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zoom RSS 個別交渉でASEANの切り崩しを狙う中国

<<   作成日時 : 2016/09/27 19:10   >>

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 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の8月18日付け社説が、先に行われた中国とASEANによる海洋行動規範に関する会議につき、中国は外交的成功を謳っているものの、合意内容の実現性は低く、関係国は安心すべきではないと警告しています。要旨次の通り。

名ばかりの行動規範
 仲裁判断から1カ月後、中国は先に行われた南シナ海をめぐるASEAN高官との会議が成功したと謳っている。しかし、その外交的ブレークスルーをよく見てみると、海洋の調和と妥協に繋がる新たな時代に期待する理由はほとんど見当たらないことを示唆している。

 内モンゴルで開催された会議において、中国はASEAN10カ国とともに、海洋の行動規範につき、来年半ばまでに枠組み合意を目指すことで合意した。この行動規範は、14年前に提起されて以降、地域外交の聖杯であり続けてきた。だが、この規範は名ばかりのものになる可能性が高い。

 中国とASEANは、2014年に取り決められた「海洋における偶発的衝突回避プロトコール」(CUES:Code for Unplanned Encounters at Sea)を南シナ海に適用することで合意した。しかし、同年に米中が調印した合意と同じように、この取り決めは海軍にしか適用されず、中国が近隣諸国への嫌がらせに多用している海警や漁船には適用されない。

 中国=ASEAN間の緊急ホットラインに関する新たなガイドラインにも合意する見込みだが、ホットラインが重要と言えるのは、中国がそれにちゃんと応じるようになることが前提だ。2年前、中国はベトナムの領海に石油掘削リグを設置してから1カ月もの間、ベトナムからの呼びかけを無視していた。6月には蔡英文新総裁への不快感を表すシグナルとして、台湾とのコミュニケーションを遮断している。将来、ASEANからの呼びかけに中国がどう応じるかは容易に想像がつく。

 現在、中国=ASEAN間の調整役を担っているのはシンガポールだが、中国の外交副部長は「シンガポールは南シナ海における領有権主張国ではないのだから、介入すべきではない」と述べ、同国を退けようとしている。

 次なる中国の一手は、フィリピンをはじめとする力の劣る近隣海諸国と個別の二国間合意を結ぶことだろう。フィリピンや他の脆弱なASEAN諸国は、雰囲気のよい首脳会談が心地よい新時代の幕開けとなると勘違いしないよう注意する必要がある。まして、米国による安全保障と中国の口約束とを交換してはならない。

出典:‘China’s Maritime Diplomacy’(Wall Street Journal, August 18, 2016)

 最近、内モンゴルで開催された中国とASEAN10カ国の会議において、南シナ海における海洋の行動規範を来年半ばまでにつくることが合意されました。しかし、最近の中国の独善的な海洋進出ぶりから見て、中国の望む行動規範とは、しょせん名ばかりで、実体として意味のないものとなろうと、この社説は述べています。最近の中国の南シナ海、東シナ海でとっている行動からみて、この社説の指摘は実体に近いものとなりそうです。

ハーグの裁定は「紙屑」同然
 中国はハーグの仲裁裁判所の裁定を「紙屑」同然として無視し、代りに自らより弱小のASEANの国々との間で、各個撃破の形で自らの望むルールを押し付けようとしています。

 目下、フィリピンは中国とスカボロー礁を巡り交渉しており、中国はフィリピンに経済協力などの見返りを用意するのではないかと見られています。一方では、フィリピンはこれを受け入れるだろうとの根強い見方がある一面、他方では、フィリピンはそう簡単に譲歩しないのではないかとの見方もあります。フィリピン大統領自身、ごく最近、「中国はいずれ東南アジアのすべての国々によって、仲裁判決の遵守を要求されることになるだろう」、「我々は簡単には屈しない」などの発言を行うまでになっています。

 2014年に中国とASEANとの間で取り決められていた「海洋における偶発的衝突回避プロトコール」は、南シナ海に適用されることで合意されていましたが、この取り決めには大きな抜け道があることを本件社説は指摘しています。つまり、この取り決めは海軍だけにしか適用されず、中国が多用する海洋警備の公船や漁船には適用されないことです。また、ホットラインに関する新たなガイドラインが合意されたとしても、それらは、しょせん中国次第で、使用されないこともあるでしょう。

 目下、中国は台湾の新政権との間では、双方の窓口機関同士の交流を停止した状況が続いています。

 中国の口約束を簡単に信じてはならない、というのが本件社説の警告です。最近の中国は、経済失速、腐敗を巡る対立、権力闘争などを抱え、習近平体制としては、内部の求心力を保つためにも、ことさら外部に対し、強硬路線を取りつつあります。特に、南シナ海、東シナ海、台湾海峡において、自分たちだけに通用する一方的な論理を押し付けようとする姿勢が際立っています。

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