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zoom RSS 南シナ海問題に対するASEANの限界

<<   作成日時 : 2018/08/25 12:12   >>

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 8月初め、ASEAN関連の会合が多数開催された。このうち、8月4日の第25回ASEAN地域フォーラム閣僚会合に際して発出された議長声明の中から、南シナ海に関連する部分を以下に紹介する。

・閣僚は、南シナ海における平和、安全保障、安定、安全並びに航行及び上空飛行の自由を維持・促進することの重要性を再確認するとともに、南シナ海を平和,安定及び繁栄の海とすることで利益を享受することを確認した。閣僚は、南シナ海行動宣言(DOC)全体の完全かつ実効的な履行の重要性を強調した。閣僚は、ASEANと中国との間の改善し続けている協力関係を温かく歓迎し、相互に合意されたタイムラインでの実効的な南シナ海における行動規範(COC)の早期妥結に向けた実質的な交渉の進展に勇気づけられた。閣僚は、ASEAN加盟国及び中国がCOC交渉のための一つのテキスト案に合意したことに留意した。この関連で、閣僚は、COC交渉に資する環境を維持することの必要性を強調した。閣僚は,ASEAN諸国と中国による南シナ海における海洋危機管理のための外交当局間ホットライン試行の成功及び2016年9月7日に採択された南シナ海における「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準」(CUES)の適用に関する共同声明の運用開始のような、緊張を緩和し、事故、誤解、誤算のリスクを減少させ得る実際的な措置を歓迎した。また、閣僚は、特に当事者間の信用及び信頼を強化する信頼醸成及び予防措置の実施の重要性を強調した。

・閣僚は、南シナ海に関する事案について議論し、信用及び信頼を損ない、緊張を高め、この地域における平和,安全保障及び安定を損ない得るこの地域における埋立てや活動に対する懸念に留意した。閣僚は、相互の信用及び信頼を高め、活動の実施に当たっては行動を自制し、状況を更に複雑化させ得る行動を回避し、UNCLOSを含む国際法に従って、紛争の平和的解決を追求することの必要性を再確認した。閣僚は,非軍事化及び南シナ海における状況を更に複雑化し、緊張を高め得るDOCにおいて言及された事項を含む、クレイマント国(注:領有権主張国)やその他の国による全ての活動の自制の重要性を強調した。

出典:第25回ASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合議長声明(骨子)、外務省

 ARFは、ASEAN加盟国10か国、日米中印豪など関係国16か国、および欧州委員会からなる、政治・安全保障問題に関する対話と協力を通じ、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させることを目的としたフォーラムである。

 今回の議長声明では、南シナ海については、昨年同様「懸念」の文言が盛り込まれ、さらに、昨年は入っていなかった「非軍事化」の重要性の強調が盛り込まれた。中国が南シナ海の人工島の軍事化を加速させる中、非軍事化の重要性を強調できたことは評価すべきではある。しかし、ASEANを中心とする枠組みで実効性のある対応をすることの困難さが改めて浮き彫りになったとも言える。

 その困難の理由としては、ASEANの意思決定が全会一致を原則とすること、ASEAN内で中国に対する温度差が大きいことが挙げられる。例えば、カンボジアは極めて親中国であるが、ベトナムは対中強硬派である。マレーシアは、ナジブ前政権が中国寄りであったのに対し、今年の総選挙でマハティールが首相に復帰して以降、中国に批判的となっている。中国は、ASEAN諸国を経済的に懐柔しようと躍起になっている。こうしたASEAN加盟10か国で、全会一致で物事を決めるとなると、限界があるのは当然である。

 南シナ海における行動規範(COC)については、中国側は法的拘束力をないものにしたいというのが一貫した姿勢である。そういうものを仮に策定したとしても、実効性をどのように担保するのか、それが行動規範と呼ぶに値するものかどうか、疑問がある。さらに、上記声明では「ASEAN加盟国及び中国がCOC交渉のための一つのテキスト案に合意したことに留意」とあるが、6月に合意したとされる初案で中国は、ASEAN加盟国に南シナ海での定期的な軍事演習を呼びかける一方、関係国間の事前合意なしに域外国と合同演習を行うことを認めない、という提案をしたと報じられている。ASEANの枠組みでは、南シナ海については、CUESのような偶発事態回避のメカニズム以上のものを望むのは難しいように思われる。

 しかし、ASEANは、今後とも地域の問題に取り組む際の中心的存在であり続ける。その建前を守りつつ、インド太平洋戦略の一環として、各国との協力を具体的に進めて行くということであろう。例えば、日本は、ASEAN加盟国、インド太平洋沿岸国に対し、海上警備能力の支援などを進めている。日本自身が南シナ海における航行の自由を守るためにどのように関与するのか、検討すべき時期も迫っているように思われる。

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