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zoom RSS 伊調馨がALSOK広報部に異動したので、さっそく名刺交換してきた

<<   作成日時 : 2018/02/09 19:41   >>

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ALSOKの伊調馨(いちょう・かおり)が、同社アスリートのほとんどが所属する教育・訓練部から、2018年1月1日付で広報部へ異動。五輪4大会連続金メダルのレスリング女王は、ビジネススーツに身を包み、朝9時から夕方18時までフルタイムで業務に就いている。

「仕事をしっかりしたいと思い、自分から希望しました。もともと、私たちスポーツ選手も社員。試合に出場する予定があれば練習を優先して仕事を免除されていましたが、私の場合は今、試合出場の予定がないので。

 就職させていただいて12年。正直、自分が勤めているのが警備会社だということ以外、何もわからずにここまで来てしまいました。でも、それではダメだと思ったんです。レスリングしか知らない人生も嫌。きちんと仕事を覚えて会社のことを知りたかったし、社会のこともわからなければと」

 具体的な仕事としては、取材申し込みの対応や社内報の制作などがあり、今はパソコンと格闘中。この取材の前日にはALSOK支社へ出かけ、社内関係者をインタビューしてきた。

「写真も撮りました、一眼レフで。いつも(話を)聞かれるほうだったので、聞くのって難しいですね。それでも、支社長が社員のやる気を引き出すためにどう考えているのか、副支社長がそれをどう支えているのか、話をうかがうことができました。自分がまったく考えもしなかったこと、想像もしなかった世界のことを教えてもらえるって勉強になります」

 本人いわく、「これだけ長い間、本格的な練習から離れたことはないので、筋肉が落ちて痩せてしまった」ため、今回改めてスーツを2着新調した。名刺入れは、「仕事もがんばれ!」と友だちからのプレゼント。ファッションやビジネス小物を選ぶ際のポイントは、「派手すぎず、シックにキメる」だ。

「もう私も33歳ですから、年相応にというか、落ち着いた感じで」

 ランチは自分でおにぎりをつくってきたり、部署の仲間と赤坂の街へ出かけたりしている。「会社の方々にはいつも熱心に応援していただいてきましたが、食事を一緒にしたりする機会がなかったので楽しんでいます」

 苦手なことは、通勤ラッシュ。

「今は(乗車)時間を少しずつずらしながら、どの電車が空いているか調べています」

 5〜6月ごろに新人研修も受ける予定があり、それも楽しみ。やってみたい仕事は、「柔道部やウエイトリフティング部、陸上部に代表クラスの選手が大勢いるので、試合会場で広報として対応したり、取材現場の立ち合い」。新人広報部員は意欲満々だ。

「レスリングを極めんとする孤高の求道者」と言われながらも、以前から伊調は、「選手でなくても、コーチとなってレスリングを追求するというのもいいかな」と言ってきた。目指すのは、「選手と一緒にレスリングをつくっていけるコーチ」。そのためには、「コーチングとは何か?」を根本から学ばなければならない。

 リオデジャネイロオリンピック後は、全国各地のレスリング教室を積極的に巡り、子どもたちを中心にレスリングを指導。昨年5月には日本スポーツ振興センターの女性アスリート戦略的強化・支援プログラムに自ら手をあげて参加し、カナダで開かれたコーチングスクールで5日間、講習や実技のプログラムを受けてきた。

「プロのコーチなどもいて、レベルは高かったですけど、勉強になりました。レスリング以外の競技の方たちと交流できたのも収穫です」

 さらに、宗教上の理由から女子レスリングがようやくスタートしたイラン協会からの要請を受け、9月には現地で9日間にわたって指導してきた。

「選手への指導だと思っていたら、相手は指導者候補。戸惑いました。総勢68名を3組に分けて、3日ずつ毎日2回練習。最後は、それぞれの身体的能力や本気度などをもとに採点もしました。

 イランでは、女子は学校で体育の授業もないそうで、まったくスポーツをしたことがない人や、私よりも年上の人もいて。もちろん、国民性も環境もまったく違っていたので、日本でチビッ子を教えるより大変でしたが、得たことも大きかったです。

 まず、基本を教えるには、“しつこさ“が必要だと改めて感じました。英語も通じないから覚えたての言葉で、気づいたら『右!』『左!』『何度も繰り返して!』ばかりしつこく言っていまいた。

 コーチとしての未熟さも改めて思い知らされましたが、一番は何と言っても、教えるときの言葉の引き出しの少なさ。そこからもっと勉強しなくてはいけないと痛感しました」

 そうした経験を活かし、コーチとして学んでいくこと、オリンピックやレスリングを盛り上げていくことについては、東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーであるALSOKとしては今後も後押ししていく方針だ。

 2017年12月の全日本選手権にはエントリーしなかった。だが、伊調は1年以上試合から遠ざかっているものの、練習は続けている。

「最初は身体を慣らす程度でしたけど、少しずつ上げてきています。いくら子どもたち相手でも負けるわけにはいきませんし、『タックル、遅せぇなぁ』なんて言われたくないですから。

 今年1月からは、仕事が終わってからできるだけ出稽古に行ったり、ジムでトレーニングをして、週末も練習するようにしています。でも、オリンピック前のようにフルに練習漬け、すべてが練習中心とは違いますし、週末もイベントやレスリング教室などがあって、なかなか自分の練習はできていません。

 それでも、不思議ですよね。忙しくて練習時間が思うように確保できず、時間が限られてくると、その分しっかりやろうとなってくる。練習に身が入るといいますか。スイッチは3ぐらいまで入ったかな」

「東京オリンピックへの想い」を聞くと、伊調は迷うことなく答えた。

「今はまだ選手としてやっていくこと、オリンピック5連覇ということに意味・価値を見いだせていないので、漠然と『選手に戻る』ということはありません。戻るとしたら100パーセント、腹をくくったとき。それがいつなのか、きっかけが何かの出来事なのか、誰かの言葉なのか、大人か子どもか、はたまたモノなのか......。今はまったくわかりませんが、“コレ“ということ、モノ、人があれば」

 Sportivaが独占インタビューした2016年12月、伊調は「復帰のリミットは客観的に見て、オリンピックの2年前」と断言した。まずは2018年12月の全日本選手権で優勝。そして2019年6月の全日本選抜でも優勝して日本代表となり、秋のオリンピック第1次予選を兼ねた世界選手権で出場権を獲得。同時に世界の動き、どんな選手がいるのか実際に戦ってみて、確かめる必要があるというわけだ。

 今回改めて、復帰のリミットを訊ねると、伊調は自ら確認するように言った。

「今年の12月ですよね。そこから逆算して......階級、計量が変わったので、少し余計に時間が必要かな」

 リオで戦った58キロ級はなくなり、57キロ級あるいは62キロ級へ変えなければならないが、もともと60キロ前後の伊調はアジャストできるだろう。それぞれの階級に誰がいるか、気にする必要もない。

 問題は計量だ。1回戦から決勝までを2日に分けて行なう新システムも、アテネオリンピックまでは2日間にわたった試合をしてきたので難なく対応できるだろう。ただ、試合当日の朝に行なわれる計量――この点だけは慎重にならざるを得ないが、情報はすでに集めているようだ。

 身体をもとに戻すには、どれだけかかるのか。最後にズバリ訊ねると、伊調は即答した。

「最低3ヵ月は必要」

 その言葉には、オリンピック4連覇の偉業を成し遂げた女王の力がこもっていたが......果たして、私たちは伊調馨とともに、前人未踏のオリンピック5連覇の夢を追いかけることはできるだろうか。

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