福島第1原発:警備員になるはずが…初出勤も決まらず

 就職氷河期を乗り越えて4月から社会人となるはずだった若者に、大震災と原発事故が新たな重荷を背負わせた。福島県いわき市久之浜町の伊藤博幸さん(18)は警備会社に入社し、実家に近い東京電力福島第1原発で働くはずだった。だが、原発事故が収束しないため東京での勤務に変わり、仕事を始める日も定まっていない。

 伊藤さんは警備会社への就職が内定、2月末には真新しい制服や「新入社員各位」と記された研修の案内状を受け取った。勤務地は福島第1原発になる予定だった。

 しかし、研修開始3日前の今月11日に地震が発生。津波で自宅1階は水につかり、その後、押し流されてきた民家の火が移り、自宅は全焼してしまった。身を寄せていた親族宅のテレビで原発事故を見ていた日々は、新入社員研修を受けているはずの時期だった。

 20日ごろ、会社から電話がかかってきた。人事担当者から「第1原発はだめになった。東京に来る考えはあるか」と聞かれた。「被災地で仕事を見つけることは難しい。就職難の時代に得た内定を大事にしたい」と決意した。

 ただし「『原発に行け』と指示されたら辞めるつもりだ」とも。一方で、東京で働くことにも不安がつきまとう。住む場所を探す余裕もなく、家財も失ってしまったからだ。

 だが、入社式のために新調したスーツだけは、家に火が迫る中、母ミスズさん(54)が泥から引き出してくれた。「会社からいつ呼ばれてもいいように手元に置いておきたい」とスーツは丁寧に水洗いして、避難所近くに置いた車の中に入れてある。

 スーツに身を包む日はまだ決まらない。4月1日は震災で亡くなった親戚2人を弔う日になる。新社会人になった喜びを満喫できる日は、まだ先だ。

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