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zoom RSS インドで「牛」守る自警団、深まる宗教対立

<<   作成日時 : 2017/09/13 20:26   >>

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最近のある夜、インド北部の町パニパットで複数の若い男性グループがパトロールを開始した。幹線道路沿いを調べるグループもあれば、薄暗い路地や屋根の上を巡回するグループもある。彼らの目的は食肉処理のために輸送されている疑いのある牛を救うことだ。

 インドの大半の地域では牛を殺すことが禁じられている。何億人ものヒンズー教徒にとって神聖な生き物だからだ。自警団のメンバーは時に警察と連携しながら、牛をひそかに輸送しているとみられる男たちを取り押さえる。カーチェイスになることもあれば、銃撃戦に発展して死者が出ることもある。

 「われわれは牛を解体・殺害から救うことに100%の力を注いでいる」。ほぼ毎晩パトロールに出るリンク・アリヤ氏(36)はこう話す。

 インドで牛をめぐる宗教対立が深まり、議論が二極化する中、数千人が参加する自警団の活動に厳しい視線が注がれている。

 自警団に対する強力な措置を求める申し立てを受けて、インド最高裁判所は先週、各州政府に対し、自警団を抑制するため、特別警察官の任命と幹線道路でのパトロールの強化を指示した。

 ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)はヒンズー・ナショナリズムにルーツを持ち、牛の保護を優先事項の一つに掲げる。宗教票の利用と経済開発の約束に頼った選挙戦略の一環だ。BJPは多くの州で牛の食肉処理を禁止する法律を強化し、選挙運動でこの問題を取り上げた。

 モディ首相の支持基盤であるヒンズー教徒のグループは、違法に牛を殺したり、食肉解体が許可されている一部の州に牛を供給したりしているイスラム教徒に強い怒りを感じている。ヒンズー教徒にとって牛の食肉処理は、かねてイスラム教徒から向けられている敵意の象徴なのだ。インド国民の14%が信仰するイスラム教では、牛肉を食べることは禁止されていない。

 多くのイスラム教徒によると、現在のような緊張状態では、牛に関するうわさが出たり疑いをもたれたりするだけで、イスラムコミュニティーを狙う口実に利用される。メディアでは何カ月も前から、暴徒によるイスラム教徒の襲撃や殺害が報じられている。一部の国民からの反発を受けて、モディ首相はこうした暴力を非難している。

 一方で、法律を破っているのではなく、法律の執行を手助けしている、というのが牛を守る自警団の主張だ。

 ある夜、薄暗い有料道路で料金所に近づいた車列がスピードを落とすと、「ガウ・ラクシャ・ダル」(牛の保護グループ)のメンバー約10人が騒々しくトラックに乗り込んだ。彼らは車両の中をのぞき込んだり、動物を探そうと車両の側面をたたいたり、牛の尿が漏れていないか調べたりした。疑いを持たれた車両は取り囲まれ、尋問のために路肩に停車させられた。

 牛を保護するために最近創設された警官隊から2人の警官がやってきて、自警団のメンバーが叫んだリ質問したりしているところを眺めていた。警官の一人は「彼らが何かを見つけたらわれわれが介入する」と話した。

 アリヤ氏の話では、こうした「合同作戦」は理想的だが、警察は常に信頼できるパートナーとは限らないため、自警団が単独で行動することもある。

 自警団のメンバーによると、最大の標的は牛の違法売買に関わる犯罪者だ。牛を「母なる牛」と表現するビクラム・アリヤ氏(21)は「牛は解体され、それぞれの部位が高額な値段で売られている。それを聞くとはらわたが煮えくり返る」と話す。牛肉を食べているとの情報で動く自警団もある。

 警察や自警団のメンバーによると、牛をひそかに輸送するベテランの業者は警察などに出くわすと、銃を発射したり石を投げたりする。リンク・アリヤ氏によると、「ガウ・ラクシャ・ダル」ではこの10年で5人が死亡した。メンバーは、こうした事態に至ってもグループは責任を負わないという趣旨の文書に署名している。

 アリヤ氏は自身や仲間が自衛のために銃などの武器を使うと話した。警告のために敵をたたきのめすことがあるというメンバーもいた。あるメンバーは2014年の出来事を詳しく語った。夜のパトロール中に地元住民から通報を受けたメンバーが、暗い木陰で牛を解体しているイスラム教徒の男を発見し、刃物で刺した。男は死亡したが、このメンバーが逮捕されることはなかった。

 「ガウ・ラクシャ・ダル」は警備員、商店経営者、村人、料金所の係員などの情報提供者のネットワークに頼っている。アリヤ氏は情報を受け取ると――男たちが薬を混ぜた食べ物を迷い牛に与えているとか、車両の上から動物の角が見えるといった情報だ――電話やメッセージアプリ「ワッツアップ」を使って仲間を動員する。

 「われわれには1日24時間、出動できる仲間がいる」とアリヤ氏は言う。

 アリヤ氏のチーム――菓子店の経営者、靴の販売業者、バスのドライバーで構成する――は何千頭もの牛を解放してきたという。

 昼間はスクールバスのドライバーをしているビットゥ・ラナ氏(24)は「警察が仕事をしてくれれば、われわれの出番はない」と語った。「事実、われわれがいなければ、牛のための法律は書類上の法律にすぎない」

 アラヤ氏が住むハリヤナ州では、BJP政府が2015年に牛の解体を阻止するための厳しい法律を導入し、昨年には特別警察隊を設立した。公式データによると、これまでに900件の刑事事件が登録され、5000頭の牛が救出された。回収された牛肉は1万5000キログラムに上っている。

 ヒンズー教の僧侶であるヨギ・アディティナット氏が今年、国内最大のウッタルプラデシュ州の首相に任命された。このことはモディ首相が自警団の大義を支持している最大の証拠だと一部メンバーは受け止めている。同州はイスラム教徒が中心の水牛肉産業の中心地でもある。

 水牛はヒンズー教では神聖なものとは考えられていないが、アディティナット氏が最初に行ったのは、水牛の食肉処理場と食肉工場への締め付け強化だった。ヒンズー教のグループはこうした工場が違法な牛の殺害を隠しているとみている。アリヤ氏によると、それ以降、牛を運ぶ車両の数が急減したという。

 「ヨギは心から牛を大事にしている」とアリヤ氏は言う。「われわれはずっと彼とモディを支持するつもりだ」

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