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zoom RSS ヒラリー・クリントンが圧勝、夏の読書界で際立つアンチ書籍の人気

<<   作成日時 : 2016/09/30 08:10   >>

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■今回の一冊■
CRISIS OF CHARACTER
筆者 Gary J. Byrne
出版社 Center Street

 アメリカでは11月8日の大統領選挙に向け、民主党のヒラリー・クリントンと共和党のドナルド・トランプの両候補の対決が一段と火花を散らしている。大統領選が最終ラウンドに突入するのを前に、この夏のアメリカのベストセラーにおける両候補の健闘ぶりを振り返ってみたい。

ヒラリー・クリントンが圧勝、夏の読書界で際立つアンチ書籍の人気
『CRISIS OF CHARACTER』(Gary J. Byrne, Center Street)
反ヒラリー本のなかでも特に人気
 結論から言うと、ベストセラーリストではヒラリー・クリントンが上位を独占し圧巻の強さをみせた。とは言っても、ヒラリー・クリントンを個人攻撃するアンチ・ヒラリー本の話だ。

 例えば、ニューヨーク・タイムスの8月14日付の単行本ノンフィクション部門のベストセラーリストではトップ3がすべて反ヒラリー本だった。アンチ本が売れるということは逆に、その存在の大きさを映していると好意的にとるべきなのだろうか。その不人気ぶりには驚く。

 第3位のARMAGEDDONはビル・クリント大統領の選挙参謀を務めたこともあるDick Morrisと、その妻Eileen McGannによる反ヒラリー本だ。実は、このコンビは民主党政権を攻撃するベストセラーを相次ぎ上梓してきた実績を持つ。本コラムでは2009年9月に、この2人が書いた反オバマ本CATASTROPHEを紹介している。

 8月14日付のランキング2位はHILLARY'S AMERICAというやはり反ヒラリー本だった。アメリカの保守派の論客による書で、ヒラリー・クリントンが大統領に選ばれると大変なことになると警鐘を鳴らす。そして、この週のランキングの堂々トップが、本コラムで今回とりあげるCRISIS OF CHARACTERだ。

 この本はこの夏、反ヒラリー本のなかでも特に好調な売れ行きだった。7月17日付ランキングに第1位で初登場すると、そのまま8月中旬までトップの座を5週連続で守り続けた。

 筆者はシークレット・サービスで働いた経歴を持つ。前々回の本コラムでも、シークレット・サービスのOBによる大統領を巡る回顧録を紹介した。前々回の筆者は大統領につきしたがって身辺を護衛するスペシャル・エージェントだったのに対し、今回の筆者は同じシークレット・サービスでもUniformed Divisionの所属で、制服を着てホワイト・ハウスの警備にあたっていた。

 筆者は父ブッシュ大統領、ビル・クリントン大統領、そして息子ブッシュ大統領の3代の大統領のホワイト・ハウスの警備に命をかけた人物だ。大統領執務室の入口そばに待機して警備にあたるなど、ホワイト・ハウスの内部事情に詳しい。ビル・クリントン大統領だけでなく、ヒラリー・クリントンの言動をホワイト・ハウスで間近にみた経験から反ヒラリー本を書き上げた。

夫婦喧嘩で顔にアザ
 ヒラリー・クリントンは日ごろから部下に対して激高し、怒鳴りちらし、自分のミスを認めない傲慢なタイプだったと筆者は酷評する。ビル・クリントン大統領との夫婦げんかの声や物を投げる音がホワイト・ハウス内に響き渡ったという。おそらく夫婦喧嘩がもとで顔に痣ができたビル・クリントン大統領が朝、執務室に出てきたこともあったと、次のように回想する。

 The president entered around nine. His arrival times fluctuated. I couldn't beleive my eyes: a black eye! I was well accustomed to his allergy-prone, puffy eyes. But this was a shiner, a real, live, put-a-steak-on-it black eye. I was shocked. (p.2)

