すでにあるメキシコ国境の壁を訪問、壁建設は問題を解決するのか

 ドナルド・トランプ米大統領は25日、米国とメキシコの国境に壁を建設するための大統領令に署名した。ただし、国境の一部にはすでに壁が存在する。私たちは2016年春、国境の数カ所を訪ねてみた。厳重に警備され、国境を越えようとする車が長い列をつくっている場所や、土と木だけが2つの国を隔てているような場所だ。

【写真】国境の米国側に建設された2重の壁

 トランプ大統領が壁で守ろうとしているメキシコとの国境は全長3200キロメートル余りに及ぶ。国境地帯は地質的には多様で、場所によっては大規模な建造物に適さない地形もある(トランプ大統領は壁の高さや厚さについて明言していないが、工学の専門家やメディアは計画の実現可能性を疑問視している)。

 過去には、国境に部分的な壁をつくることで、組織的な密輸や不法入国を阻止できた例もある。カリフォルニア州サンディエゴのメキシコとの国境付近にある「スマグラーズ・ガルチ(密輸人の渓谷)」の壁は全長約5.6キロメートルで、総工費6000万ドルの土木プロジェクトの一部として建設された。そこからさらに東のカリフォルニア州ジャカンバでも、1990年代半ばに、密輸や不法入国を防ぐための壁が建設された。トランプ大統領が壁をつくろうとしている国境はさらに東西へ遠く広がる。現時点では、あったとしても小さなフェンスくらいしかないようなところだ。

 しかし、写真家のジェイムズ・ウィットロー・デラーノ氏は国境で撮影を行いながら、壁をつくるだけでは問題の解決にならないと実感した。2015年4月には、米国境警備隊は麻薬密輸業者がメキシコから運びこんだ重さ30キロ以上のアンフェタミンを押収した。カリフォルニア州カレキシコとメキシコ、メヒカリの間に建設された壁を避けるため、新たな密輸ルートがつくられていたことがわかった。密輸業者たちはトンネルを掘ったのだ。

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