警備資料

アクセスカウンタ

zoom RSS 西日本鉄道「さよなら8000形ラストランツアー」で参加者がひとつになった感動の1分48秒

<<   作成日時 : 2017/11/14 19:44   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

「西鉄」こと、西日本鉄道の最高傑作、8000形(「はっせんけい」と読む)が1989年2月の登場から29年目の2017年10月15日限りで引退した。そのラストを追跡する。
☆8000形特急リターンズ
画像


■復活

 現役最後の8000形8051編成が太宰府観光列車初代『旅人−たびと−』を勇退したあと、ほぼオリジナルの状態に復元され、2017年10月7日から10月15日まで9日間に渡る引退記念イベントに臨んだ。

 初日は筑紫車両基地で、「8000形撮影会・部品オークション」(参加費2,000円、募集人数100名)が行なわれた。

 2日目から8日目までは「8000形さよなら運行」で、“花形”の特急運用が復活(8日目を除く)。“もう1度、8000形特急を味わいたい”人にとっては、ラストチャンスである。

 私は天神大牟田線福岡(天神)の改札を9時40分頃に入場した際、すでに先頭1号車大牟田寄りの2ドア車乗車口では、5人のレールファンが並んでいた。狙うはパノラマゾーン。8000形の魅力を存分に味わえる“特等席”だ。

 10時23分、“オマタセ、ベイベー”と言わんばかりに、8000形の特急大牟田行きが入線。原色の特急運用は2016年10月2日以来、11か月ぶり。気のせいか、車体は磨き抜かれたかのような輝きを魅せる。

 乗降用ドアが開くと、1号車のパノラマゾーン12席はほとんど埋まった。シートモケットは初代『旅人−たびと−』のままで、特別な雰囲気をより一層醸し出す。

 車内の中吊り広告は、「ありがとう8000形」、「さよなら8000形」を交互に配し、この車両が2017年10月15日をもって引退することを乗客に伝える。

10時30分、イッツ・ショータイム。

■疾走

 特急大牟田行きは、2017年8月26日のダイヤ改正で特急停車駅に加わった大橋に停まる。8000形特急にとっては、引退直前での新規停車となった。ここは博多南駅方面への西鉄バスが発着しており、鉄道の“乗りつぶし派”にとっては、効率よく移動できる。

 高架化工事に伴う徐行区間を抜けると、最高速度110km/hで疾走。パノラマゾーンに坐っているせいか、もっと速く感じる。特に単線区間では、複線と単線の境目と停車駅を除き、複線区間と同じ速度で駆け抜けるので、“単線を走る特急料金不要の私鉄特急では、西鉄がもっとも速い”と断言できる。

 ダイナミックな走りに、パノラマゾーンで談笑していたレールファンらが自然と静かになり、8000形の力走を心に刻み込んでいるようだ。

 福岡(天神)―大牟田間(74.8キロ)の最速所要時間は61分。表定速度(途中駅の停車時間も含めた平均速度)は73.6 km/hで、特急料金不要の私鉄特急では、もっとも高い。

 参考までに、並行するJR九州鹿児島本線快速の博多―大牟田間(69.3キロ)の最速所要時間は62分、表定速度は67.1km/hである。

■終点

 11時33分、終点大牟田に到着し、63分間のショータイムが終わった。8000形の疾走を存分に堪能した乗客は撮影のほか、3号車の記念スタンプ台に向かう。あらかじめ用意されたスタンプ台紙を取り出し、2種類のスタンプを押す。

 スタンプ台紙の大きさは官製はがきと同じなので、宛先を書き、62円切手を貼ると、絵葉書として出せそうだ。“エキチカ”の大牟田郵便局では、風景印を取り扱っており、“旅先からのたより”をより強調できるだろう。

☆8000形フォーエヴァー

■功績

 千秋楽の2017年10月15日は、「さよなら8000形ラストランツアー」で、福岡(天神)―花畑―筑紫間を運行する。8000形最後の列車は10時02分、3番のりばに入線した。この日は雨という、あいにくの天気だ。

 福岡(天神)には参加者235人と見送りのレールファンを含めると、約300人が集まり、8000形最後の雄姿を見届ける。

 定刻通り10時22分に発車。各駅で“最後のごあいさつ”をするかのごとく、ゆっくり進む。

 車内ではスタッフが参加者に記念品をプレゼント。その中には、手旗も。ラストランの終点筑紫で、8000形回送列車の発車時に“手旗を振って見送ろう”という趣旨である。

 春日原で運転停車中(駅で客扱いを行なわない停車のこと)、鉄道事業本部運転車両部車両課の杉山明央課長より、8000形にまつわる話が始まる。

 杉山課長によると、8000形導入の背景として、先代特急車の2000形が登場してから10年以上を経過し、新鮮味がなくなったこと。1987年4月1日の国鉄分割民営化により、色々な策を打つことが予想されたことから、“西鉄の新しい顔”の投入を決めたという。

 乗客からのアンケート結果を基にコンセプトが固まり、1989年2月に8000形が登場。1か月後の3月10日にデビューして以来、看板車両として君臨してきた。

 しかし、8000形は25年以上にわたり、特急として福岡(天神)―大牟田間を走行し続けた結果、累計走行距離が500万キロを超えた。8000形のうち、もっとも多く走った8061編成は580万キロ(地球145周分、年間平均20万7143キロ)、現役最後の8051編成は520万キロ(地球130周分、年間平均18万5714キロ)である。

 参考までに、2017年春に廃車された5000形通勤形電車の5101編成は、42年間の累計走行距離が540万キロ(地球135周分、年間平均12万8571キロ)。8000形は、ルーキーイヤーからハードワークをこなしていたのだ。

