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zoom RSS 自衛隊の定年は53歳! 年金受給の65歳までどう暮らしているのか?

<<   作成日時 : 2018/09/22 22:03   >>

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「自衛隊ができない40のこと 39」

 自衛官の定年年齢は、階級によって異なります。幕僚長は62歳、将官・将補クラスは60歳です。しかし、隊員不足がもっとも顕著なのは、現場の曹士クラスです。曹クラスの定年は53歳です。公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですから、曹クラスの自衛官は定年後10年以上にわたり年金の受給もできず、生活に苦労することになります。

 昭和30年代に年金の改革があり、恩給制度がなくなりました。かつて、ある一定年数働いた旧日本軍の軍人の功労に対し、国は恩給を出していました。さらに、夫が戦争などで戦った後に残された60歳以上の妻にも、普通扶助料という年金が出ていました。戦争などで怪我を負った場合も、公務傷病恩給が出ました。旧日本軍の軍人になりたいと思う人が多かった理由として、国が具体的に軍人の功労に応えていたことが大きいと思います。ここが、自衛官に対しての処遇と全く違うところです。

 そもそも、年金と恩給では全く意味合いが違います。年金は、自衛官自身が掛け金を払って老後に備える制度です。現在の日本は、命を懸けて国を守るという崇高な職務に対する敬意を払い、その恩に報いるという考え方で構築された制度はありません。軍人は国のために命をかけ国民を守る職業です。現代の日本人がそのことに対する敬愛や恩に報いるという気持ちを持たない原因の一つはこの制度改悪にあったと思います。さらに残念ながら自衛官の退職金は減額され続け、これも自衛官が辞める理由の一つです。

 米軍の場合は、軍人がある一定期間働けば、一生涯恩給を払ってくれます。その恩給が下支えにあるから、退職後に他の仕事をしても全体収入は多くなるという仕組みです。まさに「国家のために働いてくれた恩に報いている」感じですね。

 国家公務員も2019年から段階的に定年年齢が65歳と延長されるようです。自衛官以外の国家公務員は、年金受給年齢まで生活に困ることなく働き続けることができるのです。53歳で定年を迎えるのは自衛官だけでその定年延長はわずか数年です。公務員の中で自衛官だけが年金受給まで10年ほどの生活に不安を抱えることになります。しかも、退官年齢を越えた自衛官は、若い自衛官と違い、体力的に難しい仕事が多いはずです。現場で活躍する曹士クラスを増やすために定年延長をするとしても、完全に方法を見誤っています。

◆定年延長後の若年給付金は雀の涙

 定年があまりに早く、本来なら他の国家公務員であればもらえたはずの給料がもらえないということで、その収入補填として、若年給付金制度というささやかな補填制度が自衛官にあります。自衛官時代の年収が最も低い場合の支給額の総額は1000万円くらいです。これが52歳から年金開始年齢の65歳までの13年間の収入補填なのです。月割にすると10万以下になることもあります。自衛官で定年まで汗水たらして国のために働いてこれです。自衛官は老後に光がみえない仕事なのです。

 しかも、この若年給付金は「収入が基準よりよくなれば、一度もらった給付金を返納しなさい」という制度です。1回目の給付の時に、その年の年収を調査します。その年収が自衛官だった時より良ければ減額されたり、2回目の支払いがなくなったり、さらには1回目もらった給付金を返納しろと言われたりもするのです。「一度渡した給付金を返納という場合があるなんて!」と思います。退職後の「働いたら、負け」制度なのです。

 そもそも、53歳で定年では65歳まで年金なしです。自衛官退職後の生活は、この程度の給付金では全く足りません。想像してください。50代前半、子供が大学にいったり、結婚したりする、お金が一番出て行く時期です。お金の一番かかる年代に収入が閉ざされるのでは、「恩に報いる」どころか「なにかの呪詛」のようにしか見えません。

◆自衛官に課された50代での職探し

 だいたい、53歳での職探しで生活を維持できるような仕事が見つかるでしょうか? 自衛隊は退職年齢に達した自衛官に対して就職支援をしていますが、働ける職場は保険外交や警備、物流などがメインです。もちろん階級によっては大企業の顧問クラスに収まることもありますが、大多数の自衛官には高齢にもかかわらず体力勝負な仕事しかありません。子供の結婚や大学受験の頃にガツンと収入が下がるという生涯設計で、少子化一直線な給料体系なのです。子育ての一番お金のかかる頃に窮乏するというのでは安心して長く働けません。

 しかも、今回のこの定年延長の裏には、この若年給付金をなくそうという動きも見え隠れしています。逆なんですよ。たとえ国が侵略されるような本当の危機が起こっても、後顧の憂いなく国を守るために戦闘に出撃してもらおうと考えるなら、恩給を復活するくらいのことはするべきなのです。

 さらに退官後の自衛官の暮らしもビンボーに落とし込む改悪だけは絶対に止めてほしいと声を大にして言っておきたいです。

 すでに自衛官の曹士クラスの充足率は70%程度にまで下がっています。指揮官が足らない訳ではなく、若く肉体的にキツイ任務もこなせる、現場のいわゆる「兵隊さん」達が足らないのです。若い人が足らないのに、高齢者を増やしても何の足しにもなりません。その階級の人員を増やすなら、定年延長や募集年齢枠を32歳までに広げるという小手先のやり方ではダメなのです。

 自衛官の離職を下げる対策としては、定年が早すぎる自衛官に、その後の収入に関係なくもらえる恩給を出し、たとえ戦闘で怪我を負っても安心な制度を設けることです。曹士クラスの隊員が応募して来ないことに対しては、現役自衛官の退職金を下げたりせず、とにかく「その仕事に十分報いることができる賃金まで」給料をUPすることです。国が自衛隊、防衛省に対して、ケチケチするから自衛官が足らなくなるのですよ。

 だって一生懸命に汗水たらして国のために働いて、50代でわずかな若年給付金だけで定年を迎え、老後のつらい生活が予定されている職業のどこに魅力があるんですか? 軍人に対しての敬意がみじんも感じられません。

 敬意も誇りもない国家。一体誰のため、何のための経費節減なんでしょうね。それで国が滅んでも財務省は責任をとってくれませんよ。<文/小笠原理恵>

【小笠原理恵】

国防ジャーナリスト。「自衛官守る会」顧問。関西外語大学卒業後、報道機関などでライターとして活動。キラキラ星のブログ(【月夜のぴよこ】)を主宰

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