「大統領は9時ごろ執務室にやってきた。やってくる時刻は日によってまちまちだった。わたしはわが目を疑った。大統領の目の周りにアザができていたのだ。大統領がアレルギーで目を腫らすことはよくあった。しかし、これは見間違いようのない正真正銘の生々しい黒アザだった。わたしはびっくりした」

 父ブッシュ大統領時代にシークレット・サービスで働き始めた筆者は、常識をわきまえない若い取り巻きが多いクリントン政権に対し、厳しい目を向けていた。クリントン政権が発足して間もないころ、アル・ゴア副大統領が新たに公邸に引っ越してきた時に起きた珍事を次のように披露している。

 Technicians at the Control Center of the Technical Service were surprised to see alarms going off at the house. First carbon monoxide, then heat alarm, then other alarms. Even the radiation alarm! Something was seriously amiss. SAs and UD officers immediately responded, letting themselves in. They found Vice President Al Gore standing on a chair, pulling an alarm out of the ceiling, looking for hidden cameras and listenign devices.(p.56)

 「テクニカル・サービス管理センターの技術者たちは、副大統領の邸宅で次々と警報が鳴るのをみて驚いた。最初は一酸化炭素の警報、そして熱センサー、さらにほかのアラームが鳴りだした。放射能漏れを報せるアラームさえも! 何かしらとんでもないことが起きていた。シークレット・サービスのスペシャル・エージェントたちや制服警備組がすぐに反応し、副大統領の公邸に突入した。彼らが発見したのは、アル・ゴア副大統領がイスの上に立って、天井から警報器をはずし、隠しカメラや盗聴器がないか調べている姿だった」

「すべては利権のため」
 また、クリントン大統領夫妻を身近にみてきた経験から、筆者は次のように断じている。

 If you saw them privately, they never seemed to meld at all. But turn on a camera or bring in a fat-cat donor, and the ice suddenly melted. They'd smile at each other, laugh, trade little jokes. They'd move in closer to each other, turn warmer―yes, even romantic. They might even hold hands. They could flip that emotional light switch whenever they had to, then switch it back off again when the crowds and cameras departed. It was all a business for them: Clinton Inc,(p.73-74)

 「プライベートの時の二人をみると、互いに打ち解けているようには全くみえなかった。しかし、カメラが入ったり、大金持ちの後援者が来たりすると、その氷は瞬時にとける。二人は互いに微笑みあい、笑い、ちょっとしたジョークをやりとりする。互いにもっと身を寄せ合い、温かみを増し、そう、ロマンチックにさえなる。手をつないだりもしかねない。クリントン夫妻は必要であれば感情のスイッチを切り替え、取り巻きとカメラがいなくなると再び、そのスイッチを切ることができた。すべては利権のためであり、二人はクリントン株式会社だった」

 反ヒラリー本として売り出しているものの、実はヒラリー・クリントンを巡る生々しい暴露話はあまり出てこない。そもそも筆者の当時の任務は大統領を守ることであり、その妻であるヒラリー・クリントンとのやり取りがそれほどあったとも思えない。本書ではやはりビル・クリントン大統領を巡る女性スキャンダルのエピソードが豊富で、かつ面白い。

 筆者は大統領執務室のいわば門番をしていたわけで、ビル・クリントン大統領の女性関係を垣間見てきた。実習生だったモニカ・ルインスキーがなんとか大統領に接触しようと、用もなくやってくるのを何度も追い払ったり、大統領の体液らしきものと口紅がついたタオルをひそかに処分したりしたエピソードは生々しい。

 例えば、ホワイト・ハウスのマップ・ルームと呼ばれる部屋に、ノックをせずに入った時の驚きの発見について次のように記している。

 There before us was E! Network host Eleanor Mondale―former vice predient Walter Mondale's daughter―and President Clinton in a compromising position, that is, making out on the Map Room table. (p.112)

 「わたしたちの前にいたのは、(娯楽専門のテレビチャネルである)E!の女性司会者エレノア・モンデールだった。あの元副大統領ウォルター・モンデールの娘だ。そして、クリント大統領がいた。はしたない格好で、つまり、マップ・ルームのテーブルの上でよろしくやっていたのだった」