 これが大きく影響した。車体や車内は綺麗な姿を保っているが、乗客の目に見えない部分の老朽化が進み、断腸の想いで8000形の引退を決断したのである。

「私個人としては、この8000形がスリードアに改造されることなく、ツードアの西鉄の看板特急車両のままで、29年前にデビューしたそのままの姿に戻って、そして、この8000形をこれまでずっと愛してくださった皆様を乗せて、最後の最後に、こうして元気に走ることができる。“とても幸せな車両だなぁー”というふうに思います」

 杉山課長は8000形の功績をたたえた。先輩の600形や5000形より早い引退となったが、8000形は“西鉄史上最高の車両”として、いつまでも輝き続ける。

■奮闘

 西鉄二日市を過ぎると、3号車のスタンプ台では、スタッフ数人が集まり、用意した台紙に2種類のスタンプを押す。今回のツアーでは、参加者が指定された車両以外の移動ができないので、235人分470枚をひたすら押す。ツアー中に完了させなければならないという、ハードな作業である。

 11時31分、花畑に到着。福岡(天神)発車時に比べると、雨が強くなった。ここでトイレ休憩のため、正午まで乗降用ドアが開く。

 ホームでは、“花”と化した8000形のプチ撮影会となり、参加者やそれ以外の人々が、“この駅に停まる最後の雄姿”を目に焼きつける。カメラはデジイチ、コンデジ、スマホと様々。首都圏の駅だと警戒警備を厳重に行なうのに対し、ここはイイ意味でゆるい。和やかな雰囲気のなか、人々は思い通りの撮影ができた模様だ。

■感動

 定刻通り12時06分に花畑を発車。ここから進行方向が変わり、筑紫へ向かう。8000形は大地をゆっくり踏みしめるような感じで走っていく。

 先頭の6号車では、一部の参加者が立ち、パノラマゾーンからの車窓に目を焼きつける。話し声もなく、“このまま福岡(天神)まで走り続けてくれればいいのに”と思う参加者もいるだろう。

 終点筑紫が近づくと、参加者やスタッフも想像していない“サプライズ”が客室に響き渡った。

「皆様、御存知の通り、車内は“さよなら8000形”、“ありがとう8000形”ということで、特別にポスター(中吊り広告)を掲出させていただいております。

 個人的な意見ではございますが、私は“さよなら”より、“ありがとう8000形”のほうが非常に好きでございます。皆様、そんな想いじゃないかと思っております。

 本日は雨が降っておりまして、“涙の8000形”とですね、引退を悲しむような雨が降っておりますが、どうか皆様、最後まで温かいお気持ちで、29年間の雄姿を見ていただければと思っております。

 それで、私の希望ではございますが、せっかくですね、皆様、このような機会を得まして、御乗車いただきましたので、私が『ありがとう!!』って言いますので、みなさん、そのあとに『8000形!!』って言っていただければと思いますが、いかがでしょうか。拍手で確認したいんですけど、よろしいですか」

 8000形に対する想いをにじませる車内放送が響いた。その後、参加者が一斉に拍手し、即決。

「それではですね、29年間、車両にしては非常に短い使用年数ではございましたが、29年を超えるようなたくさんの思い出、そして、皆様に御乗車いただいたという思い出は、何倍も価値があると思っております。

 どうか、今後も西鉄電車をどうぞよろしくお願いいたします。

  それではまいります。『ありがとう!!』」

「8000形!!」

 参加者が声を発車したあと、再び拍手が起こった。西鉄と参加者が一体となった感動の1分48秒である。

 実は8000形ラストランの車内放送は、車掌ではなく、鉄道事業本部 営業企画部 営業課の田村広孝さんが担当した。今回の企画が決定し、担当を任されたことで、アナウンスをさせていただいたという。先ほどの放送については、“このイベントを盛り上げたい”という意味を込め、当日、その場でサプライズ的にアナウンスを考えたそうだ。

 田村さんは以前運転士を務めており、8000形を運転することは誇りだった。展望のよい客室から多くのお客様に乗務する姿を見ていただき、乗務員として職責を全うすることができたそうだ。

 そして、ラストランに案内役として“乗務”できたのだから、一生の大きな思い出として、心に刻み込んだだろう。

「本日は大変ありがとうございました」

 終点筑紫が近づき、田村さんが車内放送で礼を述べると、再び拍手が起こった。2時間08分の心温まるラストランの旅路は、まもなく終わりを迎えようとしている。

■涙雨

 12時30分、終点筑紫4番のりばに到着。『にしてつ電車まつり』会場の筑紫車両基地に展示する関係で、一旦車庫線へ引き上げたあと、下りホームの1番のりばに入線。その後、入庫するという。

 8000形を降りると、雨は一段と激しくなっていた。同僚の車両たちが流したかった涙を代弁しているかのよう。人の数は福岡(天神)、花畑よりも多く、駅員は4番のりばにロープを張り、安全の確保に努める。

 1番のりばへ移った8000形は、筑紫乗務所安部所長の出発合図により、13時05分、運転士は警笛を長く鳴らして発車。人々は8000形最後の走りを静かに見守っていた。このとき、田村さんは運転士に育て上げてくれた師匠、安部所長の出発合図を見て、運転士時代のいろいろな思い出が込み上げたという。

 さて、『にしてつ電車まつり』会場へ行くと、8000形最後の晴れ姿を来場者に披露。当代特急車の3000形2代目『水都』と先代特急車の8000形が並ぶ。8000形はきっと「3000形、あとは任せたぞ」とエールを送っただろう。雨は8000形の涙も代弁するかの如く、さらに激しさを増した。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
西日本鉄道「さよなら8000形ラストランツアー」で参加者がひとつになった感動の1分48秒 警備資料/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる