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zoom RSS 韓国の大学「キラーロボットの開発をしない」宣言:世界のAI研究者からのボイコット回避

<<   作成日時 : 2018/04/10 22:07   >>

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韓国の国立大学KAIST、産学連携でAIを活用した軍事研究
 韓国の国立大学のKAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)と韓国の防衛関連大手企業のハンファシステムが2018年2月に、人工知能(AI)を活用した自律兵器の開発など軍事研究を共同で推進していくこと発表。

 両者はKAISTのキャンパス内に、AIを活用した防衛に関する研究センター(Research Center for the Convergence of National Defense and Artificial Intelligence)を設立。いわゆる産学連携によるAIを活用した軍事研究だ。KAISTからは25名の研究者が参加し、AIベースのコマンドシステム、AIを搭載した無人ナビゲーションのアルゴリズム開発、AIによる飛行システム、物体追跡に関する研究や開発を実施する予定だった。

 設立時に、KAISTのSung-Chul Shin学長は「KAISTにはAI分野の専門家が60人いる。グローバルレベルでの研究ができる。今回のセンター設立は、国家防衛でのAI活用の強力な礎になる」とコメント。また「KAISTと協力して、2018年までに開発を完了したい。そしてグローバル市場でも競争力ある製品を開発していきたい」とハンファシステムCEOのChang Si-kweon氏は述べていた。

AI搭載兵器の登場で変わる戦場と戦争
 AIの軍事面での活用はロシアや米国などでも進められており、AIを搭載したロボット同士の戦いになり、戦場や戦争の在り方が変わっていくと注目されている。特に従来、戦場で兵士が行っていた3D業務(単調:dull、汚い:dirty、危険:dangerous)の任務の多くがロボットに置き換わっている。北朝鮮と対峙している韓国は地政学的にも軍事面でのAI活用は避けて通れない。韓国では既にサムスンが開発したAI搭載の監視ロボットSGR-A1が北朝鮮との国境に配備されている。画像認識で人が近づいてくることを判断すると警報を発する。発砲には人間の判断が必要とのこと。国境線の監視や警備には人間の目よりも、24時間働き続けても疲れないし、見逃しも少なく広範囲を監視できるのでロボットの方が適している。

キラーロボットへの懸念、KAISTが開発をやめるまでは絶交宣言

 一方で、AIが進化し、自律型ロボット兵器が登場することによって、ロボットが自律的に判断して人間を攻撃してくることも懸念されている。キラーロボットと呼ばれており、「自律型致死兵器システム(LAWS)」の問題は国連でも議題になっている。2018年4月9日からも国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組で公式専門家会議が開催。議論は進行しているが各国の足並みは揃っていない。

 そして、韓国の大学KAISTが産学連携でAIを活用した軍事研究を行うことに対して、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のToby Walsh教授が中心になって、世界中の約30か国のAIやロボットの研究者、エンジニア約60人が、韓国のKAISTに対して「AIの軍事活用はキラーロボットの発展につながることから遺憾である」ことを表明。オープンレターをKAISTのSung-Chul Shin学長に対して発出していた。

 オープンレターの中で「KAISTがAIを活用した軍事研究や開発をやめない限り、KAISTとの協力関係を一切取りやめる」と公に宣言。オープンレターの中で「例えば、KAISTを訪問しない、KAISTの関係者を招へいしない、KAISTが関与しているあらゆる研究プロジェクトに関わらない」と述べている。キラーロボットに発展する懸念のあるAIの軍事活用に向けた研究が中止するまでは、絶交するとの絶縁状を突き付けた。KAISTはあらゆる関係をボイコットされていた。

KAIST学長「ロボット兵器の開発はしない」確約
 オープンレターを受けてKAISTのSung-Chul Shin学長は「大学では自律型兵器の開発は一切行っていない。我々は人権と倫理観を重視した研究開発を行っている。人間の判断が入らないでロボットが自律的に攻撃するような自律型兵器の開発は行っていない」とコメントしていた。

 そして改めてKAISTのSung-Chul Shin学長は「大学としてキラーロボット、自律型兵器を開発する意思は全くない」ことを明らかにし、「人間の尊厳や人権を無視するような研究や開発は一切行わない」ことも確約した。KAISTとの関係をボイコットしていた研究者たちも、KAISTの発表を受けて、KAISTとの関係を以前のように戻すことを明らかにしているようだ。


佐藤仁
学術研究員/ジャーナリスト
グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディア・コンテンツの果たす役割などに関して研究。情報通信技術の発展とメディア・コンテンツの多様化によって世界は大きく進化してきた。それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあり、国際秩序をどう変化させたのか、そして人間の行動パターンと文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたい。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(同)など。

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