのだ。

 これまでの採用年齢上限だった予備自衛隊の37歳や即応予備自衛官の32歳は働き盛りの年齢でもあり、こうした企業の反応はやむを得ないのかもしれない。

自衛隊「高齢化」の実態
 それにしても、一般隊員や予備自衛官の採用年齢を引き上げることによって、自衛隊という組織全体の年齢はますます上がっていくのではないだろうか。

 自衛官の平均年齢は1990年には31・8歳だったが、2011年には35・6歳とほぼ5歳上がり、その後現在まで変わっていない。

 また、防衛省が2007年に陸上自衛隊と米陸軍、英陸軍の幹部(自衛隊の場合、3尉から陸将まで)の平均年齢を調べたところ、陸上自衛隊は41歳で、米陸軍の34歳、英陸軍の36歳と比べて年齢が高いことが判明した。特に陸上自衛隊の場合、現場に出ることが多く、体力を必要とする尉官に45歳以上が多かった。

 米陸軍幹部の年齢が低いのは、入隊後、大佐30年、中佐26年、少佐20年と在職期間に制限があるためで、軍隊を辞めたくなければ、上の階級に昇進しなければならないという厳しい競争環境にある。

 また英陸軍の場合、少尉に任官後、佐官試験に合格しなければ16年までという在職制限があり、やはり昇進しなければ軍にい続けることはできない。

 自衛隊に米英軍のような在職制限はなく、言葉は悪いが「ぬるま湯」状態。階級が上がらなくても、定年までい続けることができる。

 かつて防衛省も米英両国のような制度の導入を検討したが、「国家公務員の中で自衛官だけ早期退職させるのは難しい」「早期退職させた分、隊員の補充が不可欠となるが、実際にはできない」などの理由から、導入を見合わせた。

 報告書は「自衛隊のような実力組織においては組織をより精強な状態に維持することが必要」「国際平和協力活動などで実際に活動することが増えていることを踏まえれば、現状の年齢構成は望ましくない」と言及しているにもかかわらず、有効な解決策を打ち出すこともなく、今日に至っている。

 そうした中での今回の採用年齢引き上げは、ただでさえ「高年齢組織」といわれてきた自衛隊の現状を「悪化させる」と批判されても仕方ないだろう。

「精強性」に問題が出る?
 山崎幸二陸上幕僚長は10月25日の記者会見で、採用年齢の引き上げについて問われ、「充足率を高めることに貢献する。精強性が影響としてあるので精強性を維持するための施策を検討していきたい」と、精強性に問題が出ることを認めた。

 国防のためには精強性が求められることは疑いがない。しかし、自衛隊が現実に活躍する場面は主に災害派遣である。例年500回を越える災害派遣を重ね、2017年度の出動件数は501件だった。

 内閣府が3年に1度、18歳以上の国民に対して行う「自衛隊・防衛問題に関する意識調査」(本年1月実施)で「自衛隊に期待する役割」を聞いたところ、トップは「災害派遣」の79・2%で、2位の「国の安全の確保(国防)」の60・9%を上回った。1位、2位の差は前回より8・7ポイント広がった。

 近年の災害派遣で注目されたのは、2011年に発生した東日本大震災だろう。自衛隊10万人態勢がとられ、予備自衛官と即応予備自衛官も被災地に派遣され、がれき撤去などに当たった。即応予備自衛官は、今年7月の西日本豪雨と9月の北海道地震でも災害招集されている。

 災害派遣で欠かせない「被災者に寄り添う気持ち」、つまりホスピタリティの有無は年齢にあまり関係ない。ただし「どのような救援が有効か」といった経験則に基づく対応策は、むしろ年齢が高いほど多く持ちうるだろう。

 その意味では、採用年齢の引き上げは「災害派遣で期待される自衛隊」を実証し、強化するための取り組みとも言えるのかもしれない。

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