三番瀬花火 警備で綱引き 震災で互いに事情抱え

 「警備を出せ」「出せない」。浦安市が主体となって開催される花火大会(八月二十七日)の警備をめぐり毎年、隣接する市川市との攻防が繰り返されている。格好の見物場所になる市川市側の護岸に多くの客が集まるからだ。今年は東日本大震災の要因が加わって、双方の事情がより複雑に。復興のため少しでも事業費を削りたい浦安市。震災の被害を受けた市川市にも簡単に引けない事情がある。 (林容史)
 浦安市は、液状化で家屋が傾くなど被災した市民らに配慮し、今年は開催の自粛も検討した。しかし、主催する「市ふるさとづくり推進協議会」(上野菊良会長)は五月の総会で、「復興に向けたメッセージに」と開催を決めた。
 打ち上げ場所を、内陸側から三番瀬に面した同市日の出六の海岸沿いに移したのは二〇〇七年。おかげで三番瀬を隔て、花火見物できる市川市塩浜一の護岸沿いの市道(約一・六キロ)は、格好の“桟敷席”になった。
 市民にはうれしい計らいも、市川市にとっては悩みの種になった。護岸に向かう市道は行き止まりの上、この地域には物流会社が集中。夜中まで大型トラックが出入りするため、一般車両で渋滞になれば機能はまひする。老朽化した垂直護岸が崩落する恐れや、見物客が誤って海に転落する危険も。事故が起これば管理者の市が責任を問われることになる。
 市川市は毎年、警備員の派遣を浦安市に繰り返し要請してきた。しかし、浦安市は〇九年に五人ほど派遣しただけ。以後は市川市が二十人前後の職員を出勤させるが、「ほかの市の花火大会なのに」と不満顔だ。
 さらに、今年は震災で付近の護岸に亀裂が走って海側に傾斜している。市道は沈下して歩道との間に段差ができるなど危険な状態という。

 警備には例年以上に多くの人手が必要で、これまで浦安市に要望書を三回送り、「職員を派遣してほしい」と求めてきた。市川市の石川喜庸行徳支所長は「大会の開催自体に文句はないが、市川も被災していることをわかってほしい」と訴える。
 しかし、浦安市の菊地良一市民経済部長は「警備を出す気はない」とにべもない。復興に巨額の費用が必要な事情から、大会の事業費は約七千六百万円と前年から約九百万円減額。「警備を増やす余裕はない」という。「江戸川にしろ、他の自治体の花火にどうこう言えないのでは」とも。
 塩浜地区では仕方なく今年も市川市職員が、浦安市花火大会開催に伴う車両の進入禁止を呼び掛ける看板設置を始めている。当日も警備に駆り出される職員は「やらなくていい余計な仕事です」と苦笑している。
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