走る・空飛ぶ! 防犯カメラご存じ? 東京2020「顔認証五輪」に、中国は国民監視?

いろんな所で防犯カメラを見かけるようになった。最近は顔認証の技術を取り入れるなど、カメラが「進化」していると聞く。プライバシーの問題も気になるが、どんなふうに使われているのか。防犯カメラの最新事情について、坂口祐一編集委員に聞いた。

――最近の防犯カメラには何か特徴がありますか。
防犯カメラは駅や銀行、コンビニ、商店街、通学路など、いろいろな場所に設置されてきました。国内でいま実際に稼働している防犯カメラの数は300万台とも350万台ともいわれています。

数が増えただけでなく、最近では「多様化」が目立ちます。東京都足立区に7月に登場した「みまもり自動販売機」はご存じですか。防犯カメラが内蔵された飲料の自販機です。並んだ商品サンプルの一つに小さな穴が開いていて、小型カメラが埋め込まれています。自販機は夜でも照明で明るく、様々な場所に設置しやすい。そんな特徴に着目し、警視庁とキリンビバレッジが導入しました。

「走る防犯カメラ」として期待されているのが、ドライブレコーダーです。「あおり運転」による事故などが報道され、一般の乗用車に設置する動きが広がっているからです。電子情報技術産業協会によると、2017年度の国内出荷台数は266万台超で、16年度の1.8倍に増えました。カメラを搭載し、施設内を巡回する警備ロボットも防犯カメラの発展した形だといえますし、ドローンに組み込まれた「空飛ぶ防犯カメラ」も登場しています。

――防犯カメラの機能は進化しているのですか。
新しい防犯カメラは、顔認証のシステムや人工知能(AI)などと融合する方向で進んでいます。スーパーや書店向けには、不審な動きを繰り返す人物がいると管理者に知らせる仕組みを持った、万引き対策用カメラが開発されています。金融機関のATMなどで、通常と異なるパターンの操作を検知する研究も進んでいます。顔だけでなく、歩き方の特徴や筋肉の微妙な震えをとらえるなど、カメラの進歩は日進月歩といえます。

各メーカーなどは以前からこうした技術開発を行っています。近年は特に資機材などのハード面だけでは海外との競争に勝てないため、よりソフト開発に力を入れているようです。また東京五輪・パラリンピックが開催される2年後が実用化の一つの目標になって、研究が加速している事情もあります。実際、「TOKYO 2020」は選手や関係者の顔写真をあらかじめ登録し、入場ゲートでカメラがセキュリティーチェックを行う史上初の「顔認証五輪」になる予定です。

――防犯カメラは今後、どう発展していきますか。
一部のカメラはAI、ロボット、ビッグデータとさらに融合し、カメラ同士がつながるネットワーク化も進むでしょう。警察はテロ対策への活用を期待しています。例えば「ソフトターゲット」と呼ばれる不特定多数の人が集まるイベント会場などで、カメラで群衆の中から不審者を割り出すことができれば警備上の効果はあります。

一方、「防犯」に使えるカメラは「監視」にも使えます。中国では1億7千万台以上あるカメラのうち2千万台以上を結び、「天網」と呼ばれる監視システムを構築しているといいます。14億人の身分証などのデータと組み合わせて、国民の行動を見ている――。そう考えると、恐ろしい気持ちになります。

――日本でもプライバシーの保護が心配ですね。
自治体や警察が管理するカメラなど運用の基準が明示されているものもありますが、統一的な規定はありません。目的外使用を禁止し、プライバシー保護の決まりを設けるといったルールの整備が欠かせないと思います。

技術の進歩で便利になれば、悪用された場合のマイナス面も大きくなります。安全を守るはずのカメラが、ぎすぎすした社会を生んでは元も子もありません。十分な議論が必要です。

■ちょっとウンチク 安全、カメラ頼みではなく
2017年中に警察が把握した犯罪の発生件数は、戦後もっとも少ない約92万件。ピークだった02年の約285万件から7割近くも減った。特にひったくりなど路上で起きる街頭犯罪が大きく減少しており、この間に各地で設置が進んだ防犯カメラにも一定の効果があったと考えられる。

だからといってカメラをどんどん増やせばいいというものではないし、「捕まってもかまわない」「かっとなって、つい」といった類いの犯罪はカメラでは防げない。まずは自分が住む地域に関心を持ち、声をかけ合うといったことから「安全」は始まるのだと思う。

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