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zoom RSS カジノ大盛況の裏で進むマカオの街並みと伝統産業の破壊

<<   作成日時 : 2018/05/11 08:35   >>

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● 中国で唯一のカジノ合法地区 マカオに群がる人々

 4月27日、日本政府はカジノを含む「統合型リゾート(IR)実施法案」を閣議決定し、国会へ提出した。時を同じくして、筆者は“IR”といわれるマカオのカジノに足を踏み入れたが、そこは見たこともない異次元の世界が広がっていた。

 もともと、中国本土には競馬、競輪、競艇、パチンコがない。というのも、中国政府が社会の治安と秩序を乱す恐れがあるとして、これらを禁止してきたからだ。

 その例外がマカオ。そのマカオにカジノができたのは2003年のことだ。マカオ特別行政区は、中国でカジノが合法とされる唯一の都市だ。そんなマカオのカジノ産業は、今やラスベガスを抜き世界最大規模にまで成長した。

 香港・尖沙咀のフェリーターミナルから、高速フェリーに乗り、一路マカオへと向かった。あまりの揺れに、船内では“苦しい1時間”が続く。ようやくマカオの船着き場に下り立つと、無数の無料送迎バスが観光客を待ち構えていた。

 賭博以外の目的でマカオを訪れた観光客はいないと見え、大半がこれに乗り込む。筆者も「ギャラクシー・マカオ」行きの送迎バスに乗り込んだ。「ギャラクシー・マカオ」といえば、日本進出に最も熱心な香港資本のカジノ大手「ギャラクシー・エンターテインメント(銀河娯楽集団)」が運営する施設である。

 右前方にかかる「友誼大橋」を見上げると、そこには送迎バスが数珠つなぎになってシャトル運行を繰り返していた。船着き場の客を余すことなくカジノに運び込む“気の利いたサービス”の裏には、したたかな戦略が見え隠れする。頭上にはヘリコプターも飛んでいる。習近平政権の倹約令とともに減ったと言われている「VIP客」もいまだ健在のようだ。

 15分ほど乗車すると、白亜の殿堂が見えてきた。いかにも大陸客好みの意匠だ。1階のエントランスは、“この世のパラダイス”を思わせるかのように演出を凝らした幻想的な噴水がある。そのすぐ奥にあるのがカジノだ。

● Tシャツ・短パン・サンダル履きまで 紳士淑女の社交場ではない

 「ギャラクシー・マカオ」への入場は、ノーチェックだった。パスポートと荷物チェックを行うシンガポールのカジノに比べると、管理は緩い。ましてやドレスコードなども存在しない。

 日本には「カジノは紳士淑女の社交場」だと信じて疑わない国会議員もいるが、シンガポール同様、このマカオでもTシャツ短パンにサンダル履きは珍しくない。中にはホテルの“スリッパ履き”という姿まであった。

 もっとも、VIP客は完全にすみ分けられている。“包房”(個室)に入り、一般客と一緒にプレーするわけではない。

 ホテルの関係者によれば、プレーヤーは「ビジターは75%が大陸からの客であり、10%が香港からの客」だという。だが、筆者の肌感覚では、ほとんどが大陸からの客という感じだった。

 その身なりやしぐさから推察するに、典型的な“土豪”(中国語で“地方の成金”の意)が多いようだ。筆者が訪れたときは、欧米人だけでなく、日本人の姿も見られなかった。

 「ギャラクシー・マカオ」はのカジノの営業面積は東京ドーム(4万6755平方メートル)を超える広さに、テーブルゲーム500台、スロットマシン1000台(銀河娯楽集団の計画段階の数字)がぎっしりと詰め込まれている。だがこの数字には諸説あり、テーブルゲーム約950台、スロットマシン約2500台だとの見方もある。

 また、台によって賭け金の最低金額が決められており、バカラだと300、500、1000香港ドル、またVIPルームでは2000、3000香港ドルが最低金額となる(1香港ドル≒1.03マカオパタカでほぼ1対1に近く、マカオ市内では香港ドルが使用できる。1香港ドルは日本円で約14円)。

● 1億3000万円も 儲けるプレーヤーも

 テーブルによっては黒山の人だかりができるところもある。その張り詰めた空気は遠くからでもわかる。人垣を割って入ると、3人の中国人男性がバカラに興じていた。バカラはカードの数の合計を当てる単純なゲームだ。

 テーブルに向かって左側に座っている、火のついてないタバコをくわえたままの男性の横顔は、真剣だった。男性はこのゲームに18枚のチップに、さらに9枚を積み上げ勝負に出た。チップ1枚1000香港ドルだから、このゲームで37万8000円を賭けた計算だ。

 切れ長の目が、手元のカードに集中する。カードを押さえた両の手は小刻みに震えている。人差し指と親指で、カードの先を巻き込むようにゆっくりとめくり上げていく。数字の頭が見え始めるまでの時間は長い。全身全霊をかけてめくったカードだったが、男性の表情は最後まで硬いままだった。たった1ゲームで約38万円が溶けた。しかし、その後も男性は黙々と賭け続けた。

