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zoom RSS 潜入、張り込み、愛人調査…秘密組織「マルサ」の実態を徹底解明! 段ボール箱の10億円を発見するまで

<<   作成日時 : 2017/01/17 13:53   >>

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 国税局査察部、通称「マルサ」。潜入調査、張り込み、尾行、強制調査……。税の公平を守るために脱税を許すまいと、日々奮闘している。だが、この組織の実態は、われわれの眼には実に見えづらい。彼らの行動は、あくまで極秘裏に行われるからだ。

 そんな「秘密組織」の内幕を明かしたのが、『国税局査察部24時』だ。著者の上田二郎氏は、合計17年間にわたって内定調査部門で勤務した、正真正銘の「マルサ」だ。「ここまで書いていいのか」と関係者が驚いた一冊。上田氏が、実際の強制調査の瞬間を明かす――。

きっかけはカードキー
 実施総括 「社長さん……このカードキーは、どこの鍵ですか? 
ターゲット(社長)「はて、なんでしたかね? 長いこと使ってないので、記憶にありません」
実施総括 「どうやら貸金庫の鍵のようですが、本当に覚えていませんか? 
ターゲット「貸金庫は使っていません」
実施総括 「そうですか……話してもらえないようですね。ならば、こちらで探します」

 東京都内のとある会社を、マルサの男たち(註:ここでは実施班。マルサの男は、ターゲットを尾行・張り込みをする内偵班と、実際に強制調査を行う実施班に分かれる)が強制調査したところ、貸金庫の鍵らしき一枚のカードキーが見つかった。カード裏面には規約と電話番号が書いてあるが、一見して何の鍵なのかわからない。

 現場責任者の実施総括がいくら問いただしても、社長は絶対に口を割らない。

 実施総括 「みんな、聞いてくれ。どこかに契約書があるはずだ。徹底した捜索で見つけてくれ。既に差し押さえた書類の中にあるかもしれないから、もう一度見直すように!」
 
調査現場に実施総括の声が響き渡る。配置された査察官全員が、書類をひっくり返して再点検に入った。

 現場にある書類は必ず一読し、脱税の証拠がないかを見極めてから差し押さえるのだが、この会社には膨大な書類があって、全部を丹念になど見ていられない。

 一度のガサ(強制調査)で300箱(A4フラットファイルが30冊入る程度の大きさ)もの書類を差し押さえることさえある。

 実施査察官「総括。レンタル倉庫の契約書が見つかりました。場所は博多です」
実施総括 「よし! 間違いない。契約書とカードキーに書かれた番号が一致している。社長さん。何の鍵か分かりましたよ……もう一度聞きますが、倉庫には何が入っているのですか? 
ターゲット「…………」
 
ターゲットが言いたくなければ、令状を取って博多の倉庫を開けるだけだ。彼の会社の計上した架空外注費が博多の銀行で出金されていたため、内偵段階から必ずその近辺に、脱税で得た果実(タマリと呼ぶ)の隠し場所があると読んでいた。

重要物証が入っている可能性がある場所は、その日のうちに確認しなければ内容物を疎開されてしまう(別の場所に持っていかれてしまう)。倉庫は警備員が常駐するため24時間使用可能だが、契約者がカードキーを持参して暗証番号を入力しない限り、絶対に開錠しない規約になっていた。 上田は福岡地裁で追加令状を取る役目を任され、調査前日から博多に入り、当日は福岡国税局で本部室(強制調査の指令室)からの指示を待っていた。

 中田統括「案の定、博多でタマリが見つかったようだ。すぐに福岡地裁へ行って令状を取ってくれ。日没まで4時間しかないから急げ!」
上田 「了解しました」

「ステルス潜水艦」の張り込みと尾行
 メディアの取材に一切応じない国税。その中でも唯一、強制調査の権限を持つマルサ(国税局査察部)は「国税の最後の砦」と呼ばれ、特に情報に対するガードが堅いことで有名だ。

 マルサの内偵手法は、そこに在籍してみなければ、国税職員でも想像することができない。内偵活動の実態を知るのは、極めて限られた者たちだけ。脱税者に察知されることなく強制調査に入る姿から「ステルス潜水艦」と呼ぶ者もいる。

 マルサは人知れず内偵調査を行い、人知れず強制調査に着手して検察に告発する。強制調査が表に出るのは、小さな新聞記事になった時だ。

 内偵調査で6ヵ月から1年、強制調査に入ってさらに6ヵ月から2年もの歳月をかけるのだが、検察に告発するまで、その情報が外部に漏れることはない。

 マルサの男たちは常に「黒子」。けっして外部に情報を漏らさないし、家族にも絶対に仕事の話をしない。

 そんな彼らは、いかにしてターゲットに接触することなく、秘密裡に内偵調査を進めるのか? そもそも、大口・悪質の脱税をどのように見つけるのか? 

