汚された「けいおん!」の聖地 窃盗容疑の少年らフィギュア欲しさの“巡礼”

軽音楽部に青春をささげる女子高生たちの、ほのぼのした日常を描く人気“萌え”系アニメ「けいおん!」。その中に登場する高校に細部までそっくりだと話題になり、ファンが「聖地」と呼ぶ滋賀県豊郷町の豊郷小学校旧校舎に昨年11月、何者かが侵入、展示品のフィギュアや金庫が盗まれた。日本中のファンを憤慨させた事件の犯人は、現場から遠く離れた和歌山県南部に住む3人の少年だった。(市岡豊大)

汚された「聖地」

 昨年11月17日午前1時15分ごろ、滋賀県豊郷町石畑の町立豊郷小学校旧校舎敷地内にある施設で、警備会社の侵入警報が鳴った。駆けつけた警備員が数人の不審者を見つけ追いかけたが、逃げ切られた。

 県警彦根署員が現場を確認すると、展示されていた「けいおん!」キャラクターのフィギュアなど192点とギターやベース3点、ロッカーに保管されていた現金計約100万円入り金庫2個がなくなっていた。同署が窃盗事件として捜査していたところ、2日後に近くの田んぼの側溝で、盗まれたギターとベース、空の金庫が見つかった。

 旧校舎はアニメに登場する高校のモデルとされ、休日には1日で全国からファンら300~400人が「聖地巡礼」に訪れる。盗まれたものを含め、展示品のフィギュアやギターなど関連グッズ約1千点以上はすべてファンから寄贈されたものだという。

軽音楽部に青春をささげる女子高生たちの、ほのぼのした日常を描く人気“萌え”系アニメ「けいおん!」。その中に登場する高校に細部までそっくりだと話題になり、ファンが「聖地」と呼ぶ滋賀県豊郷町の豊郷小学校旧校舎に昨年11月、何者かが侵入、展示品のフィギュアや金庫が盗まれた。日本中のファンを憤慨させた事件の犯人は、現場から遠く離れた和歌山県南部に住む3人の少年だった。(市岡豊大)

汚された「聖地」

 昨年11月17日午前1時15分ごろ、滋賀県豊郷町石畑の町立豊郷小学校旧校舎敷地内にある施設で、警備会社の侵入警報が鳴った。駆けつけた警備員が数人の不審者を見つけ追いかけたが、逃げ切られた。

 県警彦根署員が現場を確認すると、展示されていた「けいおん!」キャラクターのフィギュアなど192点とギターやベース3点、ロッカーに保管されていた現金計約100万円入り金庫2個がなくなっていた。同署が窃盗事件として捜査していたところ、2日後に近くの田んぼの側溝で、盗まれたギターとベース、空の金庫が見つかった。

 旧校舎はアニメに登場する高校のモデルとされ、休日には1日で全国からファンら300~400人が「聖地巡礼」に訪れる。盗まれたものを含め、展示品のフィギュアやギターなど関連グッズ約1千点以上はすべてファンから寄贈されたものだという。

ネット上では大騒ぎ

 犯人はフィギュア目当てのファンか、ただの金目当ての泥棒か。事件後、インターネット上の掲示板サイトにはファンへの非難と擁護の書き込みが殺到。逮捕後には少年らの真意をめぐり、憶測が憶測を呼ぶ論争が巻き起こった。

 ある掲示板では逮捕報道から約1時間で1千件を超える書き込みがあった。「これ、どう見てもアンチの仕業だな」「これはさすがにファンだろ」と一部では本当のファンとみるか紛糾。一方で「レアで高価なグッズは手つかず。本当に知っている人なら手を出さないものばかり盗まれ、グッズ目当てでないことは確か」との分析もあった。

 その中で目立ったのは「けいおん信者を名乗る奴は、盗みを働く人間が多い」などというファンへの誹謗中傷とも受け取れる書き込みだ。

ファンの複雑な心境

 こうした偏見の目がファンの間に暗い影を落とす。容疑者が逮捕されてもなお、聖地に集まる人々は「容疑者がファンだったのは残念」と複雑な心境を覗かせた。

 週末にコスプレ仲間と聖地に集まるという埼玉県春日部市の男性会社員(33)は「捕まって本当に良かった」と安堵するが、「やっぱり容疑者はファンだったと後ろ指を差され、後味が悪い」。一方、アニメおたくを自称する京都市伏見区の男性会社員(25)は「ネットは叩き合う場所だから、ファンが叩かれるのは仕方ない」と冷静に受け止めていた。

 初めて訪問したという、ともに25歳の大阪府高槻市の夫婦は「アニメの舞台がそのまま再現されているみたい」と旧校舎を見て驚いた様子。妻は「アニメの世界に浸れるいい場所があるのに、事件のせいでファンへの風当たりが強くなって雰囲気が悪くなるのが心配」と表情を曇らせた。

町おこしに水差された

 ファンだけでなく、「けいおん!」で町おこしを狙っていた豊郷町も頭を痛めている。聖地の盛り上がりに目を付け「けいおん!でまちおこし実行委」を立ち上げた町商工会青年部長の宮川博史さん(41)は「水を差された」と憤りを隠さない。

 盗まれた金には、ファンと協力して旧校舎内で運営してきたカフェの売上金数カ月分が含まれていた。3月開催のライブイベントの資金に充てる予定だったため、金策に四苦八苦しているという。「ファンだと言うなら聖地で泥棒なんてもってのほか。アニメを見る資格もない」と断罪する。

 さらに問題視するのはファンへのイメージの悪化だ。かつて「おたく」に暗くて危ないというイメージを抱いていたという宮川さんだが、町おこしを通じてその印象が変わり、マナーを守る良識人ばかりだということを知った。

 「アニメを利用することに地元でも非難の声がないわけではない。外からお客さんを呼ぶ以上、治安面が問題になるのは仕方ないが、無駄に悪いイメージを持たれるのは良くない」。事件後、施設では現金の扱いや警備員の配置など防犯策を強化したという。

広がるおたく文化

 そんな“大人たちの事情”を逮捕された少年たちは少しも考えることはなかっただろう。

 田辺署は約2年前から、オートバイ盗と暴走行為を繰り返す暴走族集団として少年らのグループを把握していた。3人は調べに素直に応じているものの、「欲しいフィギュアも大金も盗めて良かった」と供述、反省の色は見えないという。

 山形県警に以前勤務しプロファイリングに詳しい関西国際大学の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「金品目的の大人と違い、少年の場合、行為自体を楽しむことが目的」と指摘。「評判になってみんなが騒いでいる場所があるから、興味の度合いが他より強かっただけではないか」と説明する。

 また、アニメや漫画などの歴史に詳しい東北芸術工科大学の吉田正高准教授(コンテンツ文化史)は「近年おたく文化の一般化が進み、(少年たちのように)これまで無縁と思われた層も関心を示すようになったことが背景にあるのかもしれない」と話す。

 豊郷町での取材で、前出の男性会社員は「けいおん!」キャラクターのコスプレを着たまま、気前よく取材に応じてくれた。

 「結局、悪い人にも『けいおん!』が広まっているということではないでしょうか」

 ファンはただ純粋に、そのアニメが好きなだけなのだろう。

けいおん!

 軽音楽部に入部した個性豊かな5人の女子高生たちの学校生活を描いた学園アニメ。かきふらい原作(芳文社「まんがタイムきらら」連載)。TBS系列で平成21年4~6月に1年生を描いた第1期、22年4~9月には3年生の第2期が放送された。登場人物の演奏曲がCD発売されてヒット。アニメキャラ名でのCDとしてはオリコン史上初のシングル・アルバムとも首位となった。

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