<九州北部豪雨>復旧進まぬ3県 山間地交互通行122区間

◇阿蘇バス事故現場 今も路肩は崩落

 熊本県阿蘇市黒川で先月起きた観光バス同士の衝突事故の現場は、昨年7月の九州北部豪雨被害による片側交互通行だったが、同豪雨が原因の同様の交互通行は熊本、福岡、大分の被災3県で、計122区間に上ることが分かった。山間地が多く用地取得が進まないことが復旧遅れの背景にあるとみられる。バス事故から11日で1カ月、豪雨被害の発生からは12日で10カ月。梅雨や台風シーズンを控え、道路の安全確保が急務となっている。【志村一也】


 「事故があった道路は阿蘇山上へのメイン道路で観光バスが多い。早く工事を済ませてほしい」。阿蘇市観光協会の職員は訴える。

 事故は4月11日午後2時5分ごろ、熊本県阿蘇市黒川の県道で発生。九重観光サービス(大分県九重町)と、プラス観光(福岡県福智町)が運行したバスが衝突し、26人が軽傷を負った。九重観光サービス側には韓国からの修学旅行の高校生、プラス観光側には韓国人旅行客らが各約40人乗っていた。

 現場は、JR豊肥線阿蘇駅付近から阿蘇山上を結ぶ通称・阿蘇パノラマライン。現在も、路肩が約20メートルにわたって崩落したままで、転落防止の柵やポールなどが設置されている。約100メートルの片側交互通行では警備員2人が午前7時から午後7時まで誘導しているが、蛇行しており見通しが悪い。

 衝突したバスの一方を運行する九重観光サービスによると、男性運転手(67)は「みぞれで見通しが悪かった。警備員が急に出てきて急ブレーキをかけたが間に合わず、カーブの所で止まったら衝突した」と話したという。

 地元のバス会社はどんな対策を講じているのか。産交バス阿蘇営業所によると、阿蘇駅から草千里に向かう際などに現場を通るが「誘導員の指示に従うだけでなく、運転手が自分の目で確かめることが大前提」と指摘。その上で「霧雨などで視界が悪い場合は昼間でもヘッドライトをつけ存在を知らせるようにしている」と言う。

 肝心の復旧工事だが、豪雨被害から10カ月たっても手つかずのまま。熊本県によると、整備には部分的に市有地を取得する必要があるが、隣接地の所有者間で境界線の画定などがいる。しかし山間地のため国土調査が行われておらず確認には時間がかかるという。

 熊本県内で豪雨によって交互通行が続いているのは26区間(4月中旬現在)あり、阿蘇地域での交互通行は9カ所。うち工事未着手は3カ所だ。同様の規制は福岡県で55区間(4月末現在)、大分県41区間(3月末現在)。福岡県内の山間部でも2区間で工事に着手できずにいるという。

 今回のバス事故は、観光業界にも影を落とす。最近は韓国を中心に阿蘇は人気が高く、今回の事故でも双方のバスとも乗客は韓国の修学旅行生や観光客だった。阿蘇市黒川の阿蘇ユースホステルによると、豪雨被害後、利用客が戻りつつあったという。女性管理人(82)は「事故は非常に残念。先日、韓国人の旅行者から心配そうに『道路がまだ直らないのはなぜか』と聞かれた。お客さんが安心して旅行できるように早く復旧してほしい」と話した。

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