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zoom RSS 年々深刻化する「万引き老人」 原因は社会とのつながりのなさから?

<<   作成日時 : 2018/07/26 21:11   >>

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 カンヌ国際映画祭で日本映画として21年ぶりに最高賞を受賞し、大ヒットしている是枝裕和監督の「万引き家族」。映画では祖母役・樹木希林がパチンコ玉を万引きするシーンが描かれているが、近年は高齢者の万引きの深刻化が指摘される。

 原因の究明と同時に現時点で必要なのは、万引きをしてしまう高齢者が個々に抱える問題といかにして向き合い、それを解消していくかだ。

 今年6月、東京都青少年・治安対策本部は約4週間にわたり、高齢者の万引きに関する無料電話相談を実施した。

 これは、万引きを繰り返してしまう高齢者本人やその家族、周囲の関係者などを対象として匿名、秘密厳守で相談を受け付け、助言を行うというもの。

 高齢者の万引きには再犯が多いことも問題で、東京都では16年に万引きで検挙された高齢者の6割近くに過去に万引きを含む犯歴があり、再犯防止対策は急務となっている。

 また、通常であれば万引きは現場で露見するが、中には認知されなかったり、事件化されずに軽微な処分で済んでしまうことで、犯罪の入り口をさまよっている高齢者は少なくないとされる。

 その点、匿名可で万引きの相談窓口を設けたことで、捕まらないゆえに万引きを繰り返してしまう高齢者や周囲の悩みに対しても相談の間口を広げたことの意義は大きい。

 東京都青少年・治安対策本部の濱村竜一氏が語る。

「そもそも万引きに関する悩みはどこに相談したらよいかわからないという高齢者や家族、関係者は多いと思います。

 こうした機会に高齢者本人や周りが、万引き防止のために自発的に動くことができるようになっていけばと思います」

 詳しい結果は東京都の報告を待ちたいが、今回寄せられた相談は70件強。約3分の1が本人、約2分の1が配偶者や親子などの家族、残りは近隣や民生委員など周囲の関係者からの相談で、高齢者が認知機能の低下にともなって万引きをしてしまうとおぼしき例が多かったという。

 この電話相談では、万引きに関わる高齢者の悩みをいかにして既存の社会福祉支援につないでいくかも重視された。

今回相談員を務めた一般社団法人社会支援ネット早稲田すぱいくの、刑事司法ソーシャルワーカー(障がいや高齢などにより福祉的支援を要すると思われる被疑者、被告人への支援を行う)の資格を持つ社会福祉士、小林良子氏が語る。

「相談者の話をうかがい、万引きの原因として認知症の疑いがあれば東京都によって指定された認知症疾患医療センター、本人に介護の必要性があると判断すれば地域包括支援センター、社会に対する不満や不全感から万引きをしてしまうようであれば鑑別所が実施しているカウンセリングを紹介するというように、適切な支援機関や団体の紹介を行いました」

 今回の電話相談は期間限定だったが、今後、東京都が万引きの相談窓口を常時設けるかどうかは検討中だ。

 ところで、「高齢者の万引きが深刻」というとき、具体的に何が深刻なのだろうか。

 総務省統計局の推計では、今年7月1日の時点で65歳以上の人口は3547万人(概算値)。総人口に占める割合は28%で、高齢者は増加の一途をたどっている。

 こうした中、全国で万引きによって検挙された高齢者の数は11年に初めて少年(14〜19歳)の数を上回った。

 以来、警察庁の統計では万引きの検挙人員全体に占める高齢者の割合は高く、しかも年々増えている。

 16年に全国の万引きで検挙された6万9879人のうち、4割近い2万6936人が高齢者だった。

 高齢者の万引きは比較的捕捉しやすく、地域によって警察の対応も異なる。また店側が被害届を出さず厳重注意や弁償で内々に処理してしまうなどの理由から、統計上の数値が必ずしも正確な実態を反映しているわけではない。

 とはいえ、万引き犯に占める高齢者の割合が増えつつあるのは、万引きの全体数が09年以来、毎年減少する中で、検挙される高齢者数が毎年2万人台後半と横ばいで推移しているためだ。

 このように高齢者の万引きの深刻化は単なる件数増減の問題ではない。

 むしろ、先の様々な事例のように、万引きを犯してしまう高齢者がそれぞれ抱える悩みや不安、あるいは心の闇の深さだ。これは何も、万引きに限ったことではない。

 群馬県前橋市のスーパーで7月10日、75歳の無職男性が従業員2人を刃物で刺すという凄惨な事件が起こった。

 現場となったスーパーは昨年オープンしたばかりで、利根川にほど近いのどかな立地だ。多くの地元住民が自動車や自転車で買い物に訪れる。

 事件後ほどなくして営業を再開したスーパーでは平穏な日常が戻りつつあったが、警備員の視線は鋭く、従業員たちの口は重かった。よく買い物に来るという60代女性は、「身近でこんな事件が起きるなんて、とにかく驚いた。しかも犯人は自分より年上の高齢者。理由がわからないのが怖い」と語った。

 店側によると、男は過去に同系列の別店舗で従業員へ暴言を吐くなどのトラブルを起こし、再三の注意にもかかわらずやめなかったために警察に通報した経緯があるという。

 男は、この一件を逆恨みして犯行に及んだとみられるが、今後こうした事件はどこで起きても不思議ではないのかもしれない。

 近年深刻とされる高齢者の万引きだが、明確な悪意を持った犯行に対しては断固対峙しなければならない一方、高齢者の抱える悩みや不安が万引きをはじめとする犯罪という最悪な形で顕在化しているならば、それをどのように行政や社会が受け止め、手を差し伸べていくかはこれからの大きな課題だ。東京都の行った電話相談のような窓口がこれからも増えることを望むばかりだ。

 相談員を務めた社会福祉士の松友了氏(早稲田すぱいく)が語る。

「高齢になると、退職や家族との別離などにともなって、社会との接し方も変わっていきます。その過程で他人との交流が減っていくと、徐々に社会と自分自身の価値観にズレが生じて、躊躇(ちゅうちょ)せず万引きができてしまう可能性があります。ですから、高齢者と社会のつながりをどのように築いていくかは、万引き防止のためにも重要でしょう」

 今年、カンヌ国際映画祭で日本映画として21年ぶりに最高賞のパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」では、訳ありの人々が寄り集まって一軒家で暮らす疑似家族が描かれた。

 その中で、「万引き」は彼らの主な生活手段の一つであると共に、一家の絆を象徴する行為でもあった。しかし、皮肉なことに高齢者にとっての万引きは、社会とのつながりが途切れた証拠なのかもしれない。

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