カウント号砲ダウン 下 大坂マラソン

ボランティア絆の懸け橋
 42・195キロを走り抜き、ゴールするランナーたち。1列になって待ちかまえるボランティアが「おめでとう。お疲れさま」とねぎらい、次々と完走メダルをかける。どの顔も達成感にあふれ、いい表情をしている。


大会当日に備え、給水所での作業を練習するボランティアたち(9月、大阪市住之江区で)=竹田津敦史撮影
 「何万人ものランナーの喜びをその場で共有できる幸せ。こんな体験は、ほかではできない」。2009年東京マラソンのゴール地点でボランティアをした北海道帯広市の道職員土田一見(いっけん)さん(59)。あの日が忘れられず、マラソン大会のボランティアグループをつくった。全国で大会があるたび、帯広から駆けつける。大阪マラソンには40人が集まる予定で、「記念すべき第1回大会に参加できて光栄。大阪にはどんな感動が待っているか、楽しみ」と話す。

 大阪マラソンのボランティアは31都道府県からの1万人。受け付け開始から4日間で定員に達した。大会関係者と警備員は合わせて5000人で、ボランティアは運営の主役と言っていい。ランナー受け付け、手荷物預かりや沿道整理などに携わる。

 ランナーに水やスポーツドリンクを提供する給水所も、ボランティアに任される。ペットボトルから紙コップに水を注ぎ、机の上に並べていくが、大会で用意するペットボトルは15万8000本。15か所の給水所には3万人のランナーが押し寄せるため、ボトルの蓋を素早く、数多く開けなければならない。終わった時には指の皮がむけてしまうほど、大変だという。

 9月には大阪市で給水担当のリーダー講習会が開かれた。参加した奈良県大和高田市の研修医、洲脇直己さん(26)は「作業は少々つらくても、得られるものがたくさんあるような気がする。ランナーには大阪でのいい思い出を作ってもらうため、心からのもてなしをしたい」と話す。

 地域ぐるみでボランティアに参加するところもある。大阪マラソンのコース沿いにある大阪市住之江区の加賀屋連合町会は、約200人が給水や沿道整理を担当する。大木保宏会長(72)は「少子高齢化が進んでおり、地域も大会も盛り上げようと手を挙げた。地元が大阪マラソンのコースになるのは誇り。ボランティアを通じ、消えかけている地域の絆も取り戻したい」と当日を心待ちにする。

 マラソンを通じて広がる人の輪。社会学が専門の安田雪(ゆき)・関西大教授(48)は「東日本大震災以降、人と人がつながり、支え合うことの大切さが再認識されている。スポーツは自然に人々をつなぎ、参加した人にその絆を大切な記憶として残す。大会が終われば街は日常を取り戻すが、そんな小さな結びつきや記憶は大阪という都市の魅力として刻まれる」と話す。

 大会のテーマは「みんなでかける虹」。ランナー、ボランティア、観客の絆が、大阪に大きな「虹」をかける。

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