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zoom RSS 【カンボジア人身売買事件】犯人の一人が経営していたレストランに潜入 喰い詰めていたのは、日本人の方だ

<<   作成日時 : 2017/05/14 23:28   >>

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食い詰めていたのは犯人たちだった
 前編では、カンボジアの首都・プノンペンで、日本人による人身売買事件の被害者となった女性・ジェイさん(仮名 24歳)にインタビューし、事件の顛末について語ってもらった。(→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51681)今回は犯人グループのカンボジアでの実態について迫ってみたい。

 被害に遭った女性たちが、犯人グループの言葉に乗せられ来日したのは、「お金」が理由であったことは間違いないが、それは身体を売ってでも稼ごうと、いうのではなく、水商売をやって、日本円を稼げるならいいかなぐらいの気持ちであったことは前回紹介した。東南アジアは貧しいというイメージは、すでに大きく現実からズレていることは改めて指摘しておきたい。

 むしろ、日銭が欲しいレベルに食い詰めていたのは犯人グループのほうだったことが取材を通してわかってきた。

 私がプノンペンで取材を開始すると、今回の事件で捕まったフクイ・ススム(漢字表記不明)を知るBさんという日本人の実業家が証言してくれた。

 「あいつ(フクイ)は生活に苦しんでいたね。事件が起きる1〜2カ月ぐらい前、あいつが経営している飲食店が入っているビルのオーナーと、家賃の値下げ交渉をしてくれないかと私に打診してきたぐらいだからね。もう必死で、なりふり構っていられなかったんだと思いますね」

 運転資金にも事欠く状態であったようだ。動機は完全に金で確定である。
このBさんに、フクイの経営していた店を教えてもらった。すでに閉店しており、警備員代わりの男が昼寝しながら常駐していた。

 もし私が警備員を雇った管理者(オーナー)だったら、怒鳴り散らしたくなるほど緊張感の欠片もなかったが、取材する側としてはこれぐらいザルな警備体制のほうがありがたい。

 「ちょっと物件見せて」
「あ、ええ……どうぞ」

 眠りから覚めた警備員の男は、特に慌てることもない。

 店舗の入り口に「FOR SALE」の表示があったのだ。事件発覚から2週間も経過していない段階で早々に追い出しにかかるあたりは、さすがに東南アジア的ないい加減さとでもいうべきか。

 店内は営業していたときのままの状態で、キッチンや客席はそのままであった。

 「オーナーを呼んで来ます」
「大丈夫。見に来ただけだから」

 そう言って警備員を制した。店舗を見る限りは特別な感じはしない。現在、プノンペンに急増している日本食レストランによくあるような造りだ。

 この店を立て直すためなのか、別のビジネスのためか、はたまた借金があったのかはわからないが、フクイが金を必要としていたことは確かだ。わずかな期間で女性たちを集めて、自らアテンドして日本に連れて行く。

 しかも女性たちからパスポートを取り上げる、という人身売買ブローカーの基本も実行できていない(無論、褒められたものではないのだが、やはりその道のプロたちなら、女性たちのパスポートを取り上げないなんて、ありえないことだ)。

 これだけでも彼は「人身売買の素人」であり、犯罪組織のバックアップも受けていないことがわかる。妙な言い方にはなるが、半人前の犯罪者だったのである。

国際結婚禁止に!?
 フクイのレストラン経営は人身売買に手を出すほどに追い詰められていた。いくら資金繰りに困ったからと言って、犯罪に手を出すのは言語道断だが、海外で一旗あげようと飲食店を開き、資金繰りに困る店は今後増える可能性が高い。

 特にカンボジアでは、近年の好景気に比例するように、日本人が経営する飲食店が増えている。実際にこの事件を追いかけていくと、日本人経営のレストランが飽和状態になりつつある現状が浮かび上がってくる。

 私が初めてカンボジアを訪れた15年前などは、日本料理屋など数える程も存在していなかった。それが、ここ数年で激増。競争は激化して、勝ち抜くには相当な才覚が必要である。

 さきほどのBさんは、多くの在プノンペン日本人経営者のなかでも成功者といえるポジションにある。そんな彼に現状をどのように見ているのか聞くと、

 「日本で失敗した人が東南アジアで勝負できた時代は終わりました。いま上手くいっているのは、日本でも成功した人たちが経営する店がほとんどですよ」

 と、かなりシビアな状況にあることを教えてくれた。とてもではないが素人商売が通用する場所ではなくなっているのだ。

 そんな状況下で追い詰められた男が、今回の人身売買事件を起こしたわけだが、これは一グループの摘発では終わらず、より大きな問題に発展しかねない要素を含んでいるという。それは、日本人とカンボジア人との婚姻の禁止だ。

 まさかと思う人も多いだろうが、実は前例があるのだ。かつてカンボジア政府は、韓国人男性とカンボジア人女性の集団見合いを摘発したことがある。一時期、韓国人とカンボジア人の見合いをあっせんするビジネスが盛り上がりを見せたことがあったが、当局はこの結婚が実質的な人身売買に近いものにあたると判断したのだ。結果、韓国人との国際結婚は禁止されたという(その後緩和されたが、国際結婚のハードルは一気にあがった)。

 もし今回の一件がきっかけとなり、日本人とカンボジア人との結婚が禁止されたら、それこそ「日本ブランド」は失墜し、日本人に対するイメージの悪化は決定的になってしまうだろう。そういった側面からも、今回の事件がもたらした波紋は小さなものではないのだ。

埋まらない溝
 一方で、この事件についての報道に触れる中で、日本人のカンボジアに対するイメージのズレが広がっているようにも感じていた。

 まず誤解のひとつに、カンボジア、特に首都のプノンペンが国際都市であるというイメージがない。大半の人がいまだにカンボジアといえば地雷やアンコール・ワット(これは首都から離れた、北西部のシェムリアップにある)くらいしかキーワードが出てこない。

 だが、実際に訪れてみればプノンペンには高層ビルが並び建ち、世界中から来た観光客やビジネスマンが闊歩している。郊外には巨大なインターナショナルスクールがあり、海外からの移住者の多さが伺えるのだ。しかも、カンボジアのビジネスでは取引はドルが基本である。国の通貨であるリエルは敬遠されており、私の知人のビジネスマンなどは、リエルを渡しても

 「いらないよ、リエル使えないし」

 と、完全に市場でババ抜きをしている感じだ。実質は外貨でまわっている経済であるため、外貨獲得という概念自体が希薄なのである。

 そんな状況にあって、今回事件の被害者となった女性たちは、明日食べるために日本に出かけたわけではない。何度も繰り返すが、あくまでより豊かな生活を求めた結果なのである。誤解を恐れずに言わせてもらえば、ブランド品のため、海外旅行のためにおカネを稼ごうとリゾートバイトでもしようとする学生さんとあまり変わらない。

 もちろん、明日の食べ物にも困るという貧困生活者もカンボジアには未だ多い。だが、今回の事件とは無関係なのである。それなのに、事件に対して「貧しい地域にいる女性が、無理やり連れてこられた」という感覚をもつ日本人は多いようで、これにはこれで違和感、埋まらない溝を感じてしまうのだ。

 最後に逆の視点についても紹介したい。被害女性であるジェイさんに、もう一度日本に行きたいか質問した時のことだ。

 「助けてくれたのは日本人だった。日本は好きよ。だからまた行きたいと思ってる」
「本当ですか? 

 なにか含みがあったので、あえて強く突っ込んでみた。すると、少しはにかみながら言った。

 「本当に行きたいのはオーストラリアかシンガポールかな。稼げるって話が多いのよ。もちろん売春じゃない仕事でね」

 彼女の言葉から、リアルな出稼ぎ先としての日本のランクが透けて見えた。実際、多くの出稼ぎを希望するカンボジア女性が日本ではなく、彼女の言う二国に行っている。彼女たちのほうが客観的に世界を見ているように感じてしまった。

 事件の内情を知る一方で、今回の取材で、アジアにおける日本ブランドの低下と、日本人の海外進出の難しさまで見えてきた。それは日本人にとって決して明るい話題とはいえないだろう。

 なんとも胸が痛む取材ではあったが、インタビューに応えてくれたジェイさんが、これからも自分の意志でしたたかに生きる強さを見せてくれたことは、この取材を通して一番救われた瞬間だった。

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