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zoom RSS 「わが葬儀には副大統領を」大物議員、異例の遺言でトランプに肘鉄

<<   作成日時 : 2018/05/15 21:21   >>

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国民的英雄として人望厚いジョン・マケイン共和党上院議員(81)が重篤な脳性がんで死の接近を自覚した上、葬儀列席予定者リストからあえてトランプ大統領を外すようホワイトハウスに伝えていたことが明らかになった。代わってペンス副大統領の出席を求めてきたという。今のところ、この件について大統領自身は沈黙しているが、共和党内での動揺は隠せない。

 ニューヨーク・タイムズとNBCテレビが去る5日、報じたところによると、マケイン議員とその親族は、本人が死去した場合の葬儀のあり方やその内容について相談した上で、ホワイトハウスに対し「トランプ大統領ではなく、ペンス副大統領に出席してほしい」旨、連絡してきた。

 さらにこの葬儀は、ワシントンのナショナル・カテドラルで挙行されること、参列者の中には、ブッシュ元大統領(共和党)、オバマ前大統領(民主党)夫妻らが含まれていることなども内定しているという。

 マケイン議員は、海軍兵学校卒業後、下院議員をへて1987年から今日にいたるまで連続6期上院議員を務め、この間、上院軍事委員会委員長としてアメリカの国防政策立案、遂行に多大な影響力を行使してきたほか、2008年大統領選では、共和党大統領候補としてオバマ民主党候補と戦った経緯がある。

 しかし、彼が国民的英雄として一躍有名になったのは、ベトナム戦争での従軍体験だった。海軍兵学校卒業後、海軍パイロットとして北ベトナム爆撃に参戦したが、ハノイ上空で撃墜、捕虜となり、繰り返し拷問を受けるなど軍収容所で耐えがたいほどの独房生活を強いられた。この間、たまたま海軍将官だった父親が太平洋軍司令官に抜擢登用された際に、北側は“対米融和”のシグナルとして彼を釈放しようとしたのに対し、自らは「他に拘留されているわが米軍捕虜たちも解放されないかぎり、自分だけが特別待遇を受けるわけにはいかない」と頑固に拒否し続けた。結局、その5年後に戦友たちとともに解放されることになったが、帰国後、米国民に英雄として熱狂的に迎えられたエピソードは余りにも有名だ。

 そのマケイン氏とトランプ氏の二人の関係がマスコミで注目されるようになったのは、2015年、トランプ氏が大統領選への立候補を表明してからだった。

 共和党議会の重鎮でもあるマケイン氏は、同じ共和党ながら異端児的な発言を繰り返すトランプに対し「党内の跳ね上がり分子たちだけを扇動する無責任な言動はやめるべきだ」と忠告するなど批判的立場をとってきた。

 しかし、関係を修復不可能な状態にまで追いやったのは、トランプ氏の方だった。彼は、マケイン氏の戦歴に触れ、「彼は捕虜になったから英雄視されたが、私は捕虜にされなかった兵士の方を評価する。彼は英雄とは言えない」と酷評、この発言は全米マスコミでも繰り返し大きく報道された。

 というのは、トランプ氏はベトナム戦争当時、5回にわたり徴兵で召喚を受けたが、「右足かかとの小さなこぶ」の存在を示す医者の診断書をそのつど提出し、結果的に応召を免れた経緯があり、自らの徴兵拒否という不名誉な過去をも顧みずに勇猛果敢な戦士を批判したことで、国民感情まで逆なですることになったからだ。

 このトランプ発言がマケイン氏本人のみならず、家族、親族たちの心を大きく傷つけることになったことはいうまでもない。

 トランプ氏が大統領選で勝利し、ホワイトハウス入りしてからも、二人の間ではぎくしゃくした関係が続いた。

 とくに二人の対立を決定的にしたのは、昨年7月、国民皆保険をめざす医療制度改革(オバマケア)をトランプ大統領の号令一下、廃案にする上院での法案審議だった。廃案に追い込もうとする共和党とこれを阻止しようとする民主党の票は真っ二つに分かれ、夜を徹しての白熱した論議が戦わされたが、最後に登壇したマケイン議員が民主党側にくみすることを宣言、結局1票差でオバマケアの存続が決まった。

トランプ政権が打ち出してきた一連のいわくつきの内外政策
 このほか、NATO(北大西洋条約機構)や国連に対するあいつぐ批判、移民制限措置、地球温暖化緩和をめざすパリ協定からの離脱、TTP(環太平洋経済連携協定)脱退など、トランプ政権が打ち出してきた一連のいわくつきの内外政策についても、マケイン議員は真っ向から反対の立場を表明してきている。

 マケイン議員が自分の葬儀へのトランプ大統領参列を断ったというニュースに、共和党議員の間では、驚きと動揺を隠せないでいる。とくに、同じ共和党のブッシュ元大統領夫妻のほか、民主党のオバマ前大統領夫妻まで葬儀出席に同意ずみと伝えられただけに、このままでは大統領以下現共和党体制の体面にもかかわる問題にもなりかねない。

 早速、共和党最長老のオーリン・ハッチ上院議員(ユタ州選出)がコメントを発表「マケイン議員が決めたことは馬鹿げている。考えを改め、大統領を葬儀に招くべきだ」といったんは語気鋭く抗議ののろしを上げた。

 しかし、その翌日、マケイン議員の長女メーガンさんがABCテレビのインタビューで「どうか父のことは静かに見守っていてほしい。とくにハッチ議員にはそうお願いしたい」と訴えかけたことを受け、ハッチ議員も自分の発言を撤回、マケイン家族に謝罪し、ひとまず騒ぎは収まっている。

 トランプ大統領の要人葬儀出席問題をめぐっては、さる4月23日、故バーバラ・ブッシュ大統領夫人の葬儀の際にも、話題となったばかりだ。

 この時は、テキサス州ヒューストンのブッシュ一家の教会で行われ、他州からも含め各階層から1500人近くの弔問客が訪れた。この中には、クリントン元大統領夫妻、オバマ大統領夫妻ら多くのVIP客も含まれていた。

 しかし、トランプ大統領は出席せず、メラニア夫人が代行した。現職大統領だけが出席しなかったことについて、ホワイトハウスは「警備上の混乱を避けるため」とだけ説明しているが、実際は、ブッシュ・ファミリーはかねてから、同じ共和党ながら過激でスキャンダルの多いトランプ大統領登場を好ましく思っておらず、最初からトランプ氏参列を念頭においていなかったことが背景にあったとの見方が強い。

 もともと共和党主流派は2016年大統領選挙では、濃厚な保守主義思想に染まったトランプ候補とは距離を置き、ポール・ライアン下院議長ら首脳部もトランプ氏を共和党候補として正式指名することについて最終段階まで態度を保留してきた。大統領当選後は、共和党議会は11月中間選挙を控えトランプ・ホワイトハウスとの「挙党一致体制」をアピールしてきてはいるものの、その底流にある“トランプ不信”には大きな変化はないようだ。

 今回のマケイン葬儀問題をめぐる騒ぎの背景には、トランプ政権発足以来の、こうした共和党内部にひそむ複雑な事情が存在することを物語っている。

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