警備資料

アクセスカウンタ

zoom RSS 【よくわかる講座:人材派遣】人材派遣をめぐる「法律」と「対応」

<<   作成日時 : 2017/05/15 22:11   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

(1)人材派遣の「法的性格」
●人材派遣は「禁止の例外」である

ここでは、人材派遣に関する「法律」とその「対応」について解説する。正社員を雇用する一般的な企業の場合、雇用する労働者に指揮命令して働かせることができる。しかし人材派遣では、派遣元が雇用する労働者を他社に派遣し、その派遣先が指揮命令を行い、働かせることになる。派遣スタッフと派遣元の間には「雇用関係」、派遣スタッフと派遣先の間には「指揮命令関係」が存在し、雇用関係と指揮命令関係が分離することに、人材派遣の法律的な特徴がある。

そもそも、人を派遣する行為を生業とすることは、許されるものではなかった。法律では、人の自由な意思を阻害する恐れがあるため、労働者をやり取りをする事業を好ましく捉えておらず、「職業安定法第44条」にもあるように、「労働者供給」という禁止事業に含まれる人材派遣は、もともと禁止されていた。しかし、失業者の就業機会を増やす役割への期待や多様な人材を活用したい企業の要望など、社会の成熟とともに、1986年に施行された「労働者派遣法」の下、一定のルールに従って行われている事業についてのみ、人材派遣は例外的に許されているのである。

(2)派遣事業と「労働法」
●人材派遣には「労働法」のほか、「労働者派遣法」が適用される

労働者を使用する場合、使用者よりも弱い立場にある労働者の権利や福祉を保護するため、さまざまな法律が定められている。その中で、労働者の保護を目的とする分野の法律が「労働法」で、最も代表的な法律が「労働基準法」である。「労働基準法」では、労働時間や賃金の取り扱いなどに関する内容を定めている。「労働法」に関しては、その他にも「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」「安全衛生法」など、注力すべき法律が存在する。

人材派遣においては、「労働基準法」をはじめとした「労働法」だけではなく、従来の法律ではカバーし切れない「派遣」という形での労働に特化した「労働者派遣法」も適用される。「労働者派遣法」の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と言い、派遣会社の事業の許可基準や運営に関するルールのほか、派遣スタッフの保護に関するルールなど、派遣で働く人の権利を守るために、派遣元や派遣先が守るべきさまざまな内容が定められている。ところが、「労働者派遣法」は、派遣元のように常に派遣業務にかかわるところを除いて、その内容についてあまり知らないのが実情だ。しかし、人材派遣を活用する上で大変重要な法律であり、派遣先の経営者や現場の管理職などは、その内容を的確に知っておく必要がある。


【「労働基準法」が定める内容(概要)】
 1.労働条件の原則
 2.労働契約
 3.賃金
 4.労働時間、休憩、休日、年次有給休暇
 5.安全衛生
 6.年少者、女性の特別事項
 7.災害補償
 8.就業規則
 9.罰則


【「労働者派遣法」が定める内容(概要)】
 1.派遣できる業務の範囲
 2.派遣事業の許可
 3.派遣契約に定めるべき事項
 4.派遣期間の制限
 5.派遣元の講ずべき措置
 6.派遣先の講ずべき措置
 7.労働基準法など法律の適用に関する特例
 8.罰則

(3)人材派遣と、類似する他の業態との違い
●「有料職業紹介事業」との違い

「有料職業紹介事業」「請負」など、一見、人材派遣と似たような形で行われる事業形態がある。人材派遣は「労働者派遣法」によって、一定のルールの下で行う必要があるが、人材派遣とは異なる業態である有料職業紹介事業や請負は、「労働者派遣法」が適用されることはない。しかし、実際には多くの人材派遣会社で、有料職業紹介事業や請負などの事業を兼ねている。このような点からも、それら個々の事業が人材派遣に当たるのか、あるいはその他の事業形態なのか、派遣先企業としては、その判断基準を正しく理解しておく必要がある。

有料職業紹介事業は、家政婦、マネキン(百貨店などで衣類を宣伝・販売する人)などを、紹介料を徴収して紹介する事業で、「職業安定法」によってルールが定められている。厚生労働大臣の許可を受け(「職業安定法第30条」)、港湾運送業務、建設業務などの禁止された職業を除き、紹介を認められている事業(「職業安定法第32条の11」)である。

