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zoom RSS 「格差拡大」統計に衝撃を受ける韓国政府

<<   作成日時 : 2018/06/01 06:15   >>

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2018年5月24日、ふだんならあまり注目を浴びない経済統計が発表になると韓国メディアは大騒ぎになった。

 「経済政策失敗」

 翌日の新聞にはこんな見出しの記事があふれた。あわてた文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)大統領は5月29日に、2時間半にわたって「緊急経済点検会議」を開催することになった。

 その統計とは、統計庁が発表した「2018年1〜3月期家計所得統計」だった。

 所得に応じて世帯を5分類し、それぞれの所得がいくらだったかという重要だが地味な統計だ。ふだんはメディアも関心をほとんど寄せない。ところが、思わぬ結果が出て一気に注目を浴びてしまった。

■ 家計所得統計の衝撃

 所得下位20%の「第1階層」の所得が前年同期比8%減、下位20〜40%の「第2階層」の所得が同4%減になってしまった。

 逆に、上位20%の「第5階層」の所得は同9.3%増を記録したのだ。

 所得が低い階層の所得がさらに減少し、所得が多い階層の所得がさらに増えた。つまり、経済格差が拡大したということだ。それもかなりのペースで。

 これは「庶民中心経済」「格差是正」を掲げる文在寅政権にとっては衝撃的な数字だった。

 「第1階層」の所得は、2016年に前年比2.9%減少した。しかし、文在寅政権の登場とともに2017年4〜6月期からプラスに転じていた。それが、1〜3月期に一気に大幅マイナスになってしまったからだ。

 「格差是正」のための政策を続ければ、このプラス傾向が定着するはずだった。ところがそうならなかったばかりか、富裕層の所得は増えてしまった。

 「四半期ごとの統計」に一喜一憂する必要はない。もちろん、そうだ。

 だが、今回は、そうとも言えない何とも政権にとっては心配なタイミングでの深刻な結果になってしまった。

■ 最低賃金引き上げのせい? 

 「最低賃金引き上げの逆効果ではないか」

 今回の結果に、これまでの現政権の経済政策を批判してきたメディアや専門家は勢いづいた。標的は「賃上げ政策」だ。

 文在寅政権は、「経済格差是正策」の目玉として、最低賃金の引き上げを果敢に実施した。2018年の最低賃金は、前年比なんと16.4%増の7530ウォン(1円=10ウォン)になった。

 週40時間、月209時間勤務の場合、月額は157万3770ウォンになる。庶民層の所得を引き上げて格差を是正しようという狙いだ。

 この引き上げが実施されたのが1月。本来ならば、「第1階層」や「第2階層」は増えるはずだ。なにしろ、16%を超える賃上げなのだ。

 ところが、こともあろうに、賃上げ効果が出るはずの1〜3月に所得はマイナスになった。一体どうしてこうなってしまったのか? 

 政策批判派は、「無理な賃上げの副作用だ」と声を高める。

筆者が住むソウルのアパートでは2017年12月にこんな張り出しがあった。

 「警備員減員のお知らせ」だ。最低賃金引き上げによるコスト増を管理費ではまかなえず、2人いる警備員を1人に減らす。よって、週末の勤務がなくなるという内容だった。

 同じような話を食堂やコンビになどでも聞いた。

 雇用主の立場から見れば、いきなり賃金が16%も上昇すると、対応するのが大変だ。零細企業や商店は死活問題だ。だから、勤務時間を短縮したり、やむをえず、人員削減に踏み切った例も少なくない。

 最低賃金は上昇したが、そのおかげで雇用や就業時間が減り、かえって所得が減ってしまったという例もある。

■ 所得主導成長論

 「所得主導成長“失敗”」

 5月25日付の「毎日経済新聞」は1面トップでこう報じた。「第1階層」の所得大幅ダウンは、失政だという意味だ。

 文在寅政権は「所得主導成長」を掲げてきた。

 これまでの政権は、減税や規制緩和など大企業に様々な支援をした。大企業が成長すれば、それがけん引役となって経済全体が成長するという考え方だった。

 ところが、長年の「サプライサイド政策」の結果、何が起きたか。

 サムスングループや現代自動車グループなど財閥は大きくなったが、経済格差が広がる一方で雇用は期待したほどには伸びなかった。

 サムスン電子の半導体事業は絶好調だが、半導体産業では雇用拡大効果は投資額ほど伸びない。サムスン電子や現代自動車など主力企業は、生産拠点を韓国よりも海外で急拡大させている。経済構造上、雇用はそれほど伸びないのだ。

