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zoom RSS “110番”情報から事件・事故を抽出──米国を安全にする画期的アプリ「Citizen」

<<   作成日時 : 2017/11/30 20:37   >>

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もしも今、自分のすぐそばで事件が起きていたら、それにすぐ気付けるだろうか。身の回りで起きている事件をいち早くユーザーに知らせるアプリが、今米国で注目を浴びている。

警戒心を煽る、マップ上の赤い点

 米国史上最悪の銃乱射事件──。10月2日、米ネバダ州ラスベガスで58人が死亡、数百人が負傷する事件が発生した。現場は音楽フェスティバルの会場、犯人は近くにあるホテルの32階から2万人超の来場者に向けて数分間に渡り発砲した。

 テロリズムの脅威が増す一方、米国においては銃規制強化の動きが活発化する気配のない中、「自分の身は自分で守る」という市民の意識がますます醸成されつつある。

 しかし、自分の身を自分で守ることは簡単なことではない。たとえ、自分が今いる場所の近くで事件や事故が発生しても、意外とそれに気付くことすらできないこともある。いち早く知れたとしても情報が錯綜し、正確な情報を追えないこともある。

 そんな中、米ニューヨークとサンフランシスコで、自分の身近で起こっている事件や事故に関する情報を画期的な仕組みで提供し、人びとの危機管理能力を向上させようとするアプリに、市民からの注目と投資家からの資金が集まっている。

●「米国の110番」から周辺の事件・事故情報を収集

 Citizenは、ユーザーの身近で起こっている事件や事故に関する情報を収集し、通知するアプリ。その情報は、日本の110番通報にあたる「911情報」に基づくものだ。

 現在のカバー範囲は、ニューヨーク、サンフランシスコのダウンタウン・サンフランシスコとオークランドエリア。ニューヨークでは、約20人のチームが911情報や消防情報(暗号化されている機密情報は除く)をモニタリング。その中から公共の安全のために有益な情報を抽出し、アプリに通知する。

 ユーザーから1/4マイル(約400m)以内の範囲で事件や事故の通知や注意喚起が出たら、スマホにバナー通知で配信されるため、アプリを起動していない状態でも気付きやすいのが魅力だ。

●実際にサンフランシスコで使ってみた

 アプリはiOS、Androidに対応しており、設定手順はシンプル。ダウンロードし、まずはスマホの電話番号を入力。SMSで送られてきた4桁のPINを入力してユーザー認証し、ユーザー名とメールアドレスを登録すれば設定は完了する。

 すると、アプリのホーム画面に自分の周辺のマップが表示され、事件や事故が起こった場所が赤い点で表示される。点の大きさが2種類あり、大きな点は発生から1時間以内、小さな点はそれよりも前に発生したものを示す。

 一つ大きな赤い点をタップしてみると、

・「男が(道端に停められている)クルマに侵入」という事件内容
・事件が起きた場所(501Twin Peaks Boulevard)
・自分の現在地からの距離(2.3マイル)
・事件発生時からの経過時間(たった今)

 など、基本情報と合わせて、「侵入に遭ったクルマの一つは、金の4ドアのアキュラで着色ガラス(北米で販売されているホンダの高級車)」という補足情報も表示された。

 他にも、「銃を持った男が警察に拘束される」や「セラノホテル付近に銃を持った女」などの注意喚起情報が公開されていた。

 女が銃を保持していたセラノホテル付近の場所は、筆者の滞在先からわずか0.8マイルに位置し、レポートされた時間、実は筆者はちょうど近くを散策していた。

 まさか銃を持った人物が近くにいるとは夢にも思わず、恐ろしくなったと同時にこのアプリの重要性を実感した。

 情報は友人や家族にも共有できる。マップ情報をスクリーンショットで撮影すると、共有画面に切り替わった。

 ちなみに、上のスクリーンショットには、「不審な男がクルマのドアを開けようとしていて、警察が現場に向かっている」という情報が記載されている。

 サンフランシスコの中心地は治安が良くない。同アプリを活用すれば、路上に駐車した自家乗用車や外出で空けている自宅の状況を小まめに確認でき、盗難や空巣防止に役立てられる。

 ホーム画面左上のSF(サンフランシスコ)の文字をタップすれば、エリアを切り替えられる。家族や友人がニューヨークにいる場合は、その周辺の安全情報を確認することも可能だ。今後、対象エリアが拡大されれば、全米中の安全状況を確認できるようになるだろう。

●現場に居合わせたユーザーが事件・事故情報を伝える機能も

 Citizenは、もう一歩踏み込んだ機能も提供している。それが、事件や事故にたまたま居合わせてしまった人が、安全を確保した上で現場の状況を撮影し、アプリに投稿できるというもの。

 投稿された動画の信ぴょう性をモニタリングチームが解析し、確認されたものは動画に「Verified」と記載された上で配信される。

 これにより、ユーザーはメディアを介するよりも速く、避けるべき特定の場所や犯罪者の容姿や人数、内容を視覚的に捉えられる。迅速に情報が共有されることで、ユーザーは慌てることなくより適切に対処できるようになるだろう。

 しかし、Citizenは、あくまでもユーザーにより迅速かつ正確な情報を提供し、回避してもらうことを目的としていることを強調しておきたい。

 というのも、Citizenの前身にあたる「Vigilante」アプリに関して、NYPD(ニューヨーク市警察)が「事件は、発生してから収束するまでニューヨーク市警察だけで解決されるべきであり、携帯電話を持った一個人が介入するべきではない」と、声明を発表。それを踏まえ、アプリの配信が開始された翌日にApp Storeから削除された失敗を経験しているのだ。

 VigilanteはCitizenにリモデルされ、利用規約にも「事件に干渉したりその他の警察活動に支障を来たす行為は禁じる」と明記された。

●東京五輪に向け、個人が身を守るためのアイデアが必要では

 同アプリを運営するSp0nの創業者、アンドリュー・フォーマー氏は「収益化を図るためのビジネスモデルはいまだ確立していない」とコメントしているものの、「ユニークな価値を作り出せればビジネスチャンスや利益につながるだろう」と自信を見せている。

 既に著名なベンチャーキャピタルであるセコイア・キャピタルから1200万ドル(約13.5億円)の出資を受けているほか、ケイパー・キャピタル、NAACP(全米黒人地位向上委員会)の元会長ベンジャミン・ジェラス氏、エンターテインメント業界の大御所であり起業家でもあるラッセル・シモンズ氏などからも出資を受けており、周囲からの期待値は高い。

 日本、東京でも年々観光客が増え、2020年にはオリンピックの開催も控えている。犯罪やテロ対策としての警備は強化されていくはずだが、Citizenのように個人が自ら事件や事故に巻き込まれるのを防ぐためのアイデアが必要だと感じさせるアプリだ。

●ライター

執筆:赤江龍介

編集協力:岡徳之(Livit)

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