警備資料

アクセスカウンタ

zoom RSS 700台のカメラを設置して、スーパーの「トライアル」は何を分析しているのか

<<   作成日時 : 2018/06/25 21:39   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

2018年2月。福岡市の東にある埋め立て地「アイランドシティ」に、近未来を感じさせられるスーパーマーケットが誕生した。出店したのは、九州を中心にスーパーやドラッグストアなどを展開する「トライアルカンパニー」。新たに生まれた「スーパーセンタートライアル アイランドシティ店」には、これでもかこれでもかといった感じで最先端のテクノロジーが詰め込まれているのだ。

700台のカメラを設置して、何を分析しているのか

 「スーパーセンタートライアル」(以下、トライアル)を利用したことがある人であれば、「えっ、本当に? 他のスーパーよりも安い印象はあるけれど、最新の技術を導入しているなんて信じられない」と思われたかもしれない。記者もそうである。関東でいえば「オーケーストア」のように、関西でいえば「スーパー玉出」のように、安さをウリにしている印象が強い。ただ、それは半分当たっていて、半分間違っていたのだ。

 同社はITを積極的に取り入れていて、急成長してきた。業務アプリが入った従業員専用のモバイル端末を使っていたり、ポイントカードを発行して購買データを収集したり。客の立場からは“見えない”ところで、さまざまなことを行ってきたのだ。

 その流れのなかで生まれたのが、アイランドシティ店である。特徴は2つあって、1つは店内にカメラが多いこと。700台のカメラを設置していて、人の動きや商品棚をウォッチしているという。もう1つは、スマートレジカート(セルフレジ機能とタブレット端末を搭載)を100台以上導入したこと。たくさんの人が利用することで、売り上げアップと効率化を図っているという。

 店内に入ると、カメラ、カメラ、カメラ……。買い物をしている人たちはレジカートに搭載している端末に向かって操作、操作、操作……。テクノロジーのチカラを駆使することで、同社は何を狙っているのだろうか。オープンして4カ月が経過したわけだが、人の動きや商品棚を記録することで、どのようなことが分かってきたのか。トライアルホールディングスで副会長を務める西川晋二さんに話を聞いた。

●お客さんから“見える”ようになった

土肥: 博多湾を埋め立てて完成したアイランドシティには、マンションがたくさん建っていて、学校、病院、飲食店などがありますよね。若いファミリーがたくさん住んでいるところに、近未来感が漂うスーパーが誕生しました。店内のどこを見渡してもカメラがある。セルフレジ機能を搭載したスマートレジカートがある。AIの最新技術をフルに取り入れているわけですが、個人的にびっくりしたことがあるんですよね。

 トライアルで何度か買い物をしたことがあるのですが、そのときには野菜を買ったり、肉を買ったり、パンを買ったり。店頭に並んでいる商品をカゴに入れて、レジに並んで、料金を支払う。ごく普通のスーパーで買い物をしたという感覚しかなかったわけですが、いきなり福岡市に最先端の店が登場した感があるわけです。なぜこのような店をつくったのでしょうか?

西川: 当社は30年ほど前から、お客さんの“見えない”ところで、さまざまなことに取り組んできました。例えば、「店に必要な商品は何か」「どのタイミングで必要なのか」といった状況を把握して、自動的に発注するシステムを導入したり、ポイントカードの購買履歴を分析したり。ただ、新たにオープンしたアイランドシティ店では、お客さんから“見える”ようになりました。

 セルフレジ機能を搭載したスマートレジカートを導入したわけですが、3年ほど前から一部の店舗で実験を繰り返していました。対象商品を購入すればクーポンを発行するほか、レコメンド機能を搭載することで、お客さんにとって利便性の高いモノであることが分かってきました。手応えを得たので、いくつか改良を加えて、アイランドシティ店に導入したんですよね。

土肥: 資料を見ると、お客は会員になって、事前にお金をチャージしなければいけない。プリペイドカードを使ってログインして、「このカレー、欲しいな」となれば、商品をレジカートに付いたバーコードリーダーにかざすだけ。出口でタブレット端末のボタンを押せば、レジに並ぶことなく精算を済ませることができるわけですよね。お客からすれば「便利」といったキーワードが浮かび、店側からすれば「効率化」というキーワードが浮かぶ。スマートレジカートを導入したことで、コストはどのくらい削減できたのでしょうか?