ただ、人材派遣と有料職業紹介事業は、依頼企業がともに事業者へと人材をリクエストし、派遣または紹介された者が会社の業務を処理するために来てくれることが、業態として似ていることもあって、利用企業の中には両者を混同するケースが少なくない。この二つの業態の違いを端的に言うと、人材派遣が派遣元で雇用されている人を派遣するのに対して、有料職業紹介事業では事業者は人を紹介することだけにとどまり、雇用するのは紹介を受けた会社であるという点にある。

また、これまでは派遣または紹介される人の行う「業務」により、人材派遣と有料職業紹介事業の“棲み分け”が存在した。しかし、現在では業務の自由化によって、それらを利用する会社が人材を必要とする事情により、方法を選択するようになっている。さらに、人材派遣にも「紹介予定派遣」ということで、派遣スタッフを派遣期間後に雇い入れることを予定して、派遣を行う形態がある。利用企業には、両者の違いを正しく理解することが求められる。


●「請負」との違い

請負は、「民法第632条」で「請負人がある仕事を完成することを約束し、注文者がその仕事を完成したら報酬を支払うことを約束する契約」と定められ、建設業や製造業の現場などで広く行われている業態である。原則、事業として自由に行うことができ、人材派遣のように「禁止されている業務」はない。

請負を業務形態として見た場合、自ら雇用する社員を工事現場など依頼者のところに出向させ、依頼された業務に従事させることが、人材派遣と似ている。両者の違いは、人材派遣が派遣先で具体的な指揮命令を受けるのに対して、請負では請け負った事業者が自ら指揮命令を行い、業務完了に責任を負うことである。仮に、業務を発注した企業が請負会社の従業員に対して指揮命令を行うと、「偽装請負」となる。偽装請負は、本来人材派遣であるものを請負と称して、人材派遣事業の許可または届出を得ずに行うもので、違法行為である。そのため行政では、人材派遣なのか請負なのかの判断として、以下のような基準を示している(1986年労働省告示第37号)。


【請負であることの判断基準】
1.自己の雇用する労働者の労働力を、自ら直接利用するもの
 ・業務の遂行に関する指示、その他の管理を自ら行うもの
 ・労働時間などに関する指示、その他の管理を自ら行うもの
 ・企業における秩序の維持・確保などのための指示、その他の管理を自ら行うもの
2.請負契約により、請け負った業務を自己の業務として、当該契約の相手方から独立して処理するもの
 ・業務の処理に要する資金につき、全て自らの責任の下に調達し、かつ支払うこと
 ・業務の処理について、民法・商法その他の法律に規定された事業主としての全ての責任を負うこと
 ・単に、肉体的な労働力を提供するものでないこと
*1・2の内容に全て当てはまる場合、請負となる

なお、一般的に言われる「業務委託」は、「民法第656条」の「準委託」だと言われているが、行政は人材派遣との比較において、業務委託を請負に含めて捉えている。ただし、請負として契約書を交わしていても、実態として請負の要件を満たさなければ、あるいは要件を満たしていても故意に偽装していると認められれば、人材派遣を行っていると判断され、「労働者派遣法」が適用されることになる。

(4)人材派遣が可能な「業務・期間」
●「適用除外業務」以外は、全て派遣可能

現在の「労働者派遣法」は、派遣が禁止されている業務が「適用除外業務」として示され、それ以外の業務は全て派遣可能となる「ネガティブリスト方式」が採用されている。ただし、適用除外業務の他にも、派遣が制限されている一部の業務があるので、注意が必要である。以下に、それら業務を示す。


【派遣が禁止されている業務(ネガティブリスト)】
1.適用除外業務(派遣禁止業務)
 ・港湾運送業務
 ・建設業務
 ・警備業務
 ・病院などにおける医療関係の業務(ただし、紹介予定派遣、産休・育休の代理要員、介護施設、へき地医療や地域医療のために必要が認められる場合などは可能)

2.他の法令によって派遣できない業務
 ・人事労務関係の一部の業務(労働者の代表として労使交渉に当たる業務など)
 ・士業務(弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、土地家屋調査士など)
 ・建築士事務所の管理建築士


