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zoom RSS 完全自動運転を「儲かるビジネス」にするのは想像以上に難しい

<<   作成日時 : 2017/12/05 20:09   >>

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● 大臣ふたりに県知事も参加する大イベント!?

 11月第三土曜日の午前10時過ぎ、いまにも雨が降り出しそうな曇り空。

 茨城県北部の常盤太田市に昨年オープンした、道の駅「ひたちおおた」の周辺は地元警察による警備が強化された。

 午前11時から始まったのは、「道の駅『ひたちおおた』を拠点とした自動運転サービス実証実験開始式」だ。

 挨拶には、石井啓一・国土交通大臣、梶山弘志・地方創生担当大臣、大井川和彦・茨城県知事、さらに複数の参議院議員らが立った。有名政治家が大集合したことで、地元住民は“事の重大さ”を再認識し、たまたま道の駅に立ち寄った観光客は「これから世の中、一気に自動運転になるのか?」と目を丸くした。

 実証実験の内容は、野菜の集配車を集落と農業生産地の間で周回させるもの。走行ルートは全長3.2kmの公道で、うち無人の自動運転区間が0.5km、運転手が監視しながら自動で運転する区間が1.3km。集められた野菜は、道の駅「ひたちおおた」に隣接する高速バスの発着所で、担当者が自動運転車から高速バスへ詰め入れ、東京都中野区内のスーパーに向けて出発する。

 使用する自動運転の実験車両は、ヤマハ製の7人乗りゴルフカートで、地面に埋設した電磁誘導線を車体側のセンサーが検知しながら走行するタイプだ。本連載で紹介した、石川県輪島市で使用されている2列シート型を3列シートにした。また、輪島市向け車両との違いとして、車体上部に前方の障害物を検知するステレオカメラがあるが、これは沖縄県北谷町での実験のような遠隔監視は行わないタイプであり、自車に搭載したシステムが減速や停止を判断する。

 当日の模様は、茨城県政記者クラブなどを通じて集まったNHK水戸放送局などのメディアによって「自動運転の実用化が近い」と報道された。

 はたして、日本はこのまま一気に自動運転社会へと移行していくのだろうか?

● オリンピックは良いキッカケだが…

 今年に入って、全国各地で自動運転に関する実証試験が始まっている。その背景にあるのは、2020年東京オリンピック・パラリンピックだ。

 直近での自動運転に関する政府方針を見ると、安倍首相は2015年11月5日の「第二回未来投資に向けた官民対話」で「2020年オリンピック・パラリンピックでの無人自動走行による移動サービスや、高速道路での自動運転が可能となるようにする。このため、2017年までに必要な実証を可能とすることを含め、制度やインフラの整備をする」と明言した。

 具体的な政策としては、官民ITS(高度交通システム)構想におけるロードマップの最新化や、2014年度から5年度に渡り実施する内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(通称SIP)での枠組み、さらに2017年6月9日に閣議決定した未来投資戦略2017がある。

そうした中、実証実験として目立つのが、SIPの予算による国土交通省の事案と、経済産業省が独自予算で行う2通りだ。後者については、本連載で、福井県永平寺町、石川県輪島市、沖縄県北谷町での取り組みを紹介した。この他に、茨城県日立市でのバスを用いたものがある。

 一方、今回の事案は国土交通省が平成29年度の実証試験として行う、「中山間地域における道の駅を拠点とした自動運転サービス」のひとつだ。

 超高齢化の進行などで社会の大きな変化に直面している中山間地域で、人の移動(人流)と物流を確保するための方策のひとつとして、全国13ヵ所で行う。このうち、技術的な検証を速やかに行うため、国土交通省が指定した地域が、北から秋田県上小阿仁村、栃木県栃木市西方町、滋賀県東近江氏蓼畑町、島根県飯石群飯南町、そして熊本県葦北郡芦北町の5ヵ所。さらに各地域からの公募型として、北海道大樹町、山形県高畠町、茨城県常陸太田市、富山県南栃市、長野県伊那市、岡山県新見市、徳島県三好市、そして福岡県みやま市の8ヵ所が選定された。

 この他、愛知県など都道府県が積極的に進める実証実験があるなど、全国各地で様々な自動運転の実証が行われているが、キモになるのが「どうやって儲けるのか?」という点だ。

 今回、道の駅「ひたちおおた」で行った実証試験は、「主にビジネスモデルを検討する箇所」の公募型としての第一号であり、大臣ふたりと県知事が参加したことでも分かるように、国や自治体としては「自動運転のビジネスモデル化に向けて我々は真剣だ」という姿勢を強調したのだ。

 しかし、今回の実証内容を見る限り、これだけでビジネスモデルとして成立させることは極めて難しいと感じる。

● 単独ビジネスでは成立する訳がない

 中山間地域で自動運転を考慮する目的として、(1)免許返納した高齢者がオンデマンド方式で日常の足を確保するため、(2)トラック、バス、タクシー、郵便配達、宅配便などの人手不足を補うため、といったニーズが挙げられることが多い。

 そうした社会課題の解決に対して、コミュニティバスの乗車料金が1回100円などの事例に鑑みると、自動運転車を活用したサービスでも、住民や事業者から得ることができる料金は少ないと考えるのが妥当だ。

 そこに今回のような野菜販売を絡めても、現時点で自動運転車に積載可能な野菜の量はごく少なく、農家が利益を上げることができるとは思えない。

 筆者これまで、日本を含めて世界各地で自動運転の現場を見てきた。それらをビジネスの観点で見ると、自動車メーカーが量産化を目指す高速道路や一般道での自動運転については、自動ブレーキなどのADAS(先進型運転支援システム)の発展系であり、自動運転に関わる装備は新車価格への上乗せで回収できる。また、コネクティビティによるビックデータを活用した自動車保険など、顧客サービス事業で収益を上げることも考えられる。

 一方で、レベル4またはレベル5と呼ばれる完全自動運転では、パーソナルカー(乗用車)に対するサービスカーという分類がなされることが多い。ここでいうサービスとは、住民サービスなど公共交通機関としての意味合いが強い。

 だが、完全自動運転にかかるコストに、コミュニティバスなど自治体が運営している既存交通の一部を充てることがいいのか、それとも電気、水道などと同様の生活インフラの一部として一律料金化するのかなど、事業の採算を取る具体的な方法について、踏み込んだ議論をしている地域はほとんどない。

 本連載では今後も、完全自動運転の事業化について、各地の現場取材を通じて検証していきたいと思う。

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