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zoom RSS アプリを「部品」として提供、プログラマーに大人気のツイリオの戦略

<<   作成日時 : 2017/03/20 21:53   >>

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いまやエアビーアンドビーやウーバーなど、破壊的なサービスにとって不可欠なTwilio(ツイリオ)。そのアプリを使えば、安く簡単に通信機能を埋め込めるとプログラマーに大人気だ。エントリーポイントを増やすことで世界的に広がっていく、新時代のビジネスモデルとは。



2011年10月、配車サービスのウーバーは、ある警告メールをユーザー宛てに送信した。同社のSMS(テキストメッセージ)機能を請け負うAir2Web社の都合により、SMSで車を手配するサービスが一時的に利用できなくなるという。

「SMSに返信する気がないわけじゃなくて、返信できないんです!」と訴えたそのメールには、Air2Webへの苛立ちがありありと見て取れた。

ジェフ・ローソン(39)も、そのメールを受け取ったユーザーの1人だった。彼は、クラウド上でのテキストや音声の通信を手がけるスタートアップ「ツイリオ」のCEOだ。

スタートアップの創業者といえば、自信たっぷりに大口を叩くイメージだが、ローソンはむしろ控えめで上品だ。そして、エンジニアとしての熱意と起業家としての規律を備えている。

ローソンはこのメールを千載一遇のチャンスと見ると、当時ウーバーの役員だった友人に、こんな短い一文を添えて転送した。

「頼むから、ツイリオを使ってみてくれよ」

それから1カ月もたたないうちに、ツイリオはウーバーのSMSを扱うようになっていた。今では世界のほとんどの地域で、ツイリオがウーバーのアプリ上のSMS、通知、音声通話などを担っている。
 
ツイリオは、いまや3万社の顧客を抱える。小さなソフトウェア会社から巨大企業まで顧客は多岐にわたり、ツイリオを通して10億台に及ぶデバイスが年間750億回の通信を行っているという。たとえば、出会い系サイト「マッチ・ドットコム」で自分の電話番号を公開せずに恋人を探せるのも、エアビーアンドビーが部屋の貸し手に通知を送れるのも、米赤十字社がボランティアを派遣できるのも、ツイリオのおかげだ。

最大の顧客であるメッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」は、ユーザーの認証にツイリオを使っている。また、オランダの大手銀行INGは先頃、世界各地のコールセンターから17種類のハードウェアとソフトウェアのシステムを撤去し、すべてツイリオで置き換えると発表したばかりだ。
 
ツイリオは16年6月、まだ利益を出していないにもかかわらず上場を果たしている。調達額は1億5000万ドル。株価は初日から公開価格の2倍近くに達し、約2カ月後にはさらに倍になった。時価総額は46億ドルとなり、知名度で勝るIT企業のボックス(17億ドル)、フィットビット(31億ドル)、イェルプ(30億ドル)などを凌駕している。

営業活動を一切せずに顧客が集まる
08年に2人の友人とツイリオを創業したローソンは、その約1年後、あるイベントで自社を紹介することになった。ツイリオの技術を口頭で説明するのは非常に難しいので、ローソンはソフトウェア自体に語らせることにした。
 
1000人の聴衆を前に、ローソンはしゃべりながらツイリオでシンプルな電話会議をコーディングしていった。ものの数分で彼はアカウントを開き、電話番号を1つ確保した。さらに客席の誰もが理解できる単純なコードをもう数行加えると、彼の電話会議回線は早くも使用可能になった。

「さっきの番号に電話してみてほしい」とローソンは呼びかけた。すると1000人のプログラマーたちが、たちまち1つの巨大な電話会議で結ばれた。続いてローソンがさらにいくつかのコードを書き加えると、今度はアプリが全員の電話にコールバックした。会場中の電話が鳴り始めた時、聴衆は熱狂に包まれたという。
 
ローソンが見せたこの宴会芸は業界の話題になったが、それだけではない。「プログラマーをターゲットにマーケティングする」というビジネス戦略を指し示していたのだ。
 
ツイリオは使い方が簡単だし、前金も取られない。そこでプログラマーたちは、アイデアを試す時にツイリオを使うようになった。そうしたアイデアがいずれ製品になり、そのプログラマーはツイリオに収入をもたらす顧客となる。従来的な営業活動を一切せずに、顧客が集まるというわけだ。
 
プログラマーを対象としたマーケティングを採用しているのは、アマゾンのコンピューティングサービス事業も、決済サービス「ストライプ」やアナリティクスサービス「ニューレリック」なども同じだ。こうした企業は、ソフトウェアに力を入れる企業が増えれば増えるほど利益が上がる。

「そういった企業がプログラマーを雇うと、そのプログラマーはツイリオを必須ツールとして携えて入社していきます」とローソンは話す。

アマゾンで出合った「新発想」

デトロイトの郊外で育ったローソンは、ミシガン大学に入学後、プログラミングを始めた。1年次のうちに初仕事で報酬を得たという。

在学中、ローソンは自身初のインターネット・スタートアップ「バーシティ・ドットコム」を創設した。大人数の講義のノートをウェブ上で公開するサービスだ。これが人気を呼び、広告収入を得るようになると、ローソンは大学を中退。ベンチャー投資家から資金を調達してシリコンバレーに会社を移し、およそ200の大学に事業を拡大した。

ITバブルが頂点に達した00年、バーシティは競合企業に買収される。その企業はIPOを申請中だったが、不運にも上場前にバブルが弾け、会社はほどなくして破綻。バーシティは身売りした時に株式でしか支払いを受けていなかったため、ローソンは何も得られずに終わった。