●「事業所単位」と「個人単位」の共通ルールの下、派遣可能期間は3年限度に

派遣期間の制限について、2015年の「労働者派遣法」の改正により、派遣先企業が活用できる期間は、従来の「政令26業務」に該当するか否かによる区分、業務単位の期間制限を改め、全ての業務について、「派遣先事業所単位」と「派遣スタッフ個人単位」の二つの軸(制限)による共通ルールの下、いずれも3年限度となった。


【派遣先事業所単位・派遣スタッフ個人単位の期間制限】
<派遣先事業所単位>
同一の事業所に派遣できる期間(派遣可能期間)、つまり派遣先企業が人材派遣を活用できる期間は、原則3年が限度である。3年を超えて活用したい場合は、「意見聴取」が必要となる。ただし、延長期間は3年が限度なので、再延長する場合も同じ手続きを取ることになる。また、意見聴取によって派遣可能期間が延長になった場合、同一の派遣スタッフを個人単位の期間制限を超えて、同一の組織単位に派遣することはできない

<派遣スタッフ個人単位>
同一の派遣スタッフを、派遣先企業の同一の事務所の同一の組織単位に派遣できる期間の限度は3年である。その間に担当する業務が変わったとしても、同じ組織内であれば、期間は通算される。ただし、事業所単位の派遣可能期間が延長されている限りは、同一の派遣スタッフを同一の事業所の別の組織に、3年を限度として引き続き派遣することができる。つまり、派遣スタッフは一定の条件下では、派遣先部署が変われば、3年以上同じ事業所で働くことができる

なお、次の場合の派遣は、これらの期間制限の対象外となる。

【派遣制限の例外】
・派遣会社の無期雇用の派遣スタッフの派遣
・有期プロジェクト業務、日数限定業務、産前産後休業・育児休業・介護休業の代替業務への派遣

派遣先企業の事業所単位で派遣終了後、次の派遣開始まで3ヵ月を超えない場合は、人材派遣が続いていると見なされる。同様に、同一の組織単位で派遣契約終了後、再び同じは派遣スタッフを派遣するまで3ヵ月を超えない場合も、人材派遣が続いていると見なされる(クーリング期間)。なお、離職した労働者(60歳以上の定年退職者を除く)を離職後、1年以内に元の勤務先に派遣スタッフとして派遣することはできない。

(5)禁止されている人材派遣
●「日雇い派遣」「専ら派遣」「二重派遣(多重派遣)」は禁止

労働者の雇用の機会や派遣スタッフの雇用環境を守るために、原則として「日雇い派遣」「専ら派遣」「二重派遣(多重派遣)」などの派遣形態は禁じられている。


【派遣が禁じられている形態】
<日雇い派遣>
日雇い(派遣会社との労働契約が30日以内)の労働者を、下記の業務、場合を除き、派遣できない
例外の業務:
ソフトウエア開発、機械設計、秘書、ファイリング、調査、財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、受付・案内、研究開発、事業の実施体制の企画・立案、書籍などの制作・編集、広告デザイン、OAインストラクション、セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
例外の場合:
*日雇い労働者がいずれかに該当
60歳以上、雇用保険の適用を受けない学生、副業として従事する人(生業収入が500万円以上)、主たる生計者以外の人(世帯収入が500万円以上)


<専ら派遣>
特定企業(企業グループ)のみに限定する派遣はできない(専ら派遣)。具体的には、派遣先企業との契約確保のための努力が客観的に認められない場合、正式文書に事業の目的が専ら派遣と記載されている場合、特定の企業からの依頼のみを受け付ける場合には専ら派遣とされ、「労働者派遣法」違反となる。ただし、特定企業や企業グループに対する派遣の割合が80%以下であれば、規制の対象とはならない

<二重派遣(多重派遣)>
二重派遣(多重派遣)とは、派遣先が派遣されたスタッフを、さらに別の会社に派遣して働かせること。この行為は「職業安定法」で禁止されている「労働者供給事業」に該当する。この場合、派遣元だけでなく派遣先に対しても罰則があるので、注意が必要だ

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
【よくわかる講座:人材派遣】人材派遣をめぐる「法律」と「対応」 警備資料/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる