権力に背けば、即暗殺も…逮捕されたロシア活動家のその後

プーチン大統領の鉄拳外交、北方領土問題、ジャーナリストの毒殺まで、日本人から見ると、冷たくネガティブな印象を持ちがちなロシアという国。ステレオタイプはさまざまあるが、そのリアルとは。「プロテスト」という形で、プーチン政権に声を上げる活動家は、逮捕後どんな仕打ちが待っていたのだろうか。

■活動家・イェゴール・ザブヤロフの話

 プロテストと呼ばれる行為を奇抜なアイディアで表現する「クリエイティブ」な活動家がいたと思えば、ロシアには比較的「一般的な」形で意思を表現する、普通の活動家も存在する。モスクワ郊外の工場で技術者として生活する、イェゴール・ザブヤロフさん(実名)もその一人だ。

「自分自身の自由と権利を表現する為に、プロテストに参加している。反対、賛成にせよ、自分の意見をオープンに言う事が出来ないのは、おかしい」という理由で、様々な活動に参加しているという。サブヤロフさんは、“ヤブロコ“という政党の一般メンバーとして、様々な活動に参加している。

 ヤブロコの党首を務めるエミリア・スラブノバ女史は、ロシア国家警備隊というプーチン大統領直轄組織の長を務める、ビクトル・ゾロトフ氏の解雇を求めた抗議声明で、現在メディアを賑わわせている。そしてその解雇を求める事になった背景が、また何ともロシア独特。



■「拳で殴り合ってでも…」ゾロトフの呆れた言動。飛び交う荒れ玉

 問題のゾロトフ氏は、自身の汚職行為を批判する活動家に対し、「文句があるなら、拳で殴り合ってでも決着を付けてやる」と勇む自身の動画を、ロシア国家警備隊の公式ホームページに掲載。動画では、自身を批判する大物活動家を名指しで挑発するなど、とても政府高官とは思えない言動で、世間を呆れさせている。

 これに対し、プーチン大統領にゾロトフ氏の解雇を求めた直訴状と共に抗議声明文を出す、ヤブロコ党首のスラブノバ女史と、それを大きく取り上げるロシアメディア。日本も含めた、いわゆる「西側諸国」ではあまり見ることのできない、独特なバトルが繰り広げられている。

 そんなヤブロコのメンバーとして、“一般レベル”での活動に参加する、ザブヤロフさん。色々な意味で、激しい荒れ玉が飛び交う今日のロシア社会で、一般人がプロテストに参加する意義を聞いてみた。
「私たちのような一般人が行う抗議活動で、実際に社会に変化を齎すのは、正直難しい。ロシアは、政府、警察、メディアなど、力を持った者たちにコントロールされている。ただ、自分の活動を周りの人に感謝されたりするのは嬉しいし、私のような一般人でも、自分の意見を声高に発する事が出来るという事を、人々に伝えたい。いつも黙って言われた事を聞く事しか出来ないと思っている人たちのメンタリティを変えることが出来れば、それだけでも意義がある」

■「小物」には軽い処罰。妙な一貫性のあるロシアン・ルール

 こうして、平和的な意図から様々な形でのプロテストに参加しているザブヤロフさんだが、過去には、活動中に警察に暴力を受け事もあり、一度は逮捕されて留置所へ連行された事も。数年前に行われた、ミケール・クラコフスキーという、政治犯として投獄されている人物の解放を訴えたデモ行進には約300人が集まり、ザブヤロフさんは、そこで逮捕された100人ほどの活動家の一人だった。

 政権に反する政治犯を支持したデモ行進に参加し、逮捕されたのだから、どれ程の尋問が待ち受けていたのかと思えば、そこは妙な一貫性のある、ロシアン・ルール。ザブヤロフさんのような「小物」は、所定のフォームに詳細を記入し、少額の罰金を払い、数時間後には解放されたという。ここで警察に個人の記録が残ってしまったザブヤロフさんは、その後、「海外へ渡航するのが、やや難しくなるかも知れない」とのことだが、その後も活発に、各種活動に参加し続けているという。

 権力者に背く政治家、スパイ、ジャーナリストなどが、ありとあらゆる手法で暗殺される、ロシアという国。その人物が社会に与える影響力により、異なる罰則が適用されるという意味では、妙な一貫性が保たれている。

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