 とはいえ、彼らにとって38万円ははした金だ。超VIPともなればそのプレーは“包房”であり、最低の賭け金は100万香港ドルといわれる。むしろ、VIP客こそがマカオのカジノ産業の主要な財源となっている。

 天井から吊るされた電光掲示板には、このカジノで1人が1日に儲けた最高金額が掲示される。最近では2018年2月24日に912万香港ドル(約1億3000万円)。そんな桁外れのツキに恵まれた人もいる。

 金が動くところ、そこには周辺産業が発展する。広い賭博場をウロウロするのは、俗に“黄牛”といわれる闇ブローカーだ。手あたり次第、客に声をかけ、「獲得したチップを換金させろ」と迫る。

 “黄牛”には女性もいて、女性用トイレでも交換に誘い込んでくる。「あなたと交換するとどんなメリットがあるのか」と尋ねると、「チップの交換を正規の手続きでやるといろいろ面倒くさいことがある」のだそうだ。「税金や手続き料など差っ引かれて、手取りが少なくなる」という。

 賭博場をうろつく “黄牛”は、1人や2人ではない。相当な数が入り込んで、白昼堂々と客を口説いて回る。経営側は事実上これを黙認しており、特に取り締まる様子はない。マカオの税収が目減りしてしまうにもかかわらずだ。

● 周辺は質屋だらけ 負けた人向けに不動産屋まで

 カジノの周辺には、独特な産業が発達する。「ギャラクシー・マカオ」はカジノのみならず、ホテル、ショッピングアーケードも併設されるが、結局、ここでは欧米系の超高級ブランドを中心にテナントを押さえていた。

 「ギャラクシー・マカオ」から少し離れたところには、銀河娯楽集団の傘下企業が経営する、IRとは異なる典型的なカジノ・ホテル「スターワールド・ホテル」など、いくつかのカジノが集積する。

 この周辺には宝飾品や高級時計、モバイル端末やパソコン、高級乾物の「燕の巣」などを売る店が軒を連ねていた。むろん、風俗業の発展も想像に難くない。マカオに在住する一般市民にとって、これら“高級品”はあまり縁がない。

 それにも増して目立つのは「押」と書かれた看板だ。これは「質屋」のことで、マカオには無数に存在する。こうした質屋は「負けてから行く」のではなく、プレーヤーが事前にプレー代を調達するためのところだ。マカオに持ち込めるのは12万パタカ(約168万円)、それ以上の“資金調達”はこうした個人店で行う(詳細は次回の当コラムをご覧ください)。

 驚いたことに、不動産屋まである。看板には「売却したい方歓迎」。“スッた”客が最後にたどり着く店だ。筆者は、マカオのカジノに15年通い続けているという山東省出身の男性と出会ったが、「負けてしまい、不動産屋で自宅を売却するヤツもいる」という。ちなみに、この男性自身は「70万元でベンツを売って、返済に充てたことがある」と言っていた。

 筆者は、カジノ周辺で営業する“観光自転車”に乗った。運転手は、60代とおぼしき初老の男性。汗だくでペダルを漕ぐおじさんに、後部座席から声をかけた。マカオ市民はカジノを歓迎しているのか、と。おじさんの回答は、次のような肯定的なものだった。

 「マカオでは教育は無償だし、最近、高齢者への助成金も増えた。カジノの税収の恩恵はある」

 「では、マカオ市民も賭けるのか」と尋ねた。おじさんは「俺はやらないけど、一部はいるよ」としながらも、こう言い放った。

 「ギャンブルに手を出すなんて、本当に“笨蛋(ベンダン)”だ」

 笨蛋とは、「間抜け」「馬鹿」と訳される中国語である。そして、ペダルを立ちこぎしながら「笨蛋!笨蛋!笨蛋!」と強く3回言い放った。

● GDPに占めるカジノの 割合が47.15%までに

 このように、カジノ周辺で育つのは“独自”の産業だ。その産業と、地元住民の生活には乖離があり過ぎる。確かにカジノを中心とした観光産業は、雇用を生み税収を生んだが、どこかアンバランスなものになってしまっている。

 そもそもマカオの伝統産業は、縫製や玩具などで80年代中期には2700の工場があった。時代の変遷で産業の構造転換が進んだとはいえ、マカオのGDP構成比に占める製造業の割合は年々減り続け、今ではたったの0.6%に過ぎない。一方で、カジノが占める割合は47.15%だ(澳門特別行政区政府統計曁普査局)。

 ペダルをこぎ続けるおじさんの背中を見ながら、「果たしてマカオ市民にとって、これでよかったのだろうか」と考えさせられた。日本ではカジノ解禁が目前に迫っている。6月20日まで開かれる通常国会で、カジノの方向性が決まる見通しだ。

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