スキルアップしたいと考え、アマゾンの面接を受ける
「誰もバーンレート(資金燃焼率)やキャッシュバランス(現金残高)を見ていなかった」と彼は振り返る。

「この経験はすごくいい勉強になって、賢く金を使うことを強く意識するようになりました」

それでも起業熱はおさまらず、ローソンは友人が起業した「スタッブハブ」で、チケットを転売するサイトの原型を開発した。やがて小売り系のベンチャーに少し手を出したのち、大学の課程を修了した。

その後、大企業でスキルアップしたいと考えたローソンは、04年にアマゾンの面接を受ける。彼を採用したいと申し出たのは、「入社を承諾するまで教えられない内容」の仕事を手がける小さなチームだった。その仕事とは、06年に公開されることになる同社のクラウド事業「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」だった。

ローソンは、「インフラをサービスとして提供できる、という発想そのものに衝撃を受けた」と語る。

アマゾンで働いた15カ月間は非常に有意義といえた。そこはまさに、コンピューティングの「部品」をサービスとして売るという新しい発想の震源地だったからだ。このビジネスモデルに弾みがついたきっかけは携帯アプリの普及であり、それによって多くの企業がソフトウェアを通じて顧客と交流しようと考えるようになった。

AWSのモデルをどこに応用できるかと考えた時、ローソンは通信に的を絞った。それまでに始めたどのビジネスにおいても、通信は不可欠だったからだ。彼は試作版を作り、当然ながらAWS上で公開した。

プログラマーたちからの反応は、最初から熱狂的なものだった。ツイリオの顧客第1号となったのは、サイト上に電話番号を打ち込むと自分の携帯電話を鳴らせるサービスの「フォンマイフォン・ドットコム」だった(携帯の置き場所を忘れたときに便利だ)。

まずツイリオは、基本的な通信機能(「ダイヤル」「録音」「再生」など)を提供することから始め、プログラマーが自分のアプリに組み込めるようにした。その一方で、ツイリオは各国の通信キャリアのインフラに接続するという面倒な作業を処理していった。

いまやツイリオが提供する「部品」、すなわちAPI(プログラミングをする際に利用できる手順やデータ形式のこと)は、当初の5種類から50種類以上に増えた。ユーザーは次第に、アナリティクスやデータのルーティング、プライシング(価格付け)など、複雑な機能をプログラミングするようになっていった。文字と音声だけではなく、動画通信も可能になった。

ツイリオを使えば、コールセンターもプログラマー数人で簡単に立ち上げられてしまう。データセンターにケーブルを引いたり、通信キャリアと契約したり機材に多額の投資をしたりする必要はない。それに、ツイリオは使用料しか請求しない。

ツイリオの新入社員はすべて、アプリを1つ創作して全社に披露することになっている。アシスタントや営業職、顧問弁護士も例外ではない。エンジニアでなくても、新人研修の一環としてツイリオアプリのコーディングの基礎を学ぶことになっているのである。

新人たちはたいていふざけたアプリを作るのだが、そこから大切なことを学ぶ。それは、「誰でもツイリオのアプリを作れる」ということだ。

銀行口座に1億ドル以上
「謙虚であれ。質素であれ」ーこんな控えめな社是を掲げるツイリオは、簡素なビルに本社を構える。受付といえば、窮屈な部屋のデスクに警備員が座っているだけ。社内には洒落た家具もなければ、お抱えのシェフもいない。IT企業に付きものの無料のランチも、週に2度ほど出前で届くだけだ。

ITバブルから痛い教訓を得たローソンは、財務規律を重視している。黒字化が手の届くところまで来ているのは、スタートアップにしては倹約的だからだ。

その倹約精神のおかげで、ツイリオは自分たちの望む条件でIPOを実施できた。同社は銀行口座に1億ドル以上を持っていたため、別に株式を公開する必要はなかったとローソンは言う。

「僕らは胡散臭いスタートアップなんかではないと、知ってもらいたかっただけなのです」
 
15年に1億6700万ドルを売り上げたツイリオの前途には、計り知れないチャンスが広がっている。現状のペースで成長すれば、18年後半にも年商10億ドル規模の企業になるだろう。ローソンによれば、通信サービスは1兆ドル市場だ。しかも、その大半はハードウェアからソフトウェアに移行すると見ている。
 
だが既存の競合企業は、自分たちの縄張りを守ろうと固く誓っている。また次世代のローソンを擁する数多くのスタートアップも、ソフトウェア開発者を囲い込みにかかっている。
 
今のところ、新たなライバルたちの中にツイリオほどの規模や機能や信頼性を持つものはない。リスクになるのはむしろ、一握りの大手顧客に依存しすぎることだろう。たとえばワッツアップは、ツイリオの売上高の約13%を占めている。とはいえ、売り上げの伸びに貢献しているのは割と小規模な顧客が多いので、投資家たちは特に心配していないようだ。
 
ツイリオ株の持ち分で5億ドルの資産を持つローソンは、株価が今の2倍になれば億万長者になる。世界がますますモバイル化とクラウド化を進めるなか、2カ月後とは言わずとも、2年後にはそうなっている可能性は大だろう。それでも、ローソンは言う。

「僕たちはスタートを切ったばかりなのです」

ツイリオ(Twilio)◎2008年創業。SMSや電話などの通信機能をウェブやアプリケーションに簡単に埋め込めるAPIを提供する通信サービス。コカ・コーラやネットフリックス、ウォルマートなど3万社を顧客に抱え、世界11カ所に拠点を構える。

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