東京五輪決定は株価にプラス、インフラや観光刺激-政策相乗

9月8日(ブルームバーグ):アルゼンチンで7日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪の開催都市が東京に決まった。東京での五輪は56年ぶり。インフラ整備の進展、観光客の増加など幅広い経済効果が期待できるとし、週明けの日本株市場では関連銘柄を中心に相場全般のプラス要因になりそうだ。

しんきんアセットマネジメント投信運用部の藤本洋主任ファンドマネジャーは、「短期的にはご祝儀的な動きに加え、経済効果への期待も高まり、日本株全体にポジティブに働くだろう」と予想。特に建設や不動産などインフラ分野、レジャーや宿泊施設といった観光分野をはじめ、「関連する銘柄には買いが膨らむ」とみる。東京が有利との見方が多かったため、「五輪関連銘柄のパフォーマンスは既に相対的に良好だが、完全には織り込み切れていない」と言う。

明治安田アセットマネジメントの小泉治執行役員も、日本株は「東京に決まることをかなり織り込んでいる」としながらも、「建設をはじめ、関連銘柄が一層買われることになるのかもしれない」と話した。

1996年アトランタから2012年ロンドンの5回の開催都市決定、開会式当日までの株価推移を見ると、アトランタは90年9月に決まり、同月末から開会式日の96年7月19日まで米ダウ工業株30種平均は2.2倍に上昇。同様の期間に、2000年シドニーはASX全普通株指数が64%高、04年アテネはアテネ総合指数が27%高、08年北京は上海総合指数が36%高、12年ロンドンはFTSE100指数が6.5%高となった。

リーマン危機挟むロンドン、長野の記憶 ,H2

経済情勢によりパフォーマンスに差はありながら、いずれも上昇。アテネはITバブル、北京とロンドンはリーマン・ショックなど世界的金融危機を途中に挟んでおり、開催日までの経済活性化期待が相場の押し上げ、下支え要因になってきたことがうかがえる。

ロンドンの上昇率は小幅だったが、07年6月には6732ポイントの高値を付け、開催が決まった05年7月から27%上げる場面もあった。16年に開かれるブラジル・リオデジャネイロの場合、ボベスパ指数 は決定した09年10月から10年11月の高値まで一時19%上昇。その後は、経済の低成長やインフレなどへの警戒で、5日時点は16%安と軟調だ。

しんきんアセットの藤本氏は、東京五輪の実際の開催は7年後と先が長く、「経済効果がすぐに出始めるわけではない」と指摘。相場の押し上げ効果も短期にとどまり、「事前に大きく上昇した関連銘柄は早々に利益確定売りに押される」との認識も示した。

日本で98年に冬季五輪が行われた長野の場合、91年6月15日のIOCバーミング総会で開催が決まった。バブル経済崩壊と不良債権処理、山一証券破たんなど金融危機のさなかで、決定日(休場日のため翌営業日)から開会式当日の98年2月7日(同)まで日経平均株価は31%下落。当時は、インフラ整備に関係性が強い東証建設業指数も同期間に64%下落、長野地盤の八十二銀行は25%安、北野建設は82%安、土産品卸のタカチホは開催決定後に新規株式公開し、94年10月から63%下げた。

総じて厳しいパフォーマンスを強いられたものの、北野建も決定から1カ月後には31%高となる2218円の上場来高値を付けており、相場全体が不振の中でも活躍場面を見出すことは可能だ。

経済効果が持続性左右か ,H2

明治安田アセットの小泉氏は、「開催決定による短期の反応が終わった後も、五輪関連の具体的な計画が決まったりするたびに、折に触れ相場の刺激材料になりそう」とみている。

岡三証券が算出、東京五輪の開催で恩恵を受けると期待される79銘柄で構成した「東京五輪関連株指数」(算出開始時の09年末=100)は、6日時点で197.94。年初来上昇率は45%と、同期間のTOPIX上昇率33%を上回る。

東京都の試算では、五輪開催による国内経済への波及効果(生産誘発額)は、13年9月の準備段階から20年9月の大会終了までの7年間で2兆9609億円。資本投資の分析対象は、五輪で使用される予定の競技会場や選手村などの施設のみで、大会開催の有無にかかわらず整備される道路、鉄道などのインフラ整備費は対象外としている。

都の試算を過小と見ている大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは、五輪開催の決定で国土強靭(きょうじん)化政策を進めやすくなり、老朽化したインフラの再構築を加速させ、観光の伸びなども踏まえれば、「7年間で平均して1.1%程度のGDP押し上げ効果があってもおかしくない」と分析。五輪招致の成功による「日本経済へのインパクトの強さはまだ認知されておらず、そこはかとなく良いと思われている程度」と受け止める。

招致活動のスローガンであった「ニッポン復活」に向け、競技会場の新規整備や交通インフラなど社会資本投資の増大を中心に、20年の大会開催に向け新たな経済成長への期待が徐々に高まっていく可能性がある。野村証券では、東京での五輪開催は安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」と相乗効果を生むと見て、五輪が刺激し、業績面へのポジティブな影響が期待される銘柄として大成建設、太平洋セメント、JR東日本、三井不動産、ゼビオ、綜合警備保障の6社を挙げた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 河野敏 ;東京 Yoshiaki Nohara ,skawano1@bloomberg.net,ynohara1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald ,smcdonald23@bloomberg.net

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