「5000万円超」でも売れる分譲住宅 人気の秘密は“つながる”工夫

 日本土地建物(東京都千代田区)は、住宅地として人気が高い横浜市青葉区で、72棟の大規模戸建て分譲街区の開発を進めている。「販売価格が5000万円台では難しい」といわれる地域ながら、平均価格が5800万円という強気の値付けを行ったにもかかわらず好調な売れ行きを示している。

 この街区は「ラヴィアンヴェール青葉こどもの国」。最寄り駅は東急電鉄田園都市線の支線、こどもの国線の始発駅である「こどもの国」だ。中学校の建設予定地であった、1万4570平方メートルの土地を活用して開発を行っている。これまで第2期までの販売が終了し、高い倍率で49棟を完売した。残り23棟は第3期の対象となる。

 実は販売価格を設定するに当たって、社内ではさまざまな議論が生じた。ある大手デベロッパーがこどもの国線沿線で分譲街区を開発し、平均4700万円台で販売した結果、苦戦を強いられたからだ。

 ところが日本土地建物の開発街区は、それを1100万円も上回るにもかかわらず、引き合いが強い。駅から徒歩6分で近くに大型ショッピングセンターが立地する利便性や、1区画当たりの敷地面積が約150平方メートル以上という規模感が人気の前提条件となっているが、一般的な分譲住宅街とは異なった仕掛けが人気の要因となっている。

 そのひとつが、セキュリティー体制の強化だ。顧客は年収1000万円台のビジネスマンが主流で、単身赴任世帯も多いと想定。街区の敷地形状はほぼ正方形という特性を生かし、出入り口はわずか3カ所とし、外部者が侵入しにくい環境をつくった。その上で、出入り口すべてに防犯カメラを取り付けた。また、住居のセンサーが異常を検知すると警備員が急行するシステムも導入した。

 また、「住民同士が“つながる”ような工夫を凝らした」(蛯沢広樹・住宅事業本部戸建事業部課長)ことも売り物のひとつ。街の中央部を縦断する「光の散歩道」は、各世帯の共有部とした。

 戸建ての分譲地では珍しく、管理組合を結成した点も特徴。同社としても初めての取り組みで、管理会社の東急コミュニティーが全面的に支援する。当初は住民から面倒がられるのでは、と懸念していたが、スムーズに受け入れられている。

 「コミュニティーが形成され、運営されていく姿を想像することが重要」(蛯沢課長)。今回のプロジェクトを通じ、新たなヒットの法則を学んだようだ。

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