ブレグジットで好業績狙う「顔認証テクノロジー」企業

英国では、多くの企業が2019年に予定されているブレグジット(Brexit)が及ぼす悪影響を懸念する一方で、監視やIDトラッキングを手掛ける企業は業績拡大を見込んでいる。英国政府は、移民の身元確認のために顔認識技術の導入を計画しているからだ。

英国内務省は先週、移民申請を希望する外国人の身元を確認するため、英国の「iProov」やカナダ企業「WorldReach Software」、オランダ企業「ReadID」と契約を締結したことを明らかにした。これらの企業は、移民申請のプロセスを簡略化するためのアプリを共同開発した。

iProovによると、申請者が「EU Exit ID Document Check」というモバイルアプリを使ってパスポートなどの身分証明書と最近の顔写真をアップロードすると、顔認識技術を使ってパスポートの写真と顔写真の人物が同一か見分けることができるという。また、画像イメージの不正加工を検知することもできる。申請者にとっては、紙の申請書を提出する必要がないため利便性が高い。

アプリは一見効率的で理に適っているように思えるが、懸念点も多い。例えば、データベースはどこでどのように保管されるのだろうか。また、ユーザーの顔写真が警戒リストに加えられるなど、他の目的で使用されることはないのだろうか。iProovと内務省からは、これらの質問に対する答えを得ることはできなかった。WorldReachからは、契約内容について一切コメントを控えるとの回答があった。

Privacy InternationalのEdin Omanovicは次のように述べている。「このアプリの導入は、国境警備員が英国内の全ての家を回り、EU出身者に身分証明書の提示を強制するのに等しい。生体情報は至るところで使われ始めており、データをしっかり保護しない限り、我々の知らないところで信用確認や犯罪を起こすリスクの予測まで、様々なことにデータが使われることになる。まずは外国人に生体情報の提出を求めることから始まるが、それだけで終わらないだろう」

一方、関連テック企業にとっては、大きなビジネスチャンスの到来だ。iProovとWorldReachは、内務省との契約金額を明らかにしていない。iProovは「非常に大きな金額だ」と述べており、WorldReachは「数百万ポンド」と述べているが、内務省はコメントを拒否している。

巨大なビジネスチャンス

iProovのCEOのAndrew Budは、ブレグジットの有無に関わらず、移民申請のプロセスを簡略化することが同社の目標だと述べている。一方、WorldReachは国境で起きている混乱が同社のビジネスチャンスにつながっていることを率直に認めている。同社のGordon Wilson社長は、「Ottawa Business Journal」とのインタビューで次のように述べている。

「ブレグジットによって英国は1年後にこのテクノロジーを完成させる必要が生じ、我々にとっては需要が一気に拡大した」

国境を閉ざす国が増える中、これらの企業に対する需要はブレグジット後も高まることが予想される。米国の税関国境警備局は今年、入国者が自分で書類手続きができる仕組みを導入するため、iProovと19万ドルの契約を締結した。今後、米国に入国する外国人はiProovのモバイル端末を使い、写真確認を済ませることができるようになるという。

「ブレグジット以外にもビジネス機会は多くある。世界中では旅行者の手間を増やさずに国境管理を強化する動きが拡大している」とBudは話す。人権問題活動家らは、英国がブレグジット後に海外との武器取引を拡大させることを懸念している。

「ブレグジット後の英国経済は、これまで以上に武器取引やセキュリティ機器の輸出に依存するようになるだろう。それは、英国の人権保護に対するコミットメントや国際的なセキュリティ、人々の生活を損ねることにつながる」とOmanovicは話した。

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