「インターネットにつながない」企業も--個人情報流出対策で「プライバシー」権に危機?

 先月末、愛知県岡崎市は、同市立中央図書館の個人情報163人分が全国37の図書館のコンピューターから見つかり、一部の図書館からインターネットを通して外部に流出したと発表した。

 インターネットが普及しだしてからというもの、個人情報保護に関して騒がれるようになり、「個人情報保護士」という資格まで出現している。

 この「個人情報」にまつわる事件として真っ先に思い出すのが、2004年のソフトバンクBBの個人情報漏洩事件だろう。もちろんこの事件は、悪意を持つ少人数の者によって引き起こされたわけだが、ソフトバンクBBは、数十億円という損害を被ったといわれている。「実態は窃盗事件」「情報を盗んだものを処罰する法律がない」などの孫正義氏の発言にも見られるように、被害を受けた企業が、不当に大きな被害をこうむることも明らかになった。

 この事件を反面教師にしてか、某大手自転車メーカーは、個人情報の入ったパソコンは絶対にインターネット回線に繋がないなど、徹底して個人情報漏洩させないために工夫を重ねているという。これは素晴らしいことである。是非、他の会社も真似して、個人情報の入っているコンピューターは決してインターネット回線に繋がないことを推奨したい。

 また、この事件によって、個人情報に関して過敏になりすぎる企業も現れだした。

 某通信事業社のサポートセンターでは、社内に携帯電話、紙や筆記用具などメモの取れるものや個人情報漏洩に繋がりそうなものは一切持ち込ませないようにさせたという。社内には何重ものセキュリティーゲートを配置し、事務所に入るときには警備員から荷物チェック、ポケットの中などを確認される。

 もし、ここで失敗が起きたらどうなると思う? 紙を間違って持ち込んでしまった場合には始末書で済む。だが、携帯だった場合には、携帯の中身を全部確認され、場合によっては家のパソコンの中まで調べにくるのだ。

 恋人同士のいちゃつきメールなどが受信箱に残っている人にはひとたまりもないだろう。パソコンの中にエロ動画やエロ画像を沢山保存している人なんて、もう死にたくなるかもしれない。

 いくら個人情報を守るためだからといって、日本国民全員に認められているはずの「プライバシー権」を侵害することは許されるのだろうか。確かに雇用契約上は契約内容に全て記載されている。

 しかし、個人情報を守るということは、顧客の「プライバシー権」を守るということだ。だが、そのために、従業員の「プライバシー権」が危ぶまれてもいいものだろうか。私には疑問である。

 個人情報によって大きな損害を被るケースがある以上、企業側が過敏になるのは当たり前だ。明日は我が身、それを恐れてのセキュリティー強化なのだから仕方がないのかもしれない。企業には企業側の事情があるだろう。

 それでも、雇用契約で結んでいるとはいえ、「プライバシー権」は日本国憲法という最高法規で認められた権利の一つだ。従業員が、携帯の中身を確認された、パソコンの中身を確認されたことを理由に、精神的苦痛を訴え、訴訟に発展させることは可能なのだ。

 企業側としては、訴訟を起こされること自体が企業のマイナスイメージにつながるはずだ。

 個人情報を守ろうとすること自体は素晴らしいことだが、あまり過剰になりすぎて従業員のプライバシーまで侵害することには、私は反対である。皆さんはこの件に関して、どのように感じただろうか。

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