 これらについては読者の関心が最も高いところだろう。

 脱税の端緒は国税局に寄せられる電話や投書による脱税情報、税務署からの脱税通報、警察からの課税通報のほかに、査察官が繁華街へ出て行って見つけてくる脱税がある。査察官が自ら見つけてきた脱税は、「拾う」と呼ばれている。

 脱税の端緒はテレビ、新聞、雑誌、インターネットで紹介された行列のできる店、豪邸紹介、繁華街の人気店はもちろん、デリヘル、裏カジノ、違法薬物の販売など、闇の商売もある。

 とにかく儲かっていそうな店を見つけて内偵調査に入る。しかし、普通の税務調査のようにターゲットから話を聞くことや帳簿を見ることは一切しない。

 そのため、ターゲットに気づかれずに脱税方法を見抜くには、張り込みや尾行といった地道な調査で外堀を埋めていくしかない(実際の張り込みや尾行については、次回、別の事案で詳述する)。

朝まで数えても、数えきれないほどの現金
 さて、カードキーの話に戻ろう。

 当日、福岡方面の責任者だった中田統括は、本部室(東京)からの連絡を受けて指示を飛ばした。

 現在の国税犯則取締法では、日没から日の出までは強制調査に着手できない(註:2016年10月、財務省と国税庁は、日没後にも強制調査に着手できるよう法律を改正し、脱税者は枕を高くして眠らせない方針を打ち出した)。もし、日没までに令状執行が間に合わなければ、踏み込むのは翌日になってしまう。
 
福岡地裁で許可が下りたのは日没の30分前。地裁から現場までは地下鉄で1駅。道に迷っている暇はない。本部からはタクシーで現場に直行するよう指示されていたが、走ってタクシーを拾いに行った大通りは、迫る日没とともに交通量が増し、渋滞を予感した。

 現場での状況判断が査察官の腕の見せ所だ。上田は急遽地下鉄に乗ることを選択し、最寄りの駅へ向かって走りながら、携帯電話で中田統括に連絡した。 

 上田 「たった今、令状が取れました。渋滞しているので、地下鉄で天神駅に向かいます。駅から出たら道に迷う時間などありません。実施の担当者を駅に待機させてください」
中田統括「わかった。水谷総括を行かせる。4番出口で待つよう指示するから合流しろ」
上田 「了解しました」

 4番出口に着くと、水谷総括が笑顔で手を上げた。

 水谷総括 「よう! ご苦労さん。良く間に合ったな。日没まで10分しかないから急ごう」

 到着して貸倉庫の扉を開ける。

 すると、絵画を保管できるよう空調を効かせた3畳ほどの部屋に、段ボール箱が10箱も無造作に積み上げられていた。

 箱を開けてみると……。100万円ごとに輪ゴムで留めた現金がぎっしり詰まっているではないか。

 一箱に1億円。総額10億円の現金だ。輪ゴムで留めた現金は、脱税した裏金である可能性が高く、マルサの男たちは「ゴム留めの現金」と呼んでいる。

 大変だったのは、大量の現金の確認作業だった。防犯上の理由もあって、現金を福岡国税局に運び込んで数えることになり、持ち場を終えた査察官を順次集結させた。しかし、20人の査察官で朝まで数えても、数えきれないほどの現金だった。

 結局、大量の現金を預金させて、銀行に正確に数えてもらい、通帳と印鑑を差し押さえた――。

「タマリ」は真実の脱税者を示す道標
 脱税で溜め込んだ裏金、タマリは真実の脱税者を示す道標になる。

 タマリが見つからなければ、真の帰属者(脱税の享受者)が別人である可能性を否定できないため、強制調査の許可は下りない。そのため、マルサの男は死に物狂いでタマリを探すのだが、その手法も張り込みや尾行が中心となる。

 長期間張り込むうちに、貸金庫や隠し事務所、隠し別荘、愛人(特殊関係人と呼んでいる)などのタマリが見つかる。

 タマリは圧倒的に現金が多い。金融商品は足がつきやすいため、発覚を恐れて現金のまま隠す。ゴールドバーのタマリも多かったが、2012年に導入された金地金の支払調書制度(註:譲渡対価が200万円を超えると税務署に把握される)によって、売れ筋が200g以下の地金に変わった。

 高価な宝石や絵画の裏取引もある。絵画や宝石を裏金で買えば、購入者は裏金を資産に変えられる。そして、美術商や宝石商は購入者の売り上げを除外することが可能だから、需要と供給が合致している。

 隠し場所も人によって様々だが、庭に埋めたり、ブロック塀に埋め込んだタマリは、そう簡単に発見できるものではない。

 最も安全な隠し場所は貸金庫だろう。盗難や火災の心配がないばかりか、税務署に突然踏み込まれても、簡単にはバレない。その鍵さえ見つからなければ――。

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マルサを喜ばせる「三種の神器」
 もう少しだけ、マルサの裏話におつき合いいただきたい。

 マルサには内偵中に「三種の神器」が揃うと、必ず内偵調査が成就する(強制調査に着手できる)という言い伝えがある。「神器」とは脱税の端緒のことで、その一つ一つが脱税をひも解くキーになるものだ。

 神器の一つ目は手段で、架空取引をした銀行口座や税務調査、警察の薬物捜査などで脱税の事実が判明することだ。二つ目はタレコミ。国税局に寄せられる脱税情報やマルサに蓄積された雑誌の記事(繁盛店の紹介など)も含まれる。そして三つ目は、仮名預金や借名預金などのタマリだ。 

 これら3つが揃えば内偵調査が必ず成就すると言い伝えられているが、とりわけ内偵中に特殊関係人が見つかると期待感が高まる。パチンコで言えば確変モードで、愛人を持つにはそれだけカネがかかるということである。

 内偵調査は拾ってきた神器の一つを拠り所にして調査を展開する。タレコミがあれば脱税手段の裏付けを取ってタマリを見つけていくのだが、ターゲットへの個人的な恨み・妬みで国税を動かそうとする輩も少なくないために、注意する必要がある。

 強力な国家権力を行使した結果、間違えました(脱税はしていませんでした)では済まない。誤って善良な納税者に強制調査を行わないよう、別の角度からの証拠を収集するために、内偵調査は途方もない時間がかかる。

 今もどこかで、脱税者を追って、いつ終わるとも知れない張り込みをしているマルサの男がいるのだ――。

 このたび私は、マルサと呼ばれる特殊部隊をもっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、そして、善良な納税者やガラス張りで源泉徴収されているサラリーマンなどの正直者がバカを見ないような社会になってほしいという切なる願いから、『国税局査察部24時』(講談社現代新書)を刊行した。

 巧妙な手口で逃げる脱税者と国税最高峰の調査技法で追う査察官、内偵調査の苦労と矜持、マルサの男と女を取り巻く環境、彼らを支える家族の思いなどを、小説仕立てで誰にでも読みやすく描き下ろした。

 一読すれば、脱税というワルさがいかに巧妙に行われているのか、そして、マルサの男たちがそれを見破ろうといかに奮闘しているのかがリアルに浮かび上がってくるであろう。

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上田 二郎
1964年生まれ。東京都出身の税理士(上田二郎は筆名)。83年、東京国税局採用。千葉県内および東京都内の税務署勤務を経て、88年に東京国税局査察部に配属。その後、2007年に千葉県内の税務署の統括国税調査官として配属されるまでの合計17年間(途中、2年間の税務署勤務をはさむ)を、マルサの内偵調査部門で勤務した。09年、東京国税局を退職したが、再び税理士として税務の世界につながっている。著書に『マルサの視界 国税局査察部の内偵調査』(法令出版)、『国税局直轄 トクチョウの事件簿』(ダイヤモンド社)、『税理士の坊さんが書いた宗教法人の税務と会計入門』(国書刊行会)がある。
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