 経済政策は財閥のためのものではない。庶民中心の政策を実行する。文在寅政権はこう考え、「所得主導成長論」を唱えた。

 庶民層の賃金を引き上げ、非正規職を正規職に転換する。そうすれば、消費が伸び、企業はこれを受けて設備投資を増やす。

 経済成長のけん引役を財閥から庶民層に変えるという発想の転換だった。だから最低賃金の引き上げは最も重要な政策だった。

 ところが、1月に引き上げたとたんに、格差がうんと拡大してしまったのだ。

 毎日経済新聞などはこれを、実体経済を理解せずに無理な賃上げを進めた結果、雇用が減少するなど逆効果が出てしまったためだと分析する。

 これに対して政府は、統計が出た直後には、「高齢化と観光客の伸び悩みで飲食店などの経営が振るわなかったためだ」などと説明した。

 この説明にさらに批判が出てしまった。

■ ガチンコ討論? 

 こうした事態を受けて5月29日、文在寅大統領は「緊急経済点検会議」を招集した。

 経済副首相兼企画財政部長官、青瓦台(大統領府)政策室長、経済首席秘書官、労働部長官、公正取引委員長など現政権の「経済政策の責任者」が勢ぞろいした。

 「1〜3月期の調査結果、所得下位20%の方の所得が減ったことは私どもにとっては大変、手痛いことだ。経済政策がうまく機能しているのか、虚心坦懐に話し合ってみよう」

 文在寅大統領はこう話を切り出した。会議には担当者や実務者は出席せず、責任者だけでとことん議論したようだ。

 議論の内容の詳細は公開されていない。ただ、韓国メディアは「時に激論になり、発言内容が外部に漏れないように注意しようという話になった」と報じている。

 文在寅政権内では最近、経済の現状判断や、最低賃金引き上げの効果などを巡って一部で不協和音が出ていた。

 景気は拡大局面なのか低迷期に入ったのか。最低賃金を一気に引き上げたことで副作用は出ていないのか。こうした問題について、経済副首相と青瓦台の室長、あるいは経済政策の諮問委員などの間で、異なる見解を示す場面が出ていた。

 この日の会議は、大統領の前で一度きちんと議論するという目的もあったようだ。

■ 雇用も改善しないが、代案も見当たらず

 文在寅政権は、最低賃金引き上げ、実質労働時間短縮、非正規職の正規職への転換など、「庶民層」の雇用環境を改善する政策を打ち出して実行してきた。

 「働き口対策」には11兆ウォン(1円=10ウォン)もの予算も投じている。

 ところが、所得は大幅に減少した。雇用状況も一向に改善しない。統計庁によると、「体感失業率」は4月も11.5%を記録した。庶民層の雇用も所得も改善しないのだ。

 エコノミストの見方は分かれる。

 そもそも経済政策が政権発足からたった1年で目に見える効果を上げるはずがない。もう少し時間をかけて評価すべきだという見方もある。

 一方で、「所得主導成長論」は、そもそも無理な政策だという意見も根強い。産業界でも、「企業の負担ばかり重くなる」と嘆く。

 では、だからといって、何か妙案があるのか。文在寅政権が進める「格差縮小策」を批判するのは簡単だが、これまでの政権も決め手となる政策など打ち出せなかった。

 財閥中心の経済構造、急速に進む高齢化による将来への漠然とした不安感、主要業種での競争力の低下、造船産業など構造不況業種の処理の遅れ、強い労組・・・。

 半導体や化学産業のような「強い業種」がある一方で、韓国経済は多くの構造問題を抱える。こうした複合的な構造問題の解決は容易ではない。

 文在寅政権は、「最低賃金」を2019年以降も引き上げる方針だ。さすがに、雇用主の負担が大きいことにも配慮して、その「最低賃金」に「賞与」や「福利厚生費」の一部を含めることになった。

 それでも「所得主導成長論」の旗はそのまま掲げると見られる。だから、「格差拡大」の統計は、放置できない。近く何らかの追加的な「庶民対策」を打ち出すと見られる。

 「大きな政府」もまた、今の政権の大きな方向であるのだ。

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