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zoom RSS “歩車分離”で商店街に活気を生んだ大分県「昭和の街」

<<   作成日時 : 2016/11/10 06:00   >>

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● 商店街発展のために作ったのに… 次々と撤去されるアーケード

 東京・銀座の歩行者天国。平日はバスや商用車で混雑する中央通りが週末には車両通行止めとなり、片側二車線の大通りが歩行者だけのものとなる――。

 クルマを気にせず歩けることが、これほど素晴らしいものなのか。そんな意外な再発見と、お祭りのような昂揚感。とはいえ歩行者天国は、どの街でもすぐに実現できるものではない。警察による交通規制や迂回路の周知、警備員の人件費なども含めて、かかる手間も費用も膨大だ。地方都市では、それこそ年に一度のお祭りで実施するのがせいぜいだろう。

 しかし、歩行者天国までは無理だとしても、それに近い街歩き環境を知恵と工夫で実現することはできないか?  

 歩行者天国に準じるものとして真っ先に浮かぶのが、地下街とアーケード街だ。とはいえ地下街は県庁所在地クラスの都市でなければ論外だし、アーケード街にしても建設費や維持費はバカにならない。

 東京・吉祥寺の「サンロード商店街」(全長約300メートル)の建設総工費は約9億6000万円。大阪市西区の「肥後橋商店街」(全長79メートルで、「日本一短い商店街」を自称)の年間維持費は約350万円と、比較的小規模なアーケード街でもそれだけの費用がかかり、平均的な建設費は数億〜数十億円、年間維持費は数百〜数千万円にもなるという。

 しかもアーケード街は賑わっていれば華やかだが、寂れてしまえば薄暗い雰囲気が逆効果になり、いっそう客足が遠のくという一面もある。「シャッター通り商店街」という言葉があるが、アーケードの天蓋がある分だけ、寂れた印象がいっそう強まってしまうのだ。

 そのため、昭和40年代を中心とするアーケード街全盛期にいったん作った天蓋をわざわざ撤去する商店街も珍しくない。大阪大学大学院の研究者が2006年に発表した全国アンケート調査によれば、回答のあった1718商店街の約5%にあたる82商店街が、過去20年以内にアーケードを撤去していたという。

 先に挙げた大阪の「肥後橋商店街」も、加盟店の減少を受けて16年1月末にアーケードを撤去した。すると通りの雰囲気が明るく様変わりし、近くのビジネス街からの通行者が増えるなど、かえって商店街は賑わうようになったそうだ。

● 大規模投資をせずに 活気ある商店街を実現! 

 いっぽう地方の中小都市でよく見かけるのが、江戸時代から昭和初期にかけての情緒を残す街並みがせっかくありながら、ひっきりなしに行き交うクルマのせいでせっかくの風情が台無しになっている光景だ。

 たとえば筆者の地元では、岐阜県の郡上八幡がよい例だ。江戸時代の城下町の情緒が残る街並みで、夏の「郡上おどり」の時期には浴衣姿の踊り手や三味線お囃子方の山車が街路を埋めて雰囲気抜群なのだが、車両規制のない普段の土日には、地元住民や駐車場を探す観光客のクルマが狭い街路を行き交い、歩行者は道ばたへ追い立てられている心地がして、どうにも落ち着かない。

 対照的に、歩車の分離に巧まずして成功しているのが、大分県豊後高田市の「昭和の町」だ。この商店街の概要や街づくりの経緯についてはリンク先の公式サイトをご覧いただきたいが、昭和30年代のままで時代に取り残されていた商店街を逆に生かして街全体を昭和レトロのテーマパークに位置づけたことが、観光商店街としての成功の要因だと言っていいだろう。

 この「昭和の町」は、2001年に7軒の店を昭和レトロ風に改修するところからスタートし、同年中に訪れた観光客は2万5712人であった。

 翌02年には日本一の駄菓子屋おもちゃコレクターの収蔵品などを目玉とした「昭和ロマン蔵」をオープンさせ、観光入込客数は8万人にはね上がった。その年末年始にテレビの全国放送で紹介されたことで人気に火がつき、07年の観光入込客数は36万人以上と、当初の10倍をゆうに上回った。

 「当初は観光客5万人を目標に街づくりを進めていましたが、期待以上の人気ぶりで、『昭和ロマン蔵』に隣接する中央公園に小さな駐車場はあったものの、クルマで来た人が駐める場所に困る事態が発生していました。そこで駐車場を拡大することにしました。09年3月に計画が固まり、11月3月に現在の駐車場が完成しました」(豊後高田市観光まちづくり株式会社 観光振興推進室長 水田健二氏)

 駐車場と商店街の位置関係は地図画像をご覧いただきたい。商店街の目玉となる「昭和ロマン蔵」のすぐ隣に普通車約100台収容の大駐車場があることで、観光客のクルマをこの駐車場に誘引でき、商店街そのものにはたまにしかクルマが通らない環境を実現できているのだ。

 「おかげさまで、平日には駐車区画の3割ほどが埋まる程度ですが、土日祝には全区画が2〜3回転するくらいの盛況となっております」(水田氏)という。

ただし、この街の歩車分離策には、たまたま条件に恵まれた一面もある。「昭和ロマン蔵」は巨大な農業倉庫跡地を利用した施設なのだが、そのすぐ隣に広い空き地があるという幸運がまずあった。さらに、「昭和の町」は豊後高田市の中心部にありながら、市役所や市立図書館は少し離れた県道沿いにあり、また通過するだけのクルマについても、その県道や国道213号線を通ってくれるという事情もあった。

 地方都市の旧商店街の多くは、地元住民の生活道路や抜け道になっていて、クルマの流れをとどめるのが難しいという問題がある。この点で豊後高田の「昭和の町」は条件に恵まれていたのだ。

 ただし、「昭和の町」はその好条件にあぐらをかいていたわけではない。たとえば国道213号線を走っていると、随所に案内看板が立てられていて、初めてでも迷うことなく大駐車場にたどり着けるように工夫がなされている。

 さらに「昭和ロマン蔵」は、駄菓子屋おもちゃなどのコレクションがあるだけでなく、土日祝に無料運行されるボンネットバスの発着地点にもなっていて、観光客の誰もが目指すランドマークとしての機能を存分に果たしている。それが充実した案内看板と相乗効果を発揮することで、たいていの観光客がここに集まってきてクルマを降り、あとは歩いて街を巡るという好循環をもたらしているのだ。

 ただし、アーケード街のような車両乗り入れ規制があるわけではないので、とくに平日には地元の人がけっこうクルマで入ってくることも確かだ。商店街のうち桂川の対岸部分は昭和レトロ的なテーマパーク化がさほど進んでいないこともあり、店舗に隣接する駐車場にクルマを駐める光景がよくみられるという。

 「昭和の町」は観光商店街でありながら大分県内からの来街者が49.7%と、地元客もかなり多いという特徴がある。そんな条件下で無理にクルマを締め出すのではなく、観光客をやんわりとだが効果的に大駐車場に誘導することで、良好な街歩き環境を実現しているわけだ。この豊後高田市の事例は、日本全国の旧商店街にとって大いに参考になるのではないだろうか。

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