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zoom RSS 【岡山から伝えたい】仮校舎まで通学1時間半、体育館が避難所 豪雨被害の真備町、様変わりした学校

<<   作成日時 : 2018/09/16 14:00   >>

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200人以上の死者を出す「平成最悪」の水害となった西日本豪雨。被災地の地元メディアである山陽新聞が、甚大な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町地区の子どもたちの通学事情を取材した。地区の市立8小中学校は7月6日から臨時休校し、そのまま夏休みに入っていたが、2学期スタートに合わせて再開した。このうち校舎の被害が大きい4校は、プレハブ校舎が完成するまでは他地区の学校を“間借り”。このほか体育館が避難所として使われている学校が3校あるなど、子どもたちの通学・学習環境は様変わりしている。自宅が被災したため、遠く離れた避難先から通わざるを得なくなった児童生徒が多く、送迎などにかかる保護者の負担が増している。

自宅出発は午前6時49分 「早起きしないと」
 豪雨から丸2カ月に当たる9月6日。箭田小(倉敷市真備町箭田)4年守屋玲那さん(10)が、避難先の同県早島町にある母雅美さん(45)の実家から登校するため、母の車に乗り込んだ。時計の針は午前6時49分を指していた。

 10分ほどで最寄りのJR中庄駅(倉敷市鳥羽)に到着。ここで通学バスを待ち、いずれも箭田小の仮校舎となっている玉島小(同市玉島阿賀崎)と県立玉島高(同)に向かう。

 車とバスを乗り継ぐ通学は、片道で約1時間半。豪雨で全壊した真備町地区の自宅から箭田小までは歩いて25分ほどだったため、通学時間は一気に3倍以上になった。「クラスのみんなと会えて学校は楽しい。でも、とっても早起きしないといけなくなっちゃった」

 母雅美さんは守屋さんを中庄駅に送った後、一度実家に戻って家事を済ませてパートに出勤。仕事を終えると、夕方には再び中庄駅まで迎えに行く。別の時間帯には、倉敷芸術科学大(同市連島町西之浦)の仮校舎に通う真備中(同市真備町箭田)2年の長男を、夫が中庄駅に送り迎えしているという。「いつまで続くか分からないが、家族総出でやっていくしかない」と雅美さん。

通学の足確保へ、市教委が通学バス35ルート運行
 箭田小と真備中のほか、川辺小(同町川辺)、真備東中(同町辻田)も直線距離で10キロ近く離れた他校を仮校舎に充てて授業を行っている。残る岡田(同町岡田)、呉妹(同町妹)、二万(同町上二万)、薗(同町市場)の地区内4小学校は校舎の浸水被害こそ免れたが、自宅が被災したため町外で暮らすようになった児童が多い。

 児童生徒の通学の足を確保するため、市教委は9月3日から、総社市武道館(総社市真壁)やJR中庄駅、新倉敷駅(倉敷市玉島爪崎)などを発着点とする通学バス・タクシーを走らせている。計35ルートあり、運行は登下校に合わせた朝と夕方。浸水した学校の児童生徒が同町地区内のプレハブ校舎に移る10月上旬以降も、ルートを再編した上で継続する計画だという。

 川辺小では全校児童277人のうち、9割以上がバス通学を選択した。一斉下校のため、全学年がマイカーでの迎えも含めて、午後4時ごろに学校を出る。総社市武道館での迎えには祖父母の姿も目立ち、その1人の伊藤善治さん(79)は「同居する孫の両親は共働きなので、家族で役割分担していきたい」。

 帰路は疲れからか、車内で眠ってしまう児童もいるといい、長い通学時間や環境の変化が子どもから体力を奪っていることがうかがえる。もちろん保護者たちにとっても、自宅の復旧や生活再建などをめぐる悩みが尽きない中、遠距離通学の問題も重くのしかかっている格好だ。

途切れる友達関係 保護者「転校しない方が良かったが…」
 災害発生後、真備町地区の全児童生徒の約3%に当たる57人(9月3日現在)が転校した。「浸水した場所での生活再建は不安」といった理由とともに、目立つのは「避難先から遠方にある学校に通学するのは、子どもの負担が大きい」との声だ。

 同地区から倉敷市中心部のみなし仮設住宅に移った会社員草地紀明さん(43)家族も、転校を決断した。川辺小5年(11)と2年(7)の娘2人を、共働きの草地さん夫婦が出勤時間に合わせて仮校舎行きの通学バス乗り場まで車で送迎した場合、待ち時間を含めた通学時間は片道2時間にも及ぶためだ。

娘たちは9月から仮設から一番近い市立小に徒歩で通っている。仲良しの友達との関係が途切れてしまう娘たちを思い、草地さんは「本当は転校しない方が良かったが…」と複雑な心境をのぞかせるが、「元気に通ってくれて、少し安心している」と前を向いた。

体育館の半分に段ボールベッド 避難所との共存模索
 一方、校舎が使える学校のうち、岡田、薗、二万の3小学校は避難所にもなっている。このため各校は2学期の始業式を、避難者が生活する体育館の一角や、代わりの音楽室などで実施。避難所との共存を模索しながらの学校生活をスタートさせた。

「避難者の方も不自由な生活をされており、周囲への気遣いを大切に過ごしてほしい。当たり前の日常の大切さをかみしめながら前に進みましょう」。45人が避難し、体育館の半分を段ボールベッドで埋められた薗小での始業式。高津智子校長はステージから児童240人にこう呼び掛けた。式の間、静かに過ごした避難者からも「学校は子どもたちの場。チャイムの音が気になるが、慣れないと」(81歳男性)といった声が聞かれた。

 体育館に125人が身を寄せた岡田小は、各教室で放送による始業式を行った。2学期が始まるとともに、運動場にあった被災者向け食事の配給所は、近くの市施設に移転。運動場は、避難者の駐車場と、児童の運動スペースを半分ずつ確保し、安全のため境界に可動式ネットを設けた。二万小では、運動場に箭田小の仮設校舎を建設中。不審者対策として、避難者が外出する際はネームカードを携帯してもらい、警備員がチェックする取り組みを始めている。

 同市教委指導課は「不自由な面もあるが、いつもの学校生活に近い環境を提供できるよう、避難者の理解を得て、学校や保護者と一緒に頑張っていきたい」と話す。

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