●スマートレジ導入で売り上げがアップ

西川: 店舗での精算は3つの方法を導入しています。1つめはセミセルフ。商品をスキャンする作業は従業員が行って、精算はお客さんが支払い機で行う。2つめはフルセルフ。レジは複数台あって、商品をスキャンする作業はお客さんが行う。セミセルフの場合、精算は現金でもOKですが、フルセルフの場合、プリペイドカードのみ。お客さんが何か困ったことがあったときに、従業員が対応するといった形ですね。

 3つめはスマートレジカート。スマートレジカートを導入することによって、同規模の他店と比べてセミセルフの台数が半分以下になりました。昨今、レジスタッフの人手不足が叫ばれていますが、この問題にも対応できるのかなあと。コストを削減するだけでなく、売り上げアップにもつながることが分かってきました。

 スマートレジカードにはレコメンド機能を搭載しています。Aという商品を購入したら、Bという商品をオススメするといった感じ。これまで蓄積したデータを分析して、どの商品をレコメンドするのかを決めていて、そのときにクーポンも発行しているので、かなりの確率で購入していただいています。スマートレジを使っているお客さんと、使わないお客さんで買い上げ点数にどのくらいの違いがあるのか。スマートレジカートを使っているお客さんほうが、20%ほど多いんですよね。

土肥: おお。とはいえ、スマートレジカートを使っている人が少なければダメですよね。スーパーでの買い物はカゴに商品を入れるだけ。そのような行動に慣れている人が多いはずなので、なかなか利用率は上がらないのでは?

西川: 当初、私たちもそのようなことを考えていました。ところが、オープンしてまだ4カ月しか経っていませんが、スマートレジカートを使っている人は40%を超えました。

土肥: なんと。なぜ半数近くの人が利用しているのでしょうか?

西川: やはり、「お得+便利」なことが大きいのではないでしょうか。お得と感じるのは、クーポンを利用できるから。便利と感じるのは、レジに並ばなくてもいいから。買い物は終わったのに、レジで行列ができていたので、なかなか精算することができなかった。そうした経験をしたことがある人も多いかと思いますが、スマートレジカートを使えば、レジで待つ必要はありません。一度使ってみると、便利なことを実感できるので、利用率がアップしているのではないでしょうか。

●レイアウトを変更して、回遊率が上昇

土肥: 次に店内に設置している大量のカメラについて教えてください。入り口で正方形のカメラが出迎えているわけですが、このカメラは来店客の属性と行動を分析していて、店内に100台もある。

西川: カメラはエルモ社製で、パナソニックとPUXの画像認識エンジンを使って、どんな人がどこまで到達しているのか。また、滞在時間はどのくらいで、売り上げとどのような関係があるのかなどを分析することができるようになりました。

土肥: そのような話を聞くと、「なんだかスゴそうだなあ」と感じるわけですが、そうしたデータをどのように使うのでしょうか?

西川: これまでは当社のポイントカードを持っている人がどのような商品を購入したのか。そうした情報は把握できていたのですが、それだけでは不十分ですよね。来店したお客さんは男性なのか女性なのか、どのくらいの年代の人なのか。その人はどのような商品を購入したのか、いや、一度はレジカートに入れたものの、棚に戻しているかもしれない。さらに、どういったところを通ったのか、といった到達点も把握できるようになりました。

 では、なぜそのような情報が必要なのか。闇雲に「ウチの店は高齢者が多いので、若年層向けの商品を並べる必要はない」と判断してはいけません。逆に「ウチの店は若年層が多いので、高齢者向けの商品を並べる必要はない」と判断してもいけません。買った人だけの情報だけでは不十分で、来店客全員の行動を分析することで、品ぞろえを改善することができるんですよね。

土肥: 分析してこのように変えた、といった話はあるのでしょうか?

西川: 実験店で、レイアウトを変更しました。カメラを使えば、どのくらいの人が、どのルートを通って、どこに行っているのかが分かる。右折する人がこのくらいいて、左折する人がこのくらいいて、直線の人がこのくらいいてといった感じで。こうした数値を統計処理して、お客さんがあまり足を運ばないようなところをなくさなければいけません。

 従来であれば、働きながら「あのへんにお客さんは行ってないよね」といった考え方だったのですが、それではダメ。人間の目視で観察するといった方法もあるのですが、それも限界がある。機械にできることは機械に任せる、AIにできることはAIに任せるといった考え方で、店舗を改善していかなければいけません。

 例えば、ある店舗ではペット関連の商品がよく売れていました。そこでお客さんの行動を分析したところ、ドッグフードなどを購入して、そのままレジに足を運ぶ傾向がうかがえました。当社としては、できれば他の商品も見てもらいたい。では、どうすれば他の商品も見てくれるのか。お客さんの到達点を分析して、ペット関連の商品を店の奥のほうに配置しました。そうすることによって、レジに向かって歩いていても他の商品がたくさん目に入る。店内のレイアウトを見直すことで、回遊率が大幅に上昇しました。

●データを分析して改善していく

土肥: 人の行動を分析する正方形のカメラのほかに、長方形のカメラを600台設置していますよね。すべての棚を撮影して、お客が触った商品などを分析しているそうですが、これもどういった意味があるのでしょうか?