 この種のきわどい話がいくつか出てくるものの、筆者の書きぶりはあくまでも冷静だ。シークレット・サービスの一員として場合によっては、自分の命を犠牲にして大統領を守るつもりでいるのに、大統領の無分別な振る舞いに怒りを募らせる。

シークレット・サービスへの不信感
 さらに、ビル・クリントン大統領とルインスキーの不倫スキャンダルが、スター特別検察官による捜査対象になったとき、筆者は捜査当局とシークレット・サービスとの間の板挟みになり苦労した経験も詳しく書き記している。

 職務中に知りえた秘密について捜査官にも話してはならないと迫るシークレット・サービスの上官たち。一方で、証言を渋る筆者に対し、捜査官たちは捜査妨害で逮捕するとまで脅しをかけてくる。大統領のためにまじめに働いてきたのに、どうしてこんな目にあうのかと、クリントン政権に対する怒りは増すばかりだ。

 筆者は同時に、自分を守ってくれない、シークレット・サービスという組織に対する不信も募らせる。そして、2001年9月にアメリカ同時多発テロが起き、筆者のキャリアにも転機が訪れる。テロ防止のためアメリカが導入した航空保安官に2003年に転職したのだ。シークレット・サービスという組織に嫌気がさしていたのは筆者だけではなかったという。シークレット・サービスから大量に人材が流出した次のような笑えない現実も記す。

 By January 2003 the Secret Service had lost more than three hundred officers. At one point, three-quarters of all air marshals, from bottom and especially to the top, were former Secret Service personnel. The moral: Don't bluff. Don't arrogantly tell your men and women, “If you don't like it, quit.“ They insulted us and we did quit in droves. So many personnel went online to the FAMS employment application website while on duty at UD or at the training center, the Secret Service director had the IT guys for JJRTC block both the Federal Aviation Administraion's and the Transportation Security Administration's websites! (p.207)

 「シークレット・サービスでは2003年1月までに、現場の職員が300人以上も辞めていった。一時、下から特に上まで、すべての航空保安官の4分の3はシークレット・サービスの出身者だった。これはひとつの教訓になる。から威張りしてはいけない。職員にむかって偉そうに『嫌なら辞めろ』と言ってはいけないのだ。我々は侮辱されたから群れをなしてシークレット・サービスを辞めた。多くの職員が勤務中にネットでFAMS(連邦航空保安局)のリクルートサイトにアクセスした。制服警備に携わっている時や、研修センターにいるときにだ。シークレット・サービスの長官は、研修センター(JJRTC)のIT技術者たちに命じ、連邦航空庁と運輸保安庁のウエブサイトへのアクセスをブロックさせたくらいだ」

 筆者は本書で航空保安官の制度運営についても批判を展開している。拙速に人を集めたため銃火器の扱いの技量が劣っていて、そもそも太りすぎで身体能力も低い保管が誕生していたという。これで本当に空の安全を守れるのか。筆者は義憤にかられ本書を書いている。そこにきて、筆者にとっては悪夢だったクリントン政権が再び誕生しかねない現状に警鐘を鳴らすためペンをとったということのようだ。

 反ヒラリー本としては迫力不足だが、ビル・クリントン政権の無軌道ぶりや、政府機関の非効率ぶりを告発する本としては読みごたえがあった。

 さて、最後になったが、反トランプ本の売れ行きにもふれておきたい。THE MAKING OF DONALD TRUMPが8月28日付ランキングで11位につけたほか、TRUMP REVEALEDが9月18日付で13位に入った。両書とも一級のジャーナリストたちによる調査報道を書籍にしたものだ。

 知名度の高さに反して、トランプの実態は謎の部分が多い。不動産王の正体に迫るこうした書籍も売れてもいいはずだが、反ヒラリー本ほど売れなかった。トランプ人気はしょせん一時的なものと高を括る人が多いということか。

 それだけ不人気を集められるヒラリー・クリントンが偉大ということなのか。

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