西川: こちらのカメラは当社が独自に開発しました。1台のカメラで2つの棚を撮影していて、お客さんが触った商品を認識して、棚ごとに購買行動を分析することができるようになりました。商品を手に取ったものの、元の位置に戻すことがありますよね。そうした情報も分かるんです。

土肥: そんな情報を知って何に使うのですか?

西川: 棚の前で、お客さんはどのような行動をしているのか。一度手にしたのに、元に戻すということには何らかの原因があるのかもしれません。見つけにくいといったケースであれば、手に取りやすく、買いやすい陳列にしなければいけません。以前であれば「この商品売れているよね。じゃあ、一番目立つところに」といった考え方をしていたのですが、それだけではいけません。どのように並べたら、他の商品も手に取ってもらえるのか。動画を分析することで、最適な並べ方にする。それも人だけが判断するのではなく、AIにも決めてもらう。

 あと、棚に置かれた商品の売れ行きも把握することができます。以前であれば、従業員が店内を歩いて「この商品、少なくなってきたなあ」と気付けば、棚に商品を補充していました。このカメラを設置することで、従業員は商品がどのくらい減っているのか、といったことを見て回らなくてよくなるんですよね。お客さん側からすると、「買いたい商品があるのに、棚に並んでいないので買えない」という不満を解消することができる。会社側からすると、欠品をなくすことで機会損失をなくすことにつながる。

土肥: これまでは従業員が店を回って、目視で点検していた。そうした作業をなくすために、600台も設置したわけですか?

西川: はい、店内の死角をなくすことができました。膨大な情報を手にすることで、メーカーさんとさまざまなことを改善できればと思っています。売り上げを伸ばすには、パッケージを変えたほうがいいかもしれませんし、棚の位置を変えたほうがいいかもしれません。現在は情報を集めている段階でして、これから改善できるところは改善していくといった流れです。

●テクノロジーを駆使した店舗、増やしていく

土肥: アイランドシティ店に700台のカメラを設置して、スマートレジカートも導入しました。競合他社との差を広げようという姿勢はうかがえるのですが、一方で現在抱えている課題は何でしょうか?

西川: 繰り返しになりますが、スマートレジカートを使えばレジで待つ必要がなく、精算することができる。セミセルフレジのように商品をひとつずつスキャンする必要はないのですが、いまはまだ導入したばかりということもあって、出口前で商品のスキャン漏れがないかどうかを確認しています。

土肥: スマートレジカートの中に入っている商品をいくつか取り出して、従業員が確認していますね。

西川: お客さんにはスムーズに買い物をしていただき、楽しんでもらいたい。ただ、商品のスキャンを忘れて、そのままカートの中に入れてしまうことがどうしてもある。そうしたうっかりミスをどのように確認すればいいのか。現時点で、一番いい方法を見い出せていません。

土肥: 従業員も言いたくないだろうし、お客も言われたくない。センシティブな部分にもなるので、そこは機械に判断してもらいたいですね。

西川: あと、店内にたくさんのカメラを設置したわけですが、まだ日常業務で使えるツールになっていません。どういうことかというと、カメラで得た情報を店内で働いている従業員がリアルタイムで使うことができないんですよね。現在は会議室で分析するといった感じなので、できるだけ早く現場の人にも使えるようにしなければいけません。

土肥: 最後の質問です。アイランドシティ店のようなテクノロジーを駆使した店舗を今後も増やす予定はあるのでしょうか?

西川: はい。数年以内に広げていく予定です。ただ、勘違いしてもらいたくないのは、カメラをたくさん導入する、ITを活用する、AIを駆使する、といったことが目的ではないんですよね。どのようにすればお客さんは快適に買い物をすることができるのか。どのようにすればお客さんは満足するのか。そのために、私たちは何をすることができるのか。流通業界は他社との競争が厳しい世界なので、淘汰されないようにやっているだけなんです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
700台のカメラを設置して、スーパーの「トライアル」は何を分析しているのか 